表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『妖しき鬼女を調査せよ。』
20/20

EPISODE 20「口裂け女」

「雀蜂」が起こした中学生大量虐殺事件から二日が経った。


琥珀は記憶処理で自分が百合園学園にいた記録を全て消し、友人たちの記憶からも自分を抹消した。妖狩エージェントとして復帰した彼女は…


    風雅たちの家のソファでゴロゴロしていた。


自分の関係者全ての記憶を消した琥珀はアパートにも住めなくなり、八雲邸で居候の身となったのだ。

心配した花は琥珀の横に座り、声を掛ける。


「琥珀ちゃん大丈夫?また自分の気持ち抑え込んでない?」


「もういいのよ、吐き出すだけ吐き出したから…それに、今のアタシには花姉ぇたちがいるもん!これがアタシの本心よ。だから心配しないで。」


「居候だったらもうちょっと家事手伝えよな。」


と横から風雅が生えてきて琥珀に苦情を入れると、ソファに置いてあるクッションに重力を付与し、ボウリングボールほどの重さにして風雅に投げつけ撃破した。


「痛ってぇな…人間だったら鼻の骨折れてたぞ…!」


「乙女の会話に割り込んだアンタが悪いのよ。」


すると風雅と琥珀のガラケーに一件のメールが届いた。特異課からのミッションだ。


        『妖しき鬼女を調査せよ。』


二人はすぐに立ち上がり作戦室へと入り、雷牙はすでに椅子に座って準備は完了していた。

風雅と琥珀は黒いモヤから特殊防護服を生成した。


「久々に他の妖狩エージェントとの共同ミッションだな。」


「そうね、足引っ張んないでよ?」


双子と琥珀との会話を前から聞いていた花はどこか羨ましくもあり、どこか感動していた。

過酷な環境を共に生き、そして現在再会し心の底からの笑顔を見た花はこれからも暖かく見守っていきたいと考えた。

雷牙は花にヘッドフォンを手渡し、今回はナビゲーターに就かせた。


作戦室にある出入り口の扉も怪異の一つであり、行きたい場所を望めばその場所の近くにある扉から目的地へと辿り着く仕組みなのだ。

そして愛知県のとある住宅街に設定し、扉を開ける。


「いってらっしゃーい。」


「行ってきま〜s」

「行ってきます花姉ぇ!」


      ー愛知県 某住宅街 PM9時30分ー


風雅たちはマンホールの中から現れた。


「は?信じらんない!?何で今回に限ってマンホールなのよ!」


「あの扉は近くの出入り口ならどこでも繋いじまうのよ、我慢しろ。」


【どう?風雅くん、琥珀ちゃん行けた?】


「ん、何とか着いたけど下水道からお送りしております。」

「まじ最悪、乙女をこんな汚い所に転送するなんて!」


【言うほど乙女じゃないだろお前。】


二人は下水道から脱出し、ようやく目的地の住宅街に浮上した。

風雅は辺りを見渡しながら住宅街を歩き、琥珀はナビゲートしている花と話しながら歩く。


「琥珀、」「ん?」

「そういや何でお前花ちゃんのこと“花姉ぇ”って呼んでんの?」


「アンタ、アタシが綺麗なお姉さん好きって忘れた?あんなん飛びつきたくなるでしょ?」


「お前とことんオッサンだな…。」


風雅は若干引き気味だが琥珀の気持ちは少し分かるような分からないでもないような曖昧な気持ちだ。

琥珀は花との通話を再開し、とある都市伝説を説明した。


「花姉ぇ、“口裂け女”って知ってる?」


【口裂け女?知らないかも…。】


口裂け女。赤いコートに白いマスクを付けて現れるという。

そして通行人に声を掛け、「私きれい?」と尋ねる。そこで「きれいですよ。」と答えてしまうと「これでも?」と言ってマスクを取ると…口が耳元に達するまで大きく裂けていたのだ。


【ひぃぃ!】


「にゃはは〜花姉ぇ怖がり方も可愛い〜。でね、口が裂けた姿を見ちゃうと〜ハサミを持って追いかけて来るんだって〜!」


【いやぁぁぁ!】


((任務中なのに修学旅行の女子会過ぎるだろ…。))


