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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『デスゲームを止めろ。』
19/20

EPISODE 19「紫電の化猫」

妖狩エージェント:『猫又』こと琥珀は一人「雀蜂」に立ち向かうが黒い霧に苦しみ、その隙を突かれて針に脇腹を貫かれてしまった。


琥珀を倒した後、「雀蜂」は中等部の校舎に乗り込み、次々と生徒たちを殺害していく。

「鬼ごっこ」と称し、逃げる生徒たち右腕に武装したガントレットから針を発射し生徒を貫く。どこに隠れていようとお構いなし。

返り血を浴び、蜂のマスクの下で恍惚とした表情を浮かべ次の獲物を探し、校舎内を歩き回る。


花は『死神』と戦闘をしている風雅に「琥珀と生徒たとを助けてくれ。」と頼まれ、急いで体育館へと向かう。


体育館へと着いた花は戦慄した。中には顔の吹き飛んだ教員、逃げ切れるかと思い安堵した表情で死んでいる生徒、恐怖して歪んだ表情を死んでいる生徒の遺体があったからだ。

そして体育館中央で脇腹から血を流し、気絶している琥珀を発見しすぐに駆け寄る。


「琥珀ちゃん!何があったの!?」


針によって貫かれた傷は妖の超回復力で塞がり、血も止まっている。だが「雀蜂」の針には猛毒が仕込まれており、その毒は消えていない。

花は琥珀の体に手を当てた時、突然体の中からドクンッと音がして、一瞬意識を失った。


顔を上げると、目つきは鋭く、瞳はより紅くなり慣れた手つきで脇腹に再度手を当て、何かを探っているようだった。そして何かを掴んだのか目を見開き、広げた手の平を握り拳に変えて一気に振り上げた。


振り上げた拳からは紫色の霧状の物質が琥珀の体から引き抜かれた。

引き抜かれた直後、琥珀は咳き込みながら目を覚ました。花は元の柔らかい表情に戻り、琥珀に声を掛けた。


「琥珀ちゃん大丈夫!?」


「う…うん…花姉ぇが治してくれたの?」

「え?あ、あぁ多分そう…。」


風雅を治療した時も同じだがこの時の花はまるで別人になったかのように豹変する。そして治療している最中の記憶はない。

起き上がった琥珀は「雀蜂」の元へと向かおうとする。花は動いて大丈夫なのかの心配するが


「アタシは妖狩エージェント…ミッションは絶対だから…!」


「それって本当に言ってるの?私には…自分の気持ちを抑えてるようにしか聞こえないよ…。その黒い霧…それが出てる内は自分を受け入れられてないって風雅くんが言ってた。」


花に言われたその一言で琥珀は再度自分の事を見つめ直した。今までの自分はただ特異課に従ってミッションを遂行しているだけだった。

ミッションが重なる度、機械のように流れ作業になってしまっていた。

「雀蜂」が目の前で友人を殺した時、初めて自分の本心が出た。


「アタシは…アタシはあいつを許さない…風雅たち以外に出来た友達なのに…何も出来なかったのが悔しい、今もどんどん殺されてる!もうこれ以上死なせない皆を守る、それがアタシの本心!!」


自分を改めて見つめ直し、感情をぶち撒けた後、黒い霧は琥珀の身体を飛び出して目の前に人型の猫のようなビジョンで出現した。


「アンタ…もしかして『猫又』…?」


『アンタあの虫野郎倒したいんでしょ?だったらアタシの力使っちゃいなさいよ!』


「だったら徹底的に使ってやるわよ…!『猫又』!」


その心意気を聞いた黒い猫は頷き琥珀の身体の中へと戻っていく。


「花姉ぇ、アタシ行ってくる!」「気をつけて…。」


琥珀は術式の一つ“無重力アンチグラビティ”で跳び上がり、さらに“猫の目”を使用して「雀蜂」の居場所を探る。


「雀蜂」は2年4組の近くにまで接近し、優雅に鼻歌を歌いながら逃げる生徒を殺害していく。もうすぐで4組の教室の前に着く頃、「雀蜂」の背後の窓を割って、琥珀が到着した。


