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save  作者: 人生暇人
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紫の髪が風によってふわりと広がる。

綺麗な雪景色を背景に私の目に映るのは貴方で、貴方の真っ黒で黒曜石のような瞳には私しか映らない。

静かに上げられた手には殺意を感じる先の鋭いナイフが握られている。そのナイフは私が貴方に護身用として無理矢理持たせた物だ。

その髪の毛も、よく手入れをした。

貴方に髪留めとして紐を贈ったのに、結局は面倒だと私に結ばせるものだから困ったものだった。今は私がその紐を持っている。

殺されそうなのに、こんなにも冷静でいられるのはきっと最初からこれを覚悟していたからだろう。

そもそも約束だったけか、それすらも忘れてしまうほど長い月日が経ってしまった。


少しずつ体の力が抜けていく、ああ、死とはこのようなものであるのか。

背後にある木に背中を預け少しずつ体を重力に従わせ、貴方を目に映す。


何を考えているのか分からなかった、貴方へ。



ずる…ずる…と大きい獣を引きずる。

今日は大物だ…と嬉しくも疲れ切った体を無理やり動かして足を速める。

場所が森のせいで、獣が木の根っこに引っ掛かるたびに一旦下ろして、一気に引っ張るを何度も繰り返さなければいけない。

これが中々面倒なもので私は軽く舌打ちをする。この作業を繰り返すたびに本格的に頭が回らなくなっていくが、取引相手のことを考えなければいけないのでぶつぶつと独り言を言いながら森の出口へ歩いていく。その姿はぎりぎり悪魔か魔女の類にも見えなくはないだろう。


「…今日はユーラさんと取引しよう。そしたら母さんにもバレないだろうし…」


アルガル村に着いた今もぶつぶつと独り言を続ける。

母親にバレないように狩りをしているのにも理由はあるが、それは今すべき話ではないだろう。そんな私の姿を見て村人は見慣れたように、恐れるように距離を取りながら私を見る。


「今日は誰にそれを卸すんだい?」


近所のおばさんが興味ありげに私へ近づく。

本当に近所のおばさんには敵わない、こんな血みどろな子供が一人いたら驚いて逃げるか、大都市から派遣されている衛兵にでも突きつけるだろうに。


そんな風に称賛にも近い感想を抱きながら、私はおばさんの顔も見ずに


「ユーラさん」


とぶっきらぼうに答える。

おばさんは少し残念そうにしながらも、次は私にも卸ておくれと私の頭を撫で、私の口の中に甘い飴を入れて離れた。本当にお人好しでびっくりしてしまう。


その後、なんやかんやしっかりと取引をして、それで得た金を持って家へ歩き出す。

取引先の家で、身なりを軽く整えさせてもらった上に貴重な石鹸まで使わせてもらってしまった。そのため、取引の時にそこまで高く要求するのは気が引けてた。優しい私にはそんな悪魔のようなことはできない。


ジャラリと音を立てる袋を持っていると、達成感をひたひたと感じる。こんな状態で静かな整えられた道をゆっくり進んでいると、気分が良くなるおかげで、いつもより楽しい気持ちになる。

でも、そんな楽しい時間も終わりだ。


「全く…ユキ!貴方、お母さんに言うことがあるでしょ!」


怖い形相の母親が立っていた。


その後は言うまでもなく、私は怒られた。

お母さんは私が森へ行き、お金を稼ぐことについてあまりよく思っていない。村が食糧難へ陥った時はとても喜んで、私の頭をこれでもかというほど撫でたのに、今じゃこんな風に怒られてばかりだ。

私が稼いだお金のお陰でお父さんがいなくても、食べるものに困らなくなったのに。


なぜだろうか。どうしてなのか。なんて何度も考えたが、答えは見つからない。ならば、自分の考える『正しいこと』を突き進むだけ。


そんなだから、目にとまってしまったのだ。


【森に獰猛な猪!倒した者には1000ゴールド!】


そんな張り紙を見た瞬間、私の頭にはどうやってこの賞金首を倒すかということしかなかった。


【アルガル村とは】

シリフ国の辺境にある村。大都市からは遠いため、衛兵の派遣は少ない。最近はシリフ国の大都市付近の発展による開拓のため、アルガル村付近の森に住む動物が増えている。自然豊かな土地であることから、大都市では自然保護区としての保護の検討が進められているらしい。


亀更新ですが全部書き切ります。


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