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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『???』
11/20

EPISODE 11「死神」

妖狩エージェント八雲 風雅は己の悪夢の中で自身の力の源である“式神”の『神狼』と邂逅する。


 式神は使用者の奥底にある悪意や願望の具現化『神狼』は風雅に自分の力を使わないかと誘惑を仕掛けるが、本人はそれを否定し悪夢から目を覚ます。


まだ本調子ではないが、ケータイに新たなミッション『狩人を狩れ。』の一文だけが記されていた。覚束ない足取りで作戦室まで入り、装備を整える。


作戦室には京都から戻っていた鴉丸司令官がいた。具合が惡そうな風雅を見ていつも冷静な鴉丸はさすがに心配になり声をかけた。


「おい、風雅大丈夫か…。」


「大丈夫っすよ…ちょっと風邪気味でね…。」


「風雅、ミッションを辞退しろ。他の妖狩エージェントに引き継がせる。」


「他の奴らは忙しいだろ?!今こうしてる内にも…みんなの命が消えてんだよ!俺が行かなきゃならねーんだ!」


鴉丸の心配を押し切り、バイクに跨って現場へと急行する。


          ー廃車置き場ー


事件が起きているのは数多の廃車が積み重ねられたヤードだ。

このヤードには公安の特殊部隊も派遣され、全員が同じ方向にスコープ付きライフルの銃口を構える。その先にいるのはヒョウ型の獣人が廃車の山の上に座っていたのだ。


「さぁ狩りの時間だ…!」


コードネームは「ヒョウ」。ヒョウは右腕に着けたデジタル腕時計のタイマーを起動させ、10分と表示された。


ヒョウは舌で口元を舐めた後に強靭な脚力を駆使して特殊部隊たちの背後までに移動していた。

そして爪を伸ばして隊員の一人を後ろから串刺しにした。


遅れて気づいた他の隊長は隊員に即時命令し、ヒョウに向けて銃弾の雨を浴びせるが、ヒョウは串刺しにした隊員を盾にして全ての弾丸を防ぎ切った。


用済みと感じたか蜂の巣になった隊員を蹴飛ばして爪から引き剥がした。


「よし、加藤が抜けた全員撃てぇぇ!!!」


少し残酷なような物言いだが、特殊部隊のみんなだって生きるために戦っている。だから何としても敵を殲滅しなくてはならないのだ。

それを平気でぶち壊すのが妖の得意分野だ。


タイマーが残り5分となったところでほとんどの隊員が殉職した。残った瀕死の隊員にトドメを刺そうとした時だ、遠くから近づくバイクの音が近づき、死角から突進してきたバイクにヒョウは見事に突き飛ばされた。 