この時、現場の風雅、作戦室の雷牙。双子の気持ちがシンクロしたのだ。

琥珀の都市伝説解説に怯える花。さらに解説は続く。


「でねでね、「私きれい?」って答えたあとに「きれいですね。」って答えると追いかけてくるし、「きれいじゃない。」ってすぐ殺されるんだってぇ。」

【何それ超理不尽!】


「こんな清々しい笑顔で「殺される」って単語出してる中学生初めてだよ…。」


「だから「私きれい?」って聞かれたら「普通ですね。」って言えば良いんだって。花姉ぇも気を付けてよねぇ。」


        「ねぇ…私…キレイ?」


「そうそうこんな感じに…。っ!!」

「琥珀!」


琥珀の背後から突然現れたのは赤いコートに身を包み、白いマスクで口元を隠した長身の女性だった。

すぐに危機を察知した琥珀は一瞬で跳び上がって風雅の背後に隠れる。


「私…キレイ…?」


長身の女は懲りずに同じセリフを繰り返す。周囲の空気は変わり、ただでさえ暗かったのに、街灯や月明かりの光が遮断されたのか暗黒に包まれてしまう。

さらに暗い空気と共に二人の周りに糸切りバサミのような物体が複数出現した。


「兄貴…花ちゃん…こいつ妖だ!間違いない。周囲の鋏は術式で作り出した産物…。」


「じゃあこの鋏がアイツの能力なの?」


「たぶん違うな…アイツの能力は恐らく“質問に答えるまで発動しない術式だ。”答えた時点で能力が発動。取り消し不可だ…!」


【風雅くん、琥珀ちゃん、こういう時こそ「普通ですね。」だよ!】


「ねぇ…私…キレイ?」


「口裂け女」の対策法は分かっている。そして二人は彼女からの質問に答える。


      「趣味じゃない!」「ブッサ!」


【…何言っちゃってんのぉぉぉぉ!!?】

【馬鹿だろ、お前ら馬鹿だろ!!】


「だって嘘ってあんま良くないじゃん?モヤモヤ残るくらいなら正直に伝えた方が良くね?」

「アタシもー。」


【命のやり取りの中でよくそんな正直さ貫けたな!】


そして糸切りバサミがシャカシャカと音を鳴らしながら二人に振り注ぐ。

琥珀は持ち武器であるクナイで糸切りバサミを弾いて落とし、風雅は“武装アームド”を使用して盾にもなるガントレットで糸切りバサミを受け止め、弾く。


「こちらへの攻撃を確認した。妖狩エージェント:『神狼』、『猫又』。ミッションを遂行する!」


「口裂け女」は激昂し、自らマスクを引きちぎって大きく裂けた口を露わにし、二人に襲い掛かる。

本人は右手に包丁を持ち、風雅に突き刺さそうとするが、ガントレットで受け止めた。


「あんたここ最近で何人殺した!殺人未遂なら逮捕だけにしといてやる!」


「あなたが私のことキレイって言ってくれないなら殺してやる!ほかのヤツもそうよ!何でキレイって言ってくれないのよぉぉぉぉ!!!!」


「それは簡単。あなたの口が裂けてるからです!」


風雅は「口裂け女」の腹部に“疾風弾”を炸裂させ、怯ませた。

しかし並の妖ならば“疾風弾”を喰らえば一瞬で灰になるはずだが彼女はただ怯むだけで済んでいるので実力は相当な物だろう。


「こいつ硬ぇな…。」


「ねぇ、アタシだけ攻撃止めどないんだけど殺意段違いじゃない!?このクソ女!」


明らかな男尊女卑にブチ切れた琥珀は“重力グラビティ”を使って「口裂け女」を地面に沈めさせた。


それでも立ち上がろうとする「口裂け女」に風雅はブレイクダンスの一種・トーマスを応用して“鎌鼬”を足から繰り出し、「口裂け女」の首を切断した。


それと同時に糸切りバサミは消滅。暗闇の空間は晴れ、街灯や月明かりが二人を照らす。


「よし、ミッションコンプリートだ。」「だね!」


【大体お前らがバカ正直に答えるから戦闘になったんだぞ。調査ミッションだったのに…。】


しかし「口裂け女」の体は灰化したはずだが、生首だけは灰にならずにその場で残り、うめき声を上げ続けた。


「どどどどういうこと!?こいつ妖じゃないの?」


「恐らく怨念が強すぎて首だけ残ったんだろうな…コレだけでも回収して弔ってやるか…。ほら行くぞ可愛い生首ちゃん。」


風雅はメデューサの首を切った英雄ペルセウスのように生首だけとなった「口裂け女」の髪を掴んで出入り口であるマンホールの中へと歩き出す。


「今…私のこと可愛いって…。」


「うんうん可愛いよー今が一番輝いてるよー(棒)。特異課の研究材料にしてその口きれいにしてやるよ。」


「ありがとう…ありがとう…!」


生首は涙を流し、二人はマンホールに入っていく。

ナビゲートしていた二人も一段落した。

妖だろうが死後の念が強すぎた場合その場に残り続け、慟哭するのだ…


             EPISODE 20「口裂け女」完

           次回 第21話

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