EPISODE 24「月闇の処刑人」
不可視の暗殺者から総理を守るミッションの途中、風雅は『死神』の罠にはまり、瀕死にも等しい重傷を負うが鴉丸司令官が助けに入り、『死神』に反撃し、その場から風雅を連れて逃走した。
それから5時間後
風雅は鴉丸司令官の肩に捕まりながら作戦室に帰還した
。作戦室から八雲邸の自室に出て、ボロボロになった風雅を布団の上に寝かせる。
「風雅くん大丈夫!?」
「しっかりしなさい!」
「体中の骨と内臓がズタボロになってる気がする…。でも肋骨は内臓に刺さってないからそこはラッキー。」
妖の超回復力なら二日あれば骨と内臓は元通りになるだろうが戦闘で受けたダメージはしばらくの間元には戻らないだろう。
「それよりお前ら…アサシンはどうした…?」
「それが、アタシの能力で足まで潰したんだけど…その後白い服来た男が出てきて『カメレオン』を連れ去っちゃったのよ。」
「おいそれ大丈夫なのかよ!」
『カメレオン』の元に現れた白服の男とは恐らく『死神』の事だろう。
その報告を聞いて驚いた風雅は体の痛みを忘れて起き上がるが、起き上がった衝撃でダメージを思い出し全身に激痛が走った。
「今回は不測の事態が発生したが、護衛するという目的そのものは成功している。よってミッションは成功と見なす。」
鴉丸が言うのだから今回は成功なのだろう。だが一同が気になるのは『死神』のことだ。
「お前も厄介な奴に目をつけられてくれたな…。」
「何よボス、あいつのこと知ってんの?」
「ここまで目撃者が増えたんだ…注意喚起として話した方が良さそうだな。奴は妖の掟を破った妖を断罪する処刑人…『死神』と言われている。」
『死神』という名は本人が語ったものらしく。それ以来特異課も同じ名前で呼んでいる。処刑対象は掟を破った妖。
その条件は・人間と恋愛をした者・目標と関係のない人間を殺した者。そして・同族殺しを犯した者。
『死神』は全て視ている。彼が活動を開始したここ8年間で犠牲になった妖は多数いる。人間を襲ってもいないのに“人”を捨てきれなかった者たちが次々と凶刃に倒れていった。
「自由すらも許されないのね…アタシたち…。風雅、妖狩が狙われるのも無理ないわね。」
次に風雅は自分が見た『死神』の特徴を話しながら質問をする。
「鴉丸…あいつが持っている刀は何だ。明らかに普通の刀には見えない。」
「あれは妖刀と呼ばれる類の刀だ。普通の人間や妖では扱うことが難しい呪いの装備だ。そして奴の術式は…」
ー「“月闇”」ー
処刑人『死神』の術式。闇や影を自由自在に操る。妖刀・月闇の刃に闇を纏わせ三日月型の斬撃を飛ばす。さらに影に潜る、影を触手のように操るという芸当も可能。
「ここ最近は鳴りを潜めていたくせに、今年からやけに活発になっている…いつ風雅以外の妖狩が被害に遭うか分からん。本部に伝達しておこう。」
鴉丸は立ち上がって作戦室の扉から本部への道へ繋げ、出ていってしまった。
「ちょ、待って!い゙っでぇ!!」
まだまだ聞きたいことがあり、鴉丸を引き留めようと手を伸ばした風雅は再び激痛に襲われ、布団に硬直したまま倒れ込んだ。
「これじゃしばらくミッションは無理そうだねぇ。大丈夫風雅くん?」
「何とか。」
「風雅、琥珀、もし今後のミッションで『死神』に遭遇したら、すぐに撤退しろ。扉を探して入れ、すぐに戻って来られるようにな。」
「あぁ…ありゃ勝てねぇや。今回で身に染みたよ…。」
「あの風雅がここまでこてんぱんにやられんたんだもん、アタシなんて瞬殺よ。」
八雲 風雅 全治2週間。人間換算は全治5カ月。療養に専念し、回復を待つことにした。
花は風雅の看病をするために色々と毛布やギプスなど棚から出したりなど、準備をしていた時、頭の中に謎の光景が映った。
燃え盛る街の中に一人佇む男の影があった。その男は振り返ることなく刀を振るって不気味な笑い声をあげる何者かの集団の元に突っ込んでいった。
そんな身に覚えのない光景が脳裏に浮かんだが、花は特に気にすることなく作業を再開した。
一方『死神』は暗殺に失敗した『カメレオン』の尻尾を掴み、見知らぬ施設へと訪れた。
そして片足が潰れた『カメレオン』を自分の体が反射するほどピカピカの白い床に投げつけた。
「頼む!殺さないでくれ、俺はまだやれるんだ!」
「…誰も殺さないとは言っていない。次こそは確実に相手を仕留めろ。殺すのはその後だ…。」
『死神』は疲れていたのか体が重く、足を引き釣りながら自動ドアを通ってどこかへと去っていった。
そして初めて妖狩を振り切った『カメレオン』も再び透明になり、何処かへと消え去っていった。
EPISODE 24「月闇の処刑人」完
次回 第25話




