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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『吸血鬼を退治しろ。』
2/23

EPISODE 2「蝙蝠」

この世には超能力を悪用し、人間の笑顔と自由を奪う怪人・あやかしがいる。

そしてそんな人々を怪人たちから守る妖狩エージェントがいる。


 妖狩エージェントである八雲 風雅が蜘蛛男のミッションを終えたところで彼の仲間でありある事件がきっかけで彼に付いている少女・緋月 花が箒に乗ってやってきた。


「あっ、そうそうここに来た理由忘れてた。なんかね、司令官がすぐ戻ってこいだってー。」「えっ、」


風雅は司令官の名前を耳に入れただけですぐに顔が真っ青になった。

身震いをした風雅はすぐにバイクに跨って走り出した。


「あっ、ちょっと待ってよぉ!!」


花も箒を全速力で飛ばして風雅の後を追う。


         ー八雲家実家ー


風雅と花は家の中に入り帰宅。さらに自室に入らずガレージの扉を開けると、そこにはまったく別の空間が広がっていた。


部屋の中央には円卓。最新鋭のコンピューターに防音機能のある壁、おしゃれなコーヒーメーカーもある。


風雅はサングラスをとって「壱」と書かれた円卓の一部に置いた。


妖狩エージェント・『神狼じんろう』ただいま戻りましたー。」


「同じく花ちゃんも風雅くんを連れ戻しましたー。」


「ごくろう…。」


円卓のさらに奥の席に両肘を着けた強面の男が彼らを出迎えた。


男の名前は“鴉丸からすま”。妖狩エージェントたちの司令官である。


「風雅、何で俺がお前を呼んだか…分かるか…?」


「わかりません!司令官が大事にとっていたプリンを食べたからでしょうか!?」


「違う。あとプリンは初耳だ。」「あっ。」


風雅は「やっちまった」と心の中で漏らし、汗をダラダラと流しながら真顔になった。


「まぁいい。本題は…半年前に比べて妖による被害が増加しているということだ。」


「あーだから“みんな”出払ってんのね。」「みんな?」


花は半年前ほどに風雅と出会って助けられたが、半年の内の半分は眠っていたので事情はあまり詳しくないのだ。

鴉丸司令官も難しい顔をして頭を抱える。


「他の妖狩エージェントにも協力要請はしているが、忙しくてな…。」


「しょーがねぇっすよ、実際昔から人手は足りなかったし。」


「これから俺は京都の方に行く…後の事は頼んだぞ。」


鴉丸司令官はイスから立ち上がり、風雅を横切ると共にプリンの恨みのゲンコツを食らわせた。


「恐ろしく早いゲンコツ…俺でなきゃ見逃しちゃうね…!ぐはっ!」


「だったら避けれたろ…。じゃあな。」


風雅は頭に大きなたんこぶを作って円卓の上に突っ伏した。


「ねーねー風雅くん。私まだここの設定分かってないんだけどさぁ。」

「設定言うな…メタいだろ。まぁ花ちゃんはもう俺たちの仲間だから手短に話すね。俺たちは…」


    “特異超常現象捜査課”。通称「特異課」


最近は妖による被害が拡大しているのでそこに手を回しているが、

本来はこの世にはびこる超常現象、怪人、遺物を調査するために活動する組織だ。

そして妖に対抗するために“妖狩エージェント”という特殊兵士を創り上げた。


「そもそも妖ってなんなわけ?」


妖とは、一度死んだ人間が超能力を携えて覚醒した新人類。妖のもつ“術式”は人それぞれである。


特異課が観測しただけでも日本人の約3割は妖。そして術式を悪用している妖が後を絶たないのだ。


「で、人間に悪いことする妖を片っ端から倒すの。分かった?」


「も、バッチリよ!」(ほんとかなぁ…)