「にゃあ~。」


「生きてたんだ子猫ちゃん。待っててよ、4組の子たち全員殺したら君も殺してあげるから。」


「だったらその前にアタシがあんたを殺してあげるわよ!!…『猫又』“武装”!!」


琥珀の背後から紫色の炎に包まれた化け猫の幻影が出現し、琥珀を包み込む。

すると両頬には猫のヒゲのような痣が浮かび上がり、両手両足は紫色の炎に包まれ、同じように頭の上に炎で出来た猫の耳を形成し、二又の尾が現れた。


「もっと自由に…もっと柔らかく…!」


姿勢を低くして「雀蜂」を睨みつける。まるで獲物に狙いを定める猫のようだ。


「そんな姿勢したってガラ空きだっつうのぉ…。」


「雀蜂」は右腕から針を発射。しかし針は琥珀の身体をスゥッと貫通。そして揺らめきながら消滅した。残像だ。

本体はすでに懐に入り込んでおり、鋭い蹴り攻撃で「雀蜂」の顎を蹴り上げ、蜂の仮面は割れた。さらに回し蹴りで窓を割りながら「雀蜂」を外へ放り出した。


間髪入れずに踏み込みを使って速度上昇させ、顔面に強烈なパンチを浴びせ、さらに「雀蜂」が落下する際に重力を強くして、落下速度を速めた。

中庭に墜落した「雀蜂」はすぐに立ち上がり、同じく中庭に降り立った琥珀を探すが砂煙で周りが見えない。


琥珀はそれを利用し砂煙から飛び出してはパンチやキックを繰り返し翻弄していく。


「このガキがぁぁぁぁ!!!!」


「雀蜂」もただでは倒されない。羽を展開、羽ばたかせて砂煙を払った。視界が良くなり、目の前で臨戦態勢になっている琥珀を発見し、右腕を出して狙いを定める。


「あんたの針はもう使えないわよ。」「は?」


           シュバッ!


何か物を切り裂く音が聞こえ、自分の右腕を見てみると

肘から先が切断されており、血潮を激しく吹き出していた。

あまりにも一瞬だったのか自分の腕が切られたことにも気づかなかったのだ。


「が…がぁぁぁぁあ゙ぁぁぁ!!ぼくの右手がぁぁてめぇ何しやがったぁぁ!!」


「アタシの攻撃見切れなかったアンタが悪いのよー。」


琥珀が切断に使ったのは持ち武器であるクナイ。二又の内一本の尻尾に引っ掛け、相手に見えない速度で尻尾からクナイを発射。一瞬の内に右腕を切断した。


「狩る側から狩られる側に堕ちた気分はどぉ〜さぞ気分悪いでしょうねぇアタシは大興奮よ…♡」


琥珀は右腕に全エネルギーを溜め込み、踏み込んでから「雀蜂」に向けて走り出す。何の反撃も出来ない「雀蜂」は左手を弱々しく振って抵抗することしかできない。


「はぁ!!」


そしてオーラを纏って大きくなった右手の爪で「雀蜂」の脇腹を貫いた。

5本の線の傷跡ができ、傷口はそれほど深くない。


「その傷はアタシの分…これくらいに済ましてあげたけど…アンタに殺された人たちの分はこれからだから…あの世でせいぜい無限に苦しみなさい…!!」


すると爪跡の傷は次第に歪み、肥大化し、黒い球体を生成した。


「こ、これは…!!」


「えぇ、ブラックホールよ…光すらも飲み込む暗黒…アンタはそこで身体を千切られ拗じられながら自らが犯した罪の分苦しみなさい!」


「嫌だぁぁぁぁぁぁ!!!」


そして琥珀の宣言通り「雀蜂」の身体は拗じれ千切られながら暗黒の球の中に吸い込まれ、ブラックホールは「雀蜂」を飲み込んだ直後に消滅。仇を打つことが出来た。


「ミッション…コンプリート…う、ぐっ…うっ、あ゙ぁぁぁ!!!!」


全てが終わり、武装を解除した琥珀は手をつきながら涙を流し、哀しみに暮れる声を上げ、中庭で木霊するのだった。


一方、『神狼』を武装した風雅は『死神』の黒刀と渡り合うが何かを察知した『死神』はガントレットから刀を離し、納刀した。


「どうした…もう終わりか?」


「スズメバチが死んだ…俺はここから手を引こう…。それと、学生たちをちゃんと弔ってやれ…。」


そう言い残すと校舎の影の中に入り込んで『死神』は去った。

『死神』の放った犠牲者を気遣う発言には引っ掛かったがその事を考える間もなく妖狩エージェントたちは事後処理にあたるのだった。


       死者 中等部1年生 50名全員


             2年生 35名

 

             教職員 5名


事後処理を終え、自らの手で親友たちの遺体を運んだ琥珀は心に深い傷を残した。さらに学校関係者、遺族、親族全員に記憶処理を施し、犠牲者の存在をこの世から完全に消した。残酷かも知れないがこれが特異課の仕事なのだ。


             EPISODE 19「紫電の化猫」完

           次回 第20話

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