第2章6話:「逃げ場のない予感」
画面が一瞬静止し、次の指示が浮かび上がる。
《ポーズ:薄手の部屋着に着替え、ベッドの端に腰掛けて両手を太ももの上に置く》。
(……水着よりは……でも、見せること自体が……)
(それでも……ルール上、断れない……)
〈羞恥で体の芯が熱くなり、視線を意識するだけで背中がぞわりとする……〉
美雪はゆっくりと着替え、言われた通りベッドの端に腰を下ろす。
姿勢を正そうとすると、かえって落ち着かなさが際立つ。
(こんなふうに座ってるところまで……見られてる……)
〈羞恥で胸の奥が締め付けられ、息が浅くなる……〉
コメントが流れ始める。
《距離が近くていいね》
《さっきより緊張してる?》
《うーん、もう一押し欲しいかも》
投げ銭合計:1,150,000コイン(伸びはあるが勢いは弱い)
(……やっぱり……反応が微妙……)
(でも……ここで止まったら……帰れない……)
〈羞恥で体がこわばり、じっと見られる感覚が離れない……〉
美雪は視線を落としたまま、次の表示を待つ。
(まさか……本当に……このまま……)
〈羞恥で胸がざわつき、落ち着かない鼓動が続く……〉
特殊装置を通して映る画面上の自分は、
少しずつ“いつもの配信者”から遠ざかっていく。




