ダンジョン7階層のスライムは?
出てくるのは、スライムだろうって思ってるけど、何スライムかは予想がつかないよね。
6階層の花スライムとか味スライムだって、思ってもみなかったもん。
さらに、酒スライムだしね。
この階層はどうかな?
「ナビィ、魔物いたら教えて!スライムだと思うけど」
『りょーかいです、マスター』
「蒼は、いつも魔物どうやって探してるの?」
「俺は、探知だな」
「たんち?」
探知、かな?
「そう、薄く魔力を広げてその魔力に魔物がぶつかると、
魔力を伝わって何かがいる事がわかる感じだな」
ん?
難しいことしてるのね。
「どんな魔物かは、わからない?」
「そこまで精度はよくないな」
そうなんだ。
あっ、索敵もなんかいるって感じだもんね。
同じような感じかな?
『マスター、いました!アイアンスライムです』
アイアン?
鉄?
鉄のスライム!?
硬いの!?
「蒼、アイアンスライムって見たことある?」
「ないよ。って言うか、ここのダンジョン以外のスライムは無属性しかいないぞ?」
うそ?
ホントに無属性のスライムしかいないの?
「ナビィ、アイアンスライムはどこにいるの?」
あっ、また忘れてた。
マップ起動。
なんかたくさんいるっぽいな。
けど、どこ?
「蒼、その辺にたくさんいるっぼいんだけど、わかる?」
「探知には、反応するけど、どこだ?」
どこにいるかわかんないけど、いるなら鑑定してみればいい?
鑑定
スライム(鉄属性) レベル13
スライム(銅属性) レベル13
スライム(銀属性) レベル13
スライム(金属性) レベル13
はい!?
鉄に銅に銀に金?
「蒼…鑑定したら鉄スライムと銅スライムと銀スライムと金スライムが表示されたんだけど、どこにいるかな?」
えっ?
ホントにどこにいるの?
「俺も鑑定した。地面にいるのか?」
しゃがみ込んだ蒼に、
『気をつけて旦那様!』
その言葉に蒼が、反応して飛んできた何かを避けた。
何を?
『マスター、旦那様。5ミリくらいのスライムです』
5ミリ!?
そんな小さいの!?
もしかして、この小石みたいなのがスライムってこと!?
小麦畑や大麦畑を区切ってある通路…畦道って言うんだっけ?
そこに転がってる小石?大きめの砂粒?みたいなのがスライムってこと!?
鑑定
スライム(銅属性)
自身を飛ばして、物理攻撃をしかける
足の下に潜り込み転ばせようとする
他の属性も同じ鑑定結果だったわ。
地味に嫌な攻撃をするわけね。
でも、私は飛んでくるのは避けられないわよ?
知ってる?
私の敏捷値は運の次に低いのよ?
蒼はさっき普通に避けてたけど。
蒼に飛んできて物理攻撃をしてくることと、転ばせようとすることを伝えると、
「蓮、避けられるか?」
「ムリに決まってるじゃないのよ。物理防御結界張るわよ」
物理防御値も低いのよ。
魔法でなんとかカバーするしかないじゃない?
「でも、こんな小さいのどうやって倒すのよ?
そもそも鉄スライムとか硬いの?」
それとも属性が金属なだけで、柔らかいの?
「確認するから、ちょっと待ってろ」
「どうやって?」
「飛んできたスライムを斬る」
えっ!?
斬る!?
あんな小さいスライムを?
それって、銃弾を斬るみたいなことじゃないの?
蒼が、剣を一振りして何かを斬った。
えっ?
今、スライム飛んでたの?
全然見えなかったんだけど?
『メグミハントダンジョン7階層初回魔物討伐特典が冴木蒼に贈られます』
『スキル【ステルスシールド】が冴木蒼に贈られました』
「蓮、ごめん。初回特典を俺がもらっちゃった」
言われれば、確かに。
でも、別に入場特典はもらってるしね。
「大丈夫だよ。で、ステルスシールド?って何?」
いいのかよって、苦笑しながら、
「見えない盾みたいだな。
これを起動したら自分の周りに展開されて、
飛んでくるスライムをふせげるっぽいぞ?」
えっ?
いーな、それ!
飛んでくるスライム斬れる蒼よりも、
私の方が必要なのでは?
「ただ、自分から魔法攻撃が出来なくなるっぽい」
えぇー?
じゃあ、私と相性の悪いスキルじゃないのよ。
なんだ…残念。
「そうなんだ?なら、私には不要なスキルだねぇ。
で、スライム硬かった?」
「いつものスライムと変わらないと思うぞ」
「ホントに?それなら魔法で倒せるかな?」
しかし、どれが石でどれがスライムかわからないよね。
あっ、マップにはマーク出てるよね。
それなら!
マップのマークの場所に向かって魔法で攻撃すればいいよね?
『スキル【マッピング】がレベル1になりました』
はっ?
なんかいきなりレベル1になったけど?
あっ!
地面にマップが重なって見える。
マークのところにスライムがいるの?
アースニードル×10
おー、倒せたっぽいよ?
インベントリに魔石が38個入ってる。
ニードルってさ、1回の攻撃で針が3つとか4つとか出るよね。
経験値 前
1,064,226,865/12,454,041,600
魔石38個×レベル13×7階層×経験値1万倍
経験値 後
1,098,806,865/12,454,041,600
あんまり増えた感じがしないね。
でもまだまだたくさんいるよ。
『メグミハントダンジョン7階層初回魔法討伐特典が贈られます』
『魔導具【成形ボード】が贈られました』
成形ボード?
インベントリに入ってるね。
何するものなのかな?
帰ったら鑑定しよう。
今は小さいスライムをどうにかしないとね。
「蒼、この間使ってたプレスってスキル?魔法?で、
スライムどうにか出来ないかな?」
「なるほど?やってみるか」
「プレス」
何をどうしたのかわからないけど、
マップと重なってる畦道の一面のスライムのマークが一気に消えた。
押し潰したってこと?
「うわっ、今のプレスで魔石が146個インベントリに収納されたぞ」
「えっ!?146!?」
あの辺にそれだけいたってこと!?
「しかもレベルアップしたぞ」
「えっ!?今のだけで?どのくらい経験値入ったかわかる?」
「9万ちょいだと思う」
9万ってことは、魔石146個×レベル13×経験値倍率50倍かな?
×階層はなさそうだね。
×階層は、私だけっぽいね。
やっぱり私の経験値も必要経験値も、みんなとは違うみたいね。
「この階層は、レベルアップしやすいかもな」
「どこにスライムいるかわからないけどねぇ」
「プレスは取得してないのか?」
「してなかった」
すっかり忘れてたよね。
プレスよりも、ローラーみたいな魔法はないのかな?
道路工事とかで、アスファルトならしてるヤツみたいなので、
畦道ゴロゴロしたら、めっちゃ潰せるんじゃない?
そんな魔法あるのか知らないけど。
『スキル【ローラー魔法】を取得しました』
えっ!?
ローラー魔法なんてあるの!?
鑑定
ローラー魔法
円柱型の魔力の塊が回転する
マップと連動
開始と終了位置を設定する
その範囲を転がる
「蒼、なんかこの階層だけで活躍しそうなスキル取れた」
「ん?どんなスキルだ?」
私がローラー魔法の説明をすると、蒼が爆笑した。
えっ?笑うところなの?
「マジで?なら、あの辺の区画でやってみてくれよ」
蒼が、プレスした畦道とは、逆側の畦道を指定してくる。
「わかった