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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『生物兵器を破壊せよ。』
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EPISODE 7「増える・残る不思議」

        『生物兵器を破壊せよ。』


 植物園で女性客のみを食らう巨大サラセニアの破壊ミッションを以来され、風雅と花は向かうがそこでミッション内容に隠された闇を見つけた風雅は怒った。


「なぜこのミッションが二人推奨なのかが分かった…。」

「え?」


「あのサラセニアの独特な香りは催眠効果があり、一人がその臭いに魅了されると奴の餌と化す…誰か一人が生贄になる必要があったんだっ!」


花を抱えて巨大サラセニアの展示室を脱出した風雅は廊下の角でこちらを見つめる謎の男を見つけた。

風雅が睨んだ瞬間男は慌てて逃げ出した。


「サラセニアの標的は女の子だ。花ちゃんあのオッサン追ってくれ!」


「りょ!」


花は空飛ぶ箒を出して乗り、覗いていた男を追跡する。

そして風雅は再び巨大サラセニアの展示室に入る。


「よぉサラセニアくん、お前の好きな女の子じゃなくて悪かったなぁ!ったくどいつもこいつも女好きすぎだろ…。」


「グギギ、ガギゴ!」


(こいつ喋れるのか…いや、体を震わせて音を出してるのか?本来サラセニアにはそんな力は無いはずだが。)


