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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『アサシンから要人を護衛せよ。』
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EPISODE 21「不可視の暗殺者」

この日は作戦室に鴉丸司令官が来ている日だった。琥珀は妖狩エージェント復帰後、久々に鴉丸と会話をした。


「ボス〜老けたねぇこーんな無精ひげ生やしちゃってー!最近寝れてんのかコノヤロー!」


「やめろガキ…頬を引っ張るな。痛い。」


「嬉しいくせに〜!」

「いやマジで。離れろ…」


琥珀は無重力で浮きながら円卓に座る鴉丸の周りをうろちょろし、鴉丸の顔に自分の足を絡めながら頬をつまんで引っ張る。


風雅たちも円卓に座り、花は風雅の席の後ろに立ち、彼らは微笑ましそうに二人の絡みを見ていた。


「琥珀ちゃんうれしそう!」

「そりゃ久々に会えて嬉しいよなぁ。俺らにとっちゃ父親みたいなもんだしな…。」


皆が座る円卓にはそれぞれ数字が刻まれ、風雅の席には「壱」、雷牙は「弐」、琥珀は「捌」、そして数字が一周し、「12」の位置に座る鴉丸司令官には「零」と刻まれていた。

琥珀は堪能したのかフワフワと浮遊しながら捌番の先に戻り、鴉丸の話を聞く。


「お前たちに新たなミッションだ。」


「いつもだったらケータイから送ってくるじゃないっすか。」

「今回は全員で行ってもらう。なんせ護衛ミッションだからな…。」


「護衛…?誰を。」


「総理大臣だ。」


護衛対象を聞いた瞬間、花以外の妖狩エージェントに緊張の電流が走った。


「風雅くん、そーりだいじんって何ぞや?」


「総理大臣ってのは、まぁ…簡単に言えばこの国で一番偉いおっさんだ。」


「前々から総理は何者かに狙われていてな。殺害予告が届いたり、側近が目の前で透明な何かに首を吊られて亡くなったらしい。」


「敵は透明な暗殺者か…なら題名はこうだ。」


雷牙は円卓の上にノートパソコンを置いて文章を書いて風雅と琥珀のケータイに送信した。

そして開いて見ると、新たなミッションが提示されていた。


       『アサシンから要人を護衛せよ。』


ミッションを受注した風雅たちはすぐに円卓から立ち上がり、扉に移動する。

しかし雷牙はその場で動かず座っていた。それを鴉丸はジッと睨む。


「おい、お前も行くんだよ。」

「は?俺はナビゲートじゃ…。」


「雷牙、お前も行け。殺すぞ。」「……。」


仕方なく雷牙も私服ではあるが、ミッションに同行する。

そしてどこの出入り口にも繋がる扉を開き、総理大臣の元へと向かう。


          ー首相公邸ー


「君たちが特異課の妖狩エージェントか!よろしく!」


「よ…よろしくおねしゃす。妖狩エージェント:『神狼』っす。」


風雅に握手を求めたこの男こそ。この国の総理大臣・“永世 信介”。史上最年少38歳で総理の座に就任しデイブレイク後の復興支援に尽力していたこともあり、国民からの支持率も高い。


「君たちみたいな妖が来てくれて助かるよ。」


「あら、妖のことは認知済みなのね。」


疑問に思った琥珀に雷牙は説明をする。


「総理含めて一部の人間には特異課と妖の情報を開示してんだよ。ま、総理辞任したら記憶は消させてもらうがな。」


「ちょ、怖い怖い。ゴホン、実は最近になって私に殺害予告が届いてね。これなんだが…。」


永世総理が見せたのは一枚の手紙。しかも刻まれていた文字は全て血で書かれていた。

内容はこうだ。


『ながせ総理、お前を必ず殺す。誰にも見られず悟られず、殺してやる 不可視の暗殺者アサシン。』


「内容うっす!」

「血で書いたからこれが限界だったのよ多分…。」


「さらに一週間前…護衛していたSPの一人が私の目の前で突然何かに首を絞められたかのように苦しみだし、見えない何かに体が引きずられ、柱の上で体が静止したんだ…。」


「まるでお前もこうなるぞと言わんばかりですな。」


「今回鴉丸さんから聞いてはいるが…万が一ミッションを失敗しても君たちへの処理はしないらしいね…。」


「その方が楽で助かるわ。別にあんたが生きようが死のうが俺たち人権のない妖怪には関係ないもんな。」


と風雅は机の上に足を乗せ、いけ好かない態度を取り、さらに総理に対してまでの失言まで言うと、周りにいたSPたちは一斉に拳銃を構えた。


「ひぃぃ風雅くん誤って!」


「良い、皆銃を下ろしてくれ…。不適切な対応があったなら謝るよ。申し訳ない。」


「こっちからも条件がある。」

「なんだね…。」


「あんたテレビで見る度にどんどん顔色悪くなってんぞ。このミッションが終わったら、しばらく休め。あんたの魅力は“笑顔”だろ?休んだら国民全員にあんたの笑顔を見せてやれ!」


「風雅くん…。」


一瞬肝を冷やした花たちだったが、風雅の言葉を聞いて胸をなで下ろした。


そして妖狩エージェントたちはそれぞれの持ち場に付いた。


花&雷牙はビルの上に登り、怪しい者がいないか上から見張り、風雅&琥珀は国会議事堂で下から怪しい者がいないか見張っている。


「あんな憎まれ口叩く割には協力的なのねアンタ。」


「俺に“笑顔”を教えたのはあの人(総理)だぞ?死なれたら困る…ま、覚えてないと思うけどな…。」


デイブレイクで兄以外の全てを失い、果てには知らない研究施設に送られ、人体実験で笑顔なんて考えられなかった。そして鴉丸に救われ、何も考えずにテレビを付けた時、

どれだけ辛い現実でも常に笑顔を絶やさず、傷ついた人たちに手を差し伸べる男の姿が画面に映っていた。


そして風雅は笑顔という感情を取り戻し、他の子供たちに積極的に絡むようになっていった。


「へーそんなことがあったのねぇ。なら一層守ってあげないと。」


琥珀は風雅の話を聞き、子供時代を懐かしんでいた時、突如見えない何かが琥珀の首に巻き付き、足をバタつかせて苦しみ始めた。


「がぁ!かっ…!」


「琥珀!」


その時、風雅の鼻にツンとくるような悪臭がし、その臭いを頼りに琥珀の背後にいる何かにパンチを繰り出す。

かすかに手応えがあった。それと同時に琥珀は解放され息を整える。


「ゴホッ!カハッ!助かった…ありがと風雅…。」


「そこにいるのは誰だ…姿を現せ!」


すると琥珀の背後の空間が人型に歪み、緑色の人型の爬虫類が現れた。


「カメレオン…透明になるにはもってこいだな。」


「お前たち妖狩エージェントだな…俺の計画を邪魔しやがって!」


「お前の邪魔すんのが俺たちの計画なんでね全力で止めさせてもらうぜ?妖狩エージェント:『神狼』、『猫又』。ミッションを遂行すr…。!?」


その時、風雅の足元の影が広がり、体が影の中に落下してしまった。


「ちょ、『神狼』さん!?」


           ー影の先ー


風雅が落ちていった先は何と街から何十キロも離れた郊外だった。

見知らぬ土地に突如落とされ、彼の背後に現れたのは…


「再び会えたな…妖狩エージェント:『神狼』…!」


「またあんたか…『死神』!!」


           EPISODE 21「不可視の暗殺者」完

           次回 第22話

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