その時だった、突如風雅のガラケーから着信音が鳴った。

開いてみると黒い背景に白文字でとある文書が浮かび上がった。


         『吸血鬼を退治しろ。』


『被害者はいずれも女性であり、二日前にも二人の女性が午後21時に被害に遭い、一人が死亡。このミッションの依頼者は被害者女性の内の一人である。』


「新たなミッション。吸血鬼か…花ちゃん、まずは被害者に話を聞こうか。」

「うん。」


         ー午後20時25分ー


 二人は友人が吸血鬼の被害に遭ったという女性に話を聞くことにした。


しかしこの日はその被害に遭った友人の通夜だった。


風雅は場の雰囲気を重んじて、サングラスを取り、被害に遭われた友人の棺桶の前に座り、手を合わせた。

花も風雅の姿を見て、学習するかのように手を合わせた。


「あの…あなた達は…?」


被害者の父親が二人に声を掛けた。


「申し遅れました。我々は特異課の妖狩エージェントです。」


その時通夜に参加していた依頼者の女性はあっ!と驚いた。


「依頼した…ほんとに来てくれたんですか!?」


「え、嘘松だと思ってました?」


本当に来てくれたことに安堵したようで今まで我慢していた涙を流した。


「一昨日の夜、二人で一緒に歩いていたら…突然赤いマントを着た男が現れて…ぐすっ、

怖くて動けなくなっていたら…ゔっ、急にまりこの首に噛み付いたんです!!

そしたら…私の方を振り向いて『次はお前だ!』といって…空を飛んだんです!う、ゔぅ…!」


花もその話を聞いて涙を浮かべ、女性に寄り添い、背中を撫でてあげた。


「お父様、お母様、娘さんのご遺体を拝見してもよろしいでしょうか?」


「あ、あぁ…。」


父親は突然通夜に参加してきた謎の男女二人を不審に思っていたが、怯えていたのか流されるように了承した。


風雅は被害者の遺体を捜査し、左側の首に二つの小さな穴が空いており、縦に連なっていた。おそらくコレが噛み跡だろう。


「よし分かった。俺たちが、娘さんを、ご友人を殺した犯人を倒しましょう。犯人は警察の手では絶対に負えない相手です。ここは我々にお任せください!」


風雅はサングラスを掛け、花も立ち上がり家を出ていく。依頼者は家の外まで二人を追って声を掛ける。


「あの、依頼金は!」


「大丈夫っすよ、うちそういうのいらないんで!」


と言って、二人はバイクにニケツして走り去った。


「花ちゃん、」「うん?」


「あの人の涙…見たよね。」

「うん、私もすごく悲しくなった…」


「人は誰しも笑顔になれない時が必ずある。喧嘩したり悲しかったり…だけどあの涙は、絶対に流させてはいけない涙だ…!!」


風雅にくっついて背中しか見えない中でも分かる。

今の彼は怒りに燃えている。


         ー午後20時58分ー


「よーしコレで吸血鬼を誘い込むぞ!」


「風雅くん…何それ…。」


風雅は何やら珍妙な格好をして二人で夜道を歩いていた。

首にニンニク、十字架のネックレス、大きな木の杭を片手に持っていた。


「え、何って吸血鬼ぶっ殺しセットじゃないか。ニンニク、十字架、木の杭、完璧!」


「妖だったら効き目あるか分からないじゃない!どこで買ってきたのよ…。」


「さっき寄ったド◯・キ◯ーテだけど?」「外せい!」


花に叱られ、止むなく全ての対策装備を脱がされた。


風雅が若干しょげていると夜道の向こうから人の気配を感じた。

しかし視界には何も映らない、ただ気配だけを感じる。


風雅は嗅覚が鋭いという特技があり、全てを嗅覚に集中させて、その気配を感じ取ろうとする。


「…!、上だ!」


二人は上からくる何かに左右に分かれて回避する。

突如風雅と花を襲ったのは、赤いマント…いや、二人の目の前にいるのは巨大なコウモリ人間だ。


「これが吸血鬼の正体…!」


「あぁ、マントに見えたのはコウモリの翼膜だったのか!」


「オマエたチ、エージェントだナ…!!」


コードネームは「BAT」。BATは歯をむき出しにして妖狩エージェントを威嚇する。


「覚悟しろよコウモリ野郎…ミッション開始だ!」

                

                 EPISODE 2「蝙蝠」完


           次回 第3話

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