EPISODE 28「頭(カシラ)」
琥珀の腕を治すために京都にある特異課の本部を訪れた。そこにいる椿医師を訪ね、彼の全てを復元する術式で無事治療することが出来た。
初めて本部に来た花に見学と称して案内していた時、風雅と雷牙のケータイに鴉丸からのメールが入る。
『本部の司令室に集合しろ。』
ただそれだけが記されていた。二人はすぐに走り出して司令室に向い、花も遅れて走り出す。
司令室
「来てくれて助かる…琥珀が重傷を負ったらしいな。その後どうだ…。」
「椿先生に治してもらった。今は安静にしてる。」
鴉丸は安堵したのだろうか、力が抜けるように椅子にもたれた。
本人はクールに振る舞ってると思っているが、風雅たちから見れば心配しているのが丸わかりである。
「俺たちもまた記憶を消して妖狩を辞めさせることになるかと…。」
「前回は相手が悪かったし、椿もすぐに対応できなかった…その分の責任を感じていたのだろう。それとお前たちをここに呼んだのは新たなミッションがあるからだ…。」
「わざわざ本部で言うなんて、さぞ重要な依頼何でしょうねぇ。」
と風雅は鴉丸のデスクに手をついて質問する。そして彼の口からとあるコードネームが出てくる。
「妖狩:『玄武』を連れ戻せ…。」
『!?』
双子をその名を聞き、衝撃を受けた。
「なぜだ、なぜ今さらになって『玄武』を連れ戻す気になった…!」
雷牙は驚きのあまり語気を強くして鴉丸のデスクを叩いた。
「理由は単純だ、人手不足。先の『スコーピオン』の件でS級以外の妖狩は全滅した。」
「風雅くん、S級って何?」
ーS級・A級妖狩ー
主に妖狩は二種類の階級に分類される。S級は風雅たちのようにデイブレイクを経験し、円卓に座る権利をもった妖狩。その数僅か9席。
一方A級は大半が人間で組織され、すぐに殉職する。
そして鴉丸が連れ戻して欲しいと頼んだのはS級の内、序列5位に君臨していた妖狩。
「鴉丸さん、その人何で記憶消しちゃったんですか?」
「一年前、とある任務で失態を犯し危うくデイブレイクに次ぐ大惨事を起こす寸前になったことがある。」
「だからその責任を背負わせて記憶を消したってわけ。」
「今の妖狩はただでさえ人手不足だ。一人でも多くいたほうがいい…だから連れ戻せ。」
「…へいへい。」
ー東京都 某町工場ー
その日の夕方、三人はとある町工場を訪れた。鴉丸から『玄武』はここにいると聞かされていた。
ガレージの扉は開いており、風雅たちは中に入る。
そこにいたのはつなぎを着た作業員ではなく、バットやトマホークといった物騒な武器を持った怖い顔の男たちだった。
武器を持った男たちは風雅たちを凝視し、その異様な光景に彼ら固まってしまった。
「…失礼しましたー。」
風雅はそっとガレージの扉を閉め、一度息をつくことにした。
「え、何あれ…中にいるの気の良いおっちゃん達じゃあねぇの…?」
「明らかに北斗の者だったぞ?ヒャッハーだったぞ?」
「私あれテレビで見たことある!ギャングだ!」
「ばっ!」
大声でその名を叫んだ花の口を風雅は慌てて押さえ込んだ。
その時、再びガレージの扉が開き、強面の男たちもお目見え。
今度は強面の男たちが突然左右に分かれて道を作り、一人の男が風雅達に近づいてきた。
その男は180センチ後半もあるであろう長身で、黒い髪をハーフアップのようにまとめ、片目は前髪で隠れている。
「見ねぇ顔だな…誰だぁてめぇらは」
「よぉ、久しぶり『玄武』…!」
雷牙は『玄武』と呼ばれる男の眉間に指を突き立てて電流を流し込んだ。
その痛みで男は後退りし、頭を抱える。
「てめぇ、カシラに何しやがる!!」
「そう怒るなよ、うちの兄貴はカシラの記憶思い出させただけよ。で、何か思い出したかい?妖狩:『玄武』…いや、“石動 凱”!」
「っ…!あぁ、たった今思い出したぜ。風雅、雷牙…。」
「おぉ、そりゃ良かった。じゃあ帰r…」「オラァ!!」
かつての仲間の記憶を取り戻し、円満に終わったので帰ろうとした瞬間、凱の拳が風雅の頬を打ち抜いた。
高く飛び上がり外へと放り出された。
「いってぇ…なにすんだよ!」
「てめぇら特異課にはちょいとムカついてたんだよ…俺の記憶勝手に奪ってくせに何も無かったみてぇにのこのこと戻しやがって…この場で全員ぶっ殺してやるよ。野郎どもぶち殺せぇぇぇ!!」
武器を持ったギャングたちはカシラである凱の命令を聞き、風雅たちに襲い掛かる。
「風雅、今のアイツは正気じゃない!」
「あぁ、兄貴の口癖使うけど「ダルい」わ…殴って頭冷やすしかねぇな…!」
風雅は唇の出血を手で拭って花を後ろに付かせる。
このまま凱と和解できるのだろうか…
『ギャングを掃討せよ。』
EPISODE 28「頭」完
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