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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『毒蛇を駆除せよ。』
25/33

EPISODE 25「毒牙」

妖の魔の手から総理を守るミッションの途中、『死神』と一人対峙した風雅はその力の差に圧倒され全治2週間(人間換算全治5ヶ月)の怪我を負った。


その間風雅はミッションを受けることも特訓することも満足に出来ない。

花の看病もあり二日経った現在は回復傾向にある。


「はい風雅くん、あーん。」


「いやいいよ花ちゃん。なんか腹いっぱいだし…もう体動くし。」


「えぇ…せっかく作ったのにぃ…。早く元気になるようにって頑張って作ったのに。」


断られた花の目には涙が溜まり、今にも泣き出しそうだった。

別にお粥の出来が酷かったわけでも花が嫌いなわけでもない。花に心配をかけている自分が申し訳なかったからだ。

だから遠慮した。でも裏目に出て今は半泣きだ。気まずさと罪悪感で押しつぶされそうになり、泣き出す寸前で承諾した。


「……。あぁもう、分かったよ食べるよ!」


「え、ほんと!?はいあーん。」

「あーん。」


「たく昼間ったからいちゃついてるわねぇ…。」


琥珀はソファの上で寝そべりながら二人の様子をずっと見ていた。

二人はすぐに手を止めて同時に琥珀の方を向いて赤面しながら声をあげる。


妖狩エージェントたるもの異性に現を抜かすわけねぇだろ!」

「そうよ琥珀ちゃん!大人をあんまからかっちゃいけません!」


「ふふ、赤くなっちゃってかんわいぃ。」


そんな時琥珀のケータイに一件のメールが入った。開いて内容を確認すると新たなミッションが書かれていた。


          『毒蛇を駆除せよ。』


その頃夜の住宅街を一人のOLが歩いていた。すると背後から彼女を呼ぶ声が聞こえた。

恐る恐る振り返るとそこには蛇皮のジャケットをはおり、怪しげなサングラスを掛けた男が立っていた。


「お姉さぁん…甘い物は好きかい?」


「何ですかあなた…いきなり声掛けてきて、警察呼びますよ?」


「冷たいねぇ…昔の人間は昼でも夜でも質問に怖がらず答えてくれたのに…。」


男は顔の前に手をかざすと、コブラのような仮面を装着した。

女性はその顔を見て恐怖を抱き、バッグを投げ捨てて逃げ出した。

『コブラ』は右腕を蛇の頭に変化させ、その腕は女性目掛けて伸び、首元に噛み付いた。


噛まれた跡には二本の穴があき、傷口から徐々に紫色に変色し、女性は苦しむ声を上げる間もなく白目を向いて倒れた。


「あーあ死んじゃった。やっぱキングコブラの猛毒に人間は耐えられないか…サソリくんはすぐ溶かしちゃうから品がないし、俺のは流す毒が多すぎるし。うーん難儀!」


今、渋谷を始めとした街で女性が襲われるという事件が発生している。

襲われるのは決まって女性であり、いずれも毒死。


雷牙と琥珀が警察に許可を取って捜査に参加する。

首筋には穴が空いており、鑑識の結果分かったのはそこからキングコブラの2倍の毒が注入されていたということだ。


「ひどいわね。」


「刑事さん、これで何人目ですか…?」


「先週から数えると25人…です…。」


琥珀は静かに怒り、拳を強く握った。

その日の夜、また一人の女性が人通りの少ない道を歩いて家路についていた。

案の定また『コブラ』が背後に現れ、昨日と同様の質問をした。


「お姉さぁん、甘い物はお好きかな?」


「だ…誰ですか…!」


「お、昨日のお姉さんは冷たかったけど今日は初心な娘に当たったねぇ!さぁ答えろ、甘い物好きかい!?」


「アタシは大好きよ!!」


突如上空から琥珀が現れ、『コブラ』の頭目掛けてかかと落としを食らわせた。

女性はさらに不可解な現象が起きて腰を抜かしてしまった。


『コブラ』が怯んだ隙に、琥珀は腰を抜かしてしまった女性を起こして逃げるように促した。

だが足取りが覚束なくこのままでは追いつかれてしまうと考えた琥珀は重力を使って女性をはるか遠くまで飛ばして避難させた。


「君、何?」


妖狩エージェント:『猫又』。アンタのせいでこの世から面の良い美人が減ったわ…その罪、命を持って払ってもらうわよ…!!」


「へぇ君はこの世の女性を守る騎士ナイト様になったつもりかい?女のくせに。」


「女が女守って何が悪いのよ…アンタだけは許さないっ!」


「自分勝手だね☆」


『コブラ』は顔にコブラの仮面を被り肌も蛇と同様に変化させ、術式も使用可能となる。

両腕をゴムのように伸ばして琥珀を捕まえようとする。


「“斥力リパルジョン”っ!」


斥力を使って迫りくる蛇の両腕を弾き、その瞬間に無重を横にして飛び出し、『コブラ』の腹に強烈なキックを繰り出す。

間髪入れずに腰からクナイを抜いて胸を切りつけ、顎を蹴り上げて『コブラ』と距離をとる。


「くっ…!」


「どう?これがアンタの運命よ。好きなように女を食う夜はもう終わり…最後は小娘の手で殺されるのよ!」


琥珀は両手で何かを潰すようなモーションをとることで強力な重力を発生させ、上下から10Gの圧力が掛かる。


『コブラ』はすぐに両腕を戻し、上からの攻撃を受け止めるが、下から上に向かってくる重力もあり、対策しようが無かった。


「今ならまだチャンスあるわよ?潰されるか引き千切られるか選びなさい!!」


「これじゃどっちが悪者かわっかんないねぇ!」


そして完全に手を握ることでおそらく『コブラ』はミンチになる。そのことを危惧したのか、突如上からの圧力に耐えていた両腕の内、左手を外して仮面を取った。


「プレゼントだっ☆!」


『コブラ』が口を開けると二本の犬歯が鋭く飛び出し、先端からオレンジ色の毒液を発射した。


完全に対策できなかった琥珀。その毒液を猫の視力で捉え、避けきれたと思ったが顔の右半分、右手の指に雫が付着してしまい、その瞬間に強烈な目眩と吐き気に襲われ、膝を付いてしまう。


【琥珀ちゃん!】【おいどうした、毒食らったのか!】


一般的にコブラは噛みつきにより神経毒を注入して敵を倒す。しかし中には敵の目を狙って毒霧を噴射し、倒す者もいる。さいあく目に入れば炎症、激痛、失明を起こす。主に防衛の際に放つ技である。


琥珀は目に入ることはなかったが、『コブラ』が独自にブレンドした自家製毒液は皮膚に付着するだけで炎症、激痛、目眩を引き起こす。さらに反撃は止まらない。


琥珀が毒霧を受けたことにより、重力の檻が破れ、蛇のように滑らかな動きで近づき、犬歯を琥珀の首筋に刺し込もうとした。

しかしすぐに危機を察知した琥珀は瞬時に自身の右腕を盾にした。

そして「ザクッ」と音を立てて琥珀の腕に致死量の猛毒が流し込まれる。


               EPISODE 25「毒牙」完

           次回 第26話

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