EPISODE 23「反骨精神」
永世総理の護衛ミッション中、風雅は妖の処刑人『死神』の罠にはまり、一対一の勝負を繰り広げる。
そして『死神』は自身の式神『夜叉・零式』を召喚したと同時に左腕に“武装”し、風雅を追い詰める。
圧倒的パワーで風雅を林まで吹き飛ばし、木に背中を強打し、口から血反吐を吐いて倒れてしまう。
影を使って移動できる『死神』は木の陰を転々として負傷した風雅の元まで近づく。
『夜叉』の“武装”は身体能力の向上。通常の拳撃でも一瞬で相手を粉砕できる。
負傷したせいで『神狼』の“武装”が解除され、さらには身動きが取れない危機的状況。
血が止まらない、外からも内からも出血が酷い。この状況下でも風雅は自身の体調を把握していた。
肋骨、左腕、頭蓋骨が骨折し、筋肉もボロボロだ。
体が『死神』から受けた衝撃で痺れて立つことが出来ない。
そこに刻々と処刑人が近づく。断罪の時は近い。
ー国会議事堂ー
『カメレオン』を追っていた琥珀は堂内で無惨に殺害されたSPたちの亡骸を乗り越え、ついに総理を発見した。
しかし様子が変だった。何かに体を抑えられ、首を何かに絞められて苦しんでいた。
琥珀はすぐに自身の武器であるクナイを総理の体の横に投げつけ、肩辺りの何もない空間でクナイは止まった。
「ぎゃあああ!!」
何もない所から悲鳴と鮮血が吹き出す。血がポタポタと廊下に滴り落ちた時、空間が揺らめき『カメレオン』が姿を現した。
琥珀がクナイを投げた先は『カメレオン』の腕。そして痛みに悶え舌の締め付けが緩くなった所で総理は自ら脱出し、琥珀の後ろへと隠れる。
「てめぇ何で分かった…!」
「分かってないわよ。ただ“そこに投げろ”ってアタシの本能が囁いたのよ。さっすがアタシ天才超カワイイ。」
「殺してやる…マジ許せん!」
そして再び透明になり、『カメレオン』は一次撤退を図る。
「あっ、逃げた!」
しかし今度は存在を忘れることはない。何故なら腕に受けた傷から血液が滴り落ちて道を作っていた。これなら自ら見つけてくれと言っているようなものだ。
琥珀は式神『猫又』を“武装”して自身の重量場を横にして“横に落ちる”という現象を作り出し、蹴りの姿勢から『カメレオン』に向けて強烈な一撃を繰り出す。
キックの衝撃で透明化にノイズが掛かり、ザラザラしてる肌の胸ぐらを掴み、外へと投げ飛ばす。
再度透明になろうとするも今度は確実に逃さないように5Gの“重力”を使用して『カメレオン』の足を潰す。
その一方でボロボロになった風雅の元に『死神』が近づく。
そして“武装”した左腕に赤黒いスパークが弾けた後、風雅の顔めがけて拳を繰り出す。
だが風雅はまだ動く右腕を動かし、土壇場で再度“武装”を展開し、左腕を受け止めた。
赤い稲妻と翠の風が衝突し、
「なぜ抵抗する!そんな力も残っていないくせにっ!!」
「俺はお前ら妖を狩る妖狩…!こんなところで死ぬわけには行かねぇんだよっ!!」
風雅の風の力がみるみる高くなっていく。体には青いスパークを纏い始め、ついに『死神』を弾き飛ばした。
風の力で飛びされたが左腕の指で地面に爪跡をつけながら何とか耐え抜いた。
風雅はボロボロの体を木に背を付け沿わせる。途中血を吐き、息を荒げながらも立ち上がり、攻撃の姿勢を崩さなかった。
「来いよ死神…ぶん殴って黄泉に強制帰還させてやる…!!」
「ならば道連れだ…!」
拳を構えた瞬間、何者かが『死神』の顔に膝蹴りを浴びせた。
「…鴉丸司令…!」
「何死にかけてんだバカ弟子…。」
鴉丸司令官自らが手助けに現れたのだった。妖にも引けを取らない速さと熟練の戦闘スキルで『死神』に容赦ない攻撃を浴びせていく。
弾丸の如く速い拳、鉛のように重たい蹴りが『死神』の体に撃ち込まれる。
『死神』は反撃しようとさらに力を溜め、左腕に全エネルギーを集中させる。
最大限まで高め、攻撃に出ようとした直後突然『死神』の視界にノイズが走り、左腕を抑え、苦しみ出した。
その隙に鴉丸はボロボロの風雅を小脇に抱えて煙幕玉を地面に叩きつけ、姿をくらました。
煙幕が晴れて二人はすでに姿を消していた。
苦しんでいた『死神』はすぐに“武装”を解除して落ち葉の上に胸を天に向け倒れ込んだ。
大量の汗をかき、息を荒げた。左腕がジンジンと痛む。
本人も長時間この形態を使ったのは初めてであり、かつあんなにもしつこい相手は風雅が初めてだった。
しばらくしてから『死神』は立ち上がり、刀で地面の影を広げてポータルに近いものを作り出し、その中へと入り、どこかへと帰還していくのだった。
EPISODE 23「反骨精神」
次回 第24話