一方、花は箒で縦横無尽に植物園を飛び回り、白衣を来た謎の男を追いかける。


「待ちなさーい!」


「ひぃ!」


白衣の男は足が遅かったため、花の箒で余裕で追いつき、取り押さえることに成功した。


「もー逃げられないわよ!あなた何が目的なの?」

「言うものか!」


「じゃああのでっかいお花はなんなの!」


「へっ、あれはワシの最高傑作、植物以外の様々な生命体のゲノムと組み合わせたサラセニアじゃ…!」

「それはペラペラと話すのね。」


さらに博士は目を血走らせて自らが開発した殺人サラセニアについて語り出す。


「女を好むとは想定外だったがこれでノーベル賞はワシのものじゃ!!」


「あなたみたいな人がノーベル賞取れるわけないでしょ?!人を殺しておいて評価されようなんて勘違いもいいとこよ!」


「かの有名なノーベルもダイナマイトを発明し、大勢の人間を死に追いやってではないか!それに比べればワシの発明は全ての最先端を行っている!」


この時、花は生まれて初めて体験した。底しれぬ人間の欲と「こいつヤベー」という感情を。


その時だった、巨大サラセニアは展示室を破り、風雅は吹き飛ばされ壁に激突してしまった。


「風雅くん!」


「ついに、ついに完成した!私の息子よ!」


 巨大サラセニアはさらに大きくなり、蔓を増やし、植物園全体に根を張ってしまう。

博士がサラセニアに近づき、感動のあまり抱きつこうとしたが、もはや獲物の区別のつかない生物兵器と化した。


博士に鋭く尖った蔓が襲い掛かるが本人はサラセニアを前に己を失い、気付かない。

風雅は咄嗟に博士を抱えてサラセニアから救ったが、


脇腹を尖った蔓がかすり、特殊防護服も貫通するほどの切り傷を作ってしまう。


「ちょ、風雅くん何で助けたの!?」


「悪人だろうが命には変わりねぇ、だから見捨てない、こいつは重要参考人だ…生きててもらう。このサラセニアはこいつが勝手にこの植物園に植えた物だ。」


風雅は平然としているが、脇腹からダラダラと血が流れる。花は近づいて風雅の脇腹に手を当てる。


「ちょっとごめんね。」


風雅は不思議に思う。花はいつも傷を治す時、まるで別人になったかのような目つきになる。


博士はその隙を狙って逃げ出そうと走り出したが、博士に鋭い目線を向けた花は手を向けると、

赤い液体で出来た輪を出して投げつける。すると輪は開いて博士を捕縛し、壁にぶつけた。


「血の輪…花ちゃんそんなことできたのか!」

「黙って。」


花は一言で風雅を一蹴し、同時に止血は完了した。そして元の優しい顔の花に戻った。


「花ちゃん、君の力は一体何なんだ…。」


「え、何が?あっ、血止まってる!良かったぁ。」


治したのは花なのに、本人にはその記憶がまったく無いらしい。

記憶が無いから博士を血で作った輪で捕縛したことにすら驚いていた。


その間にも巨大サラセニアは根を張り、鋭い蔓をこちらへと伸ばして攻撃を仕掛けてくる。


「花ちゃん危ない!」


「…っ!」


花自身がその身に危険を感じた時、花の持ち武器、金属箒の藁に相当する部分が開き、中から黒い両刃を持つ赤き剣が出現した。

花はその剣をまるで元から持っていたかのように振るいサラセニアの蔓を断ち切った。


「花ちゃん…その剣。」


「なんか分からないけど、すごく自然に使える…!」


今は花の秘密に迫っている場合ではない、ミッションを遂行するのみだ。


風雅は花に蔓の対処を任せて兵器サラセニアの元まで突っ走る。そして連続で茎を殴る。


様々な生物の遺伝子と融合した生物兵器は痛覚を備え、殴られる度に悲痛な声を上げて鳴く。

妖狩エージェントと言えども優しき心を持つ風雅は生き物の発する悲痛な声を聞き辛くなるが、心を鬼にしてミッションを遂行するしかない。


殴っていく中でサラセニアの筒状の葉から大量の人骨が吐き出された。


「お前…今まで何人食ったんだ…!」


極めつけはミッション用に持参したライターを取り出して兵器サラセニアの前に掲げる。


そして狼の形を模した風の拳撃「“疾風弾”」を放つ。風の狼はライターの炎を浴びて赤く燃える狼となり、サラセニアにぶつける。


風雅は一度離れて、サラセニアの周り東西南北にデバイスを設置して、結界を生成する。

燃え盛るサラセニア、その炎が他の植物に引火させないために結界を張ったのだ。


      「ギィィィヤァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!!」


輪で拘束された博士は発狂しながら燃え落ちるサラセニアをその目に焼き付けた。


「ァ゙…あ…ァ゙…ば…ば!パ…パ!」


次第に声は弱々しくなり、黒く焦げ、折れていく。博士は膝をついて乾いた笑い声を出す。


「あ…ワシの人生はもうお終いだ…あ、あぁ…。」


「第二の人生が待ってるぜ?刑務所暮らしっていうセカンドライフが。」


デバイスで燃えた後の二酸化炭素の塊を少しずつ外に放出した後、風雅は博士に手錠をかけた。


「な、なぜじゃお主ら警察ではないだろう!」


「ざーんねーん。俺たちは“特異課”。政府から特別に認可されている公安なんですー。警察が来るまで大人しくしてろよ?」


生物兵器の破壊により、ミッションは無事に達成。二人は今まで犠牲になった女性客に黙祷をし、植物園を後にした。


           ー八雲邸ー


 風雅は家に帰ってすぐに京都にいる鴉丸司令官に電話を掛けた。

花が見た彼の顔は静かな怒りを浮かべていた。


「おい、鴉丸!今日のミッションはどういう事だ!」


「は、何のことだ?今日はお前にミッションを出した覚えはないぞ…。」

「え?」


「今確認したところ報告書はちゃんと提出されていた…俺が調べておいてやるから後は二人でいちゃついてろ、バイバイ。」


「はぁ!?待っt、切れた。」


「風雅くん大丈夫?」

「え、あぁうん、大丈夫よ!」


愛想笑いで誤魔化すが、まだまだ不審な点は多い。

謎のミッション、花の正体、風雅の悪夢、白い服を着た謎の団体…


風雅は陰でため息をつきながらも何事も無かったように振る舞い、兄と花のために夕食を作って、その後は何事も無く過ごし一日は終わった。


         EPISODE 7「増える・残る不思議」完

          次回 第8話

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