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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『???』
12/20

EPISODE 12「激情の狼」

『狩人を狩れ。』とミッションを受け、風雅は激痛に苦しみながら「ヒョウ」と戦っていたが、突如「死神」と名乗る謎の刺客が登場した。



 「死神」の持つ黒刀から放たれた赤黒い三日月型の斬撃波 “斬月” により、風雅の右腕は廃車の山ごと切り飛ばされてしまった。


危機的状況に陥った風雅はついに自身の式神『神狼』の力に身を委ねる決断を下し、身体は黒い霧へと包まれ黒き人狼へと変化したのだ。


     「ウォラァァァァァァァァ!!!!!!」


「“激情態”…か。珍しいな…。」


特異課が対応する妖は自分の力に溺れ、式神の力を使い欲望のままに暴れまわるが、一部の妖は自身の力を封じ込め平和に暮らしている者もいる。


だがそういう妖はいつ暴走するか分からない危険性もはらんでいる。本人の性格にもよるが。


風雅の式神『神狼』は表の世界に顔を出し、何かを企んでいるようだ。

激情態へと変化した風雅は本能のままに「死神」へと突進していく。


「理性を捨て、バケモノと成り果てたか…処刑するにも何のためらいもなしだ…!」


「死神」は黒刀を振るい、風雅を斬りつけたが身体は影の集合体、刃は身体を貫通し、新たに再生された右腕を使って「死神」の腹部に強烈な一撃を与える。


たった一発で骨は軋み、血反吐を吐いた。「死神」はすぐに距離を取って刀を構える。


「これまで激情態は何度か見かけてきた…だがここまで化物じみた姿はお前ぐらいだ…!」


「死神」の知る激情態は本来ならば体に黒い霧が薄く出て理性を失っているだけだったが、風雅の激情態は切られた右腕も再生し、黒い霧もより濃い。


黒く染まった巨体は走り込んで次は跳び上がってから尻尾を駆使して「死神」目掛けて地面に当てる。

さらに素早い動きで蹴りやパンチを食らわせる。


「全部…ぜんぶ!壊してやる…!!」


激情態となった風雅は何かに激怒していた。彼には何が見えているのか、それは本人にしか分からないが「死神」は斬撃波を放つ。


しかし『神狼』は回し蹴りから風の刃である “鎌鼬” を放ち、「死神」の斬撃波と拮抗する。

斬撃波同士がぶつかっている間にも『神狼』はウィンドミルの要領で連続で “鎌鼬” を発射する。


だが「死神」もただでは倒れない、刀で “鎌鼬” を受け流し、足元にある影に入り込んでしまった。


『神狼』は辺りを見渡し、「死神」の行方を探す。

そして右手に自身の持つ全ての風力を纏わせて「ウォラァァァァァァァァ!!!!」という雄叫びと共に地面を殴った。


積まれて山となった廃車は揺らめき、一部は落下し、地面はひび割れ巨体なクレーターを作り上げた。

そして凹んだ地面の上で『神狼』は怒号を響かせる。


「どこだ…、壊してやるよ!出てこい卑怯者ぉぉ!!」


「言われた通り出てきてやるよ…。」


『神狼』の足元の影から「死神」が姿を表し、黒刀で足を切りつけた。

すると今度は刃が貫通することなく、しっかりと傷が付いた。そして鮮血が吹き出し、『神狼』はよろけた。

「死神」はその隙をついて黒い刃で背中から胸を貫いた。


「やはりな…先刻貴様が俺の攻撃を透過したのは意識していたからだ…不意の攻撃では適用されない。」


刃から血が滴り落ち、身体を覆っていた黒い霧が晴れ、『神狼』から風雅に戻った。切られた右腕も元に戻っていたが、特殊防護服が装着されてないことから新たに生えてきたのが分かる。

気絶している風雅の首に向けて「死神」は刃を向ける。


「さぁ、処刑の時間だ…」


そして刃が振り下ろされる瞬間だった。「ガキンッ!」と音が鳴り、「死神」の刃が止まった。


「「死神」の裁決を邪魔するとは…何者だ…。」


「俺さ。」


「死神」のトドメを阻止したのは風雅の双子の兄・八雲 雷牙だった。

私服姿でありながら雷牙は双剣を装備して右手に持った剣で「死神」の黒刀を受け止め、風雅を守ったのだ。


「花ちゃん!」

「りょ!」


花も参戦し、気絶した風雅を引きずってクレーターの上まで避難させた。雷牙はもう片方の剣で「死神」に刃を振るう。


その剣術は強く、速く、重く、まるで雷を相手取っているようなものだった。「死神」は中々反撃することが出来なかったがまた自身の足元の影に入り込んだ。


雷牙の足元の影から現れた「死神」は背後から刺突で胸を狙おうとするが、雷牙は目にも留まらない程の速度で回避し、花の元に戻る。

刺突から逃れることはできたが肩に切傷ができていた。


雷牙は戦えない二人の前に立ち、双剣を構える。「死神」もクレーターから跳び上がり、二人は巨大な穴を隔てて睨み合う。


「死神」は黒刀を鞘へと納刀し、構えをとる。我々は知っている。居合で放つ斬撃波 “斬月” を放つつもりだ。

赤いスパークがほとばしり禍々しいオーラが身体を包む。


その緊張感は二人にも伝わり、僅かだが雷牙の手が震え始めた。

そして抜刀直前までの態勢になった時だった。突如「死神」の動きが止まり、刀から手を離した。

雷牙たちはキョトンとしてこちらも緊張感が薄れた。


「「死神」の裁決から逃れるとは…お前たちが初めてだ。命拾いしたな…。」


「死神」はそれだけ言い残して空間に黒い穴を作り出し、踵を返してその穴に入ろうとした。だが花は何かに気づいたかのように「死神」を呼び止めようとした。


だが「死神」は花の顔を見ても顔色一つ変えず、その穴に入り、消えてしまった。


「花ちゃん、知り合いだったのか?」


「ううん、分からない…分からないけど、なんでか声をかけなくちゃって思っちゃった…。」


空から雨が降り始めた。雷牙は花の発言は何か引っかかったが、今は風雅を助けなくてはとおんぶして家まで運び始めた。


        ー八雲邸 特異課作戦室ー


一方作戦室では、一連の様子を視ていた鴉丸司令官は円卓の上で肘をついて深刻な顔をしていた。


「「死神」…やはりうつつ戻ってきていたか…!早急に手を打たなくては。」


              EPISODE 12「激情の狼」完

           次回 第13話

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