まだ本調子ではないがないが妖狩エージェント:『神狼』が現場に到着。ヒョウはバイク程度では傷付かず、平然と立ち上がる。


「ゲームの邪魔しやがって、何者だ!」


妖狩エージェント:『神狼』。ミッションを開始する!」


風雅の体からは黒い霧が時折吹き出し、激痛も伴っているが、ヒョウはそんなのお構いなしに高いスピード性能に加えて爪による攻撃を仕掛ける。


満足に動けないながらも何とか攻撃を回避する。ヒョウの右手を掴み、投げ技を駆使して地面に叩きつける。


さらに拳に風を纏わせ連続攻撃を食らわせる。最後の一発では拳に翡翠の狼のオーラを纏わせる得意技“疾風弾”の衝撃でヒョウの体内にある骨、内臓すらもズタズタにした。


ヒョウは血反吐を吐きながら後退し、風雅はその隙に積まれた廃車の裏に隠れ、痛みを抑えようとしていた。


「何処に隠れやがった狼野郎!俺の超能力から逃れられると思うなよ!」


そう言うとヒョウの瞳孔の形がスコープのように変化し、辺りを見渡す。


          ー「“狩人ハンター”」ー

瞳孔をスコープのように変化させ、相手の臭いを可視化させ獲物を追跡する。


その場で首を動かして風雅を探していたが、突如首の動きが止まり、不敵な笑みを浮かべる。そして爪を出し入れして風雅の隠れている廃車の山に近づく。


「おーい出てこいよー俺と遊ぼうぜーあと2分で俺のゲームが終わっちまうぜ?」


「じゃあ…終わらせてやるよ。」「!?」


風雅は急に廃車の後ろから飛び出して、手にはヒョウに惨殺された隊員が持っていたライフルを持っていた。

彼にはなれない銃という武器だが、躊躇わずに発砲し

た。


発砲された銃弾が向かう先はヒョウの右目だった。見事に右目を貫通し、ヒョウは悶え苦しみながら右目を押さえる。


「ぐぁぁぁ!俺の目がぁ!!」


「これで終いだ…!!」


風雅は右手に風を集めて最大威力の“疾風弾”を放とうと溜めの動作を始めた。


その瞬間だった。突如上空から三日月型の斬撃波が二人の間を裂くように振り注いだのだ。

巨大な砂煙を巻き上がり、煙が晴れると、そこには白い和服に身を包み、黒い刀を右手に持った黒髪長髪の男が立っていた。


風雅はそこで今まで体験したことのないような寒気に襲われた。恐る恐る男の素性を聞く。


「お前は誰だ…!」


「俺は…「死神」…。」


その名を聞いた瞬間、右目を押さえて悶絶していたヒョウはまるでその痛みを忘れたかのように怯え始めたのだ。


「し…「死神」だと!?まさか、ヘマした俺を消しに来たのか!?待ってくれ、まだ俺はやれるんだ殺さないでくれ!」


「何を勘違いしている。お前はまだ処刑対象ではない…。財団はお前に期待しているぞ。今は怪我を治し、万全の状態で狩りをすることだな…行け。」


ヒョウは「死神」の言葉に感謝し、その場から逃走した。風雅はすぐにヒョウを追跡しようとしたが、

「死神」は風雅に黒い刃を向ける。


「処刑対象は…お前だ。妖狩エージェント:『神狼』。」


「僕なんか死神さんに命取られるような事しましたっけねぇ。」


「貴様は妖にも関わらず今まで2年間、我々の同胞を葬り続けた…その報いを受けろ!」


「死神」は刀を振り風雅に襲い掛かる。刀身は禍々しいオーラを放ち、振る度に三日月型の斬撃波を発生させ、回避が非常に困難なのだ。


「死神」はさらに体術まで駆使して蹴り一発で風雅を廃車の山まで吹き飛ばす。

そして黒刀を鞘に納刀した。


風雅は何が来るか分からないが、ものすごくヤバいということがだけが分かり、最大出力の“疾風弾”を無意識に放ってしまう。


一方、「死神」は納刀した後に息を吸い、瞳を閉じる。そして身体から禍々しい紫色のオーラと赤黒い電撃を纏い、ついに目を開いて妖しき刀を抜刀する。


           「“斬月”!!」


「死神」の刃から放たれた赤黒い三日月型の斬撃波は風雅目掛けて飛び、一撃にして“疾風弾”の狼のオーラを一刀両断に切り裂き、風雅の右腕までも斬り落としてしまった。


「が…あ゙ぁ!!」


「次は首だ…。妖でありながら同胞を殺した罪…その身を持って贖うがいい…。」


「死神」が迫ってくる。これ以上決定打になるような技もない。逃げても殺される、立ち向かっても殺される、痛みに耐えながらどうすればと考えた時、心の中から『神狼』が話しかけて来たのだ。


『なぁ、俺の力を使えよぉ。そうすればあのいけすかねぇ「死神」をぶっ殺せるぜぇ!』


「わかったよ…お前の力を寄越せ!!」


『へへっ…契約完了だ…!』


「死神」が黒刀を地面に沿わせながら近づくが、風雅の身体から黒い霧が吹き出し、ついに全身を覆ってしまった。


黒い霧が新たな右腕を生成し、顔を多い、視界にノイズが走る。そのノイズの中には悪夢に出てきた崩壊した街、灰化した人の死体、慟哭する子供たちのビジョンが映し出され、ガクッと首が落ち、完全に意識を失った。


「ガルル…!!」


「己の式神に乗っ取られたか…黒い霧、貴様も…!」


    「ウォラァァァァァァァァ!!!!!!」


                 EPISODE 11「死神」完

          次回 第12話

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