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~5日目~

○月5日  晴れ


今日は珍しく魔族領は晴れだ。


我はキラキラ光る太陽を見る。


生まれてこの方、太陽を見たのは3度しかない。


それほど魔族領での晴れた天気は珍しい。



「ちと眩しいのう」



なぜか我以外は外を見ようとしない。


城の中も外とは違いひっそりと重い空気が漂っている。



「はて?ランランはどこにおるのだ?」



我を起こした後、ランランの姿を見ていない。



「ランランはお昼寝でもしておるのだろうか?」



この天気だきもちがよかろう。




......そういえばランランがいない今が外に出るチャンスではないのか。



皆の動きが鈍い今だと思う。






早速、我は庭に出てみる。


外に出ると少し体が重くなるが問題はない。



「晴れておると色が沢山なのだな」



いつものどんよりと暗い日と違いあまりにも色合いが鮮明だ。


......こんな色がよく見える日にランランの綺麗な目を見てみたい。


だが今ばれるわけにはいかない。



「さて。たしかコッチのほうだったな」



我は庭と繋がってる森の中に入っていった。


その森は'暗黒の森'と呼ばれていてる。


実はこの森は人間領と繋がっているのだ。


だいぶ距離はあるしこの森は様々な魔族が住んでいて一度でも入ると出られないという。


それに人間はこの森が魔王城に繋がってるとは思わないだろう。


勇者が知っていたらかなりヤバい。


......レベル1で魔王城なんてこともある。





我はその森の中を歩いていく。


今日は木々の隙間から太陽の光が差し込んでいて綺麗だ。




どんどんと森の奥へ進んでいると......。




モゾモゾ




なにやら黒色の何かが動いている。


近づいてみると。


ジョウサックだった。


前に雨と一緒に降ってきたピンクのトカゲだ。


ジョウサックはもともとピンクだがこのジョウサックは黒い。


それに普通のジョウサックより3倍大きい。


......なんと珍しい。



「そなたはそこで何をしておるのだ?」



我はジョウサックに話しかけてみた。


ジョウサックは草の上でもがいている。



「背がかゆいのか?」



ジョウサックは自分に話しかけられたのに気付いたのか黒の目でコッチを見てきた。


ジョウサックはじ~とコッチを見ている。



「そなたはここの住人か?そこで何をしておるのだ?」



我は質問しているがジョウサックは黙っている。


ジョウサックは知能は高いが話せない。


ジョウサックは光を避けて歩き始めた。


だが一たび光にあたるとすぐに転がってもがく。


太陽の光に弱いのだろう。


ジョウサックがいるところは影が少なくすぐに光にあたってしまう。



「光が嫌なのか?」



ジョウサックはコッチを見た。



「我と一緒に行くなら助けてやるぞ」



我はそのジョウサックに提案した。



「......」



しばらくしてジョウサックは一旦目を閉じ我を見てきた。



「交渉成立だな」



我はそのジョウサックの所にいき抱き上げた。


普通のジョウサックより大きいので大変だ。





...少し引きずりながら来た道を戻っていった。






さてランランにはなんて言おう。


怒られるだろうか。


無事に誰にも会わずに部屋に戻ってきたが重大な問題があった。


ランランは捨てて来いというだろうか。



「さてなんと言い訳しようか」


「言い訳ってなんでしょうか?」


「!!!!」


ランランがすぐ後ろに立っていた。


「し、しばらくぶりだのう」


「はい。少し体調が悪かったので勝手ですが休ませていただきました」


「それはよいがもういいのか?」


「はい。どうも天気が晴れの時は体調がよくないですね」


ランランは少しボーっとしながら話した。



「それよりその黒い物体はなんですか?」



やはりきたか。



「これは拾ったのだ。外で苦しんでおったのだ」


「ジョウサックですね。色は変わってますが」


「外に出したらこれは死んでしまう」


我は目に涙をためてランランを見上げた。


「ですがかなり大きいですね」


「珍しいであろう」


「まぁこんな天気で外に出したら哀れですし......」


「ランラン」


「そうですね魔王さまがちゃんとお世話をするんですよ」


「ほんとうか!?」


ランランが珍しく許してくれた。


さて早速こやつの名はなんとつけようか。


ジョウサックは我の腕の中で大人しくしている。


かっこいい名前がよいな.........。




そうだ!!









「ソナタは黒いので"サタン"にしよう」


ジョウサックは勢いよく我を見た。


黒くて大きな目を若干開いた。



「ソナタも気に入ったか?」



我は笑いながら話しかけた。


ジョウサックは諦めたのか目を閉じた。








ランランは何とも言えないような顔でその光景を見ていた。














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