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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『異界の駅を探索せよ。』
4/20

EPISODE 4「異界」

          青年は夢を見た。


 空は一面灰色で建物は崩れ落ち、煙が上がる。全てが灰色に染まった、崩壊した世界が青年の目の前には広がっていた。


青年は子供になっていた。そして、灰色の煙の中から多くの人影が現れた。

人影たちは青年の元へと徐々に近づいてくるが、皆足を引きずって歩いているのか、中々近づかない。


子供になった青年は恐怖で逃げ出そうにもその場で足が固まってしまい、動けない。

人影は何かを呟いていた。


灰色の煙が晴れた時、人影の全貌が見え青年はさらに固まった。

その人影とは、身体の一部を欠損、皮膚が焼けただれ人たちの群れだった。


足を引きずっていてあんなに遅かったのに、いつの間にか焼けただれた人たちは青年の体に抱きついて

「水…水…!」「私の坊やを返して…!」

と喉も焼けているのか声にもならない声を上げて一斉に青年に求め続ける。


「はぁ…はぁ…やめろぉぉぉぉ!!!!」



           「はっ!」


青年・八雲 風雅は小さな光が障子の隙間から差す和室で目覚めた。

息を荒げ、大量の汗をかいていた。


「また、この夢かよ…。もういいよ、忘れさせてくれよ…。」


風雅は布団から出て畳み、部屋から出て別の部屋に入った。


「花ちゃん、朝だよ起きな〜。」


「あと5分…。」

「その手は使い古されてんだよ早よ起きぃ!」


まるでお母さんのような手つきで布団をひっくり返して花を布団から追い出して無理やり立たせた。


「んん~眠いよぉ。」

「朝ごはん何がいい?」


「ん〜玉子焼きーとお米とお味噌汁と…。」


「分かった全部作ってやるよ。」「やた!」


風雅はキッチンに上がり、味噌汁を作る。


           「おは…」


二人の居るダイニングに誰かが入ってきた。


「あっ、兄貴おはよー。」

「雷牙くんおはよー!」


「朝から元気だなお前ら…俺は徹夜で実況してたのに…。」


目の下にめちゃ濃い隈を作っている青年の名前は“八雲 雷牙”。風雅の双子の兄だ。


世間一般には動画配信者として活動し、配信ではゲーム実況し、動画では様々な神話、都市伝説を解説する活動者としてその高いルックスとゲームセンス、解説の引き込み方で若者に人気を博している。


風雅は玉子を焼きながら同時に三人分の味噌汁を作るという器用さを披露するが、今朝見た夢を忘れていない。


「風雅、またあの夢を見たのか。」


「あぁ…いつまでも忘れない苦しい夢さ…。」


「風雅くん大丈夫…?」

「う、うん大丈夫だよ。ほら出来たぞ!」


そしてその後も何も特異課からも連絡がなく、平穏な日々を過ごしていたが、午後に風雅と雷牙のガラケーにとあるメールが届いた。


        『異界の駅を探索せよ。』


風雅は自宅のガレージの扉を開けて特異課の部屋に移動した。


「風雅くんまた妖?」


「違うよ、特異課が担当するのは妖の討伐だけじゃないんだ。この世には不思議な力を持つ遺物や空間があるんだ、それを調査し、危険性がなければ要観察になる。」


「危険があれば?」「即刻破壊だ。」


雷牙は花にそう答えた。さらに解説も挟んでくれる。


「死んだ先で行く極楽浄土や地獄の世界もその一つと言われている。ま、危険どころか調査のしようがないんだけどな。」


今回ミッションに参加するのは風雅一人だけだ。司令官がいないのでオペレーターは雷牙に任せる。花は雷牙と共に留守番だ。


風雅はヘルメットを持って愛車であるバイクに跨る。


「じゃ、行ってくる。二人ともナレーションよろ!」


そしてバイクを走らせ、ケータイの地図に記された目的の駅へと向かう。


          ー午後4時43分ー


風雅はバイクから降り、駅のホームで電車を待っていた。


「次の電車は…4時50分か。」


時計を見て時間を自分が乗る電車を確認していると、遠くから電車の警笛の音が聞こえた。


「は!?」と思わず声を出してホームから線路を見てみると、見慣れない電車がこちらへ向かってきたのだ。


何というか、前時代的なデザインであり、ホームにいる風雅以外の人たちはその警笛に何のリアクションも示さずに、ただ本やケータイを見ているだけだった。


風雅は耳につけた小型無線で雷牙たちに通信する。


「こちら妖狩エージェント・『神狼』、兄貴繋がるか?」


「こちら雷牙&花ちゃん、どうした風雅。」


「現在午後4時44分、次の電車が来るまであと6分あるのに別の車両が目の前で止まったんだが!」


「間違えない、4時44分の怪異…目的の電車はそいつだ、飛び乗れ風雅!」

「えぇ?!」


雷牙の言うがままに風雅は急いで停車した所に飛び乗る。


 

 飛び乗ってみたはいいが、風雅は車内に驚愕した。

外見は前時代的なデザインで昭和初期に走っていたと言われても何ら違和感はない。

しかし車内全体は赤黒く、まるで生物の体内のようだ。


客は4、5人乗っていた、だが生気がまったく感じ取れない。


風雅は妖狩エージェントの標準装備、“特殊防護服”へと変え、恐る恐る座席に座るとべチョッというあまり良い気持ちにはなれない感触が尻に伝わる。


「風雅くん、どうしたの?」


「何かケツに付いたぁ…もう最悪!」


そう文句を言っていた時であった、車内の奥から赤い霧が立ち込め、風雅たち乗客を包み込んだ。


「風g、聞こ…る…かa!」

「大…夫?太夫?」


「だゆうって何だよ!電波が悪い…」


赤い霧のせいか電波が突如悪くなり、仲間たちとの交信が途絶え始めた。

そして車内アナウンスがノイズが掛かりながらも流れる。

        

        『次は…き…ぎ、き…ら…』


不気味な音声が流れる。風雅は自身の紅いマフラーで口元を隠して不審な赤い霧を吸わないようにしていたが、突然電車は止まり、プシューという音を立てて左側のドアが開いた。


乗客は誰も立ち上がろうとしない、だが風雅は探索ミッションのため、降車する。


謎の駅に降りて当たりを見渡すと、駅の立てかけられた看板と一面野原が広がっている田舎の無人駅さながらである。


「ここか…?無線が繋がらん。」


ひとまず駅名の確認からだ。看板の文字は霞んでいたが読めなくは無かった。

そして解読した風雅は一気に顔が青くなり、解読のために看板をなぞっていた指を離した。


         「き…きさらぎ駅…?」


                 EPISODE 4「異界」完

 

           次回 第5話

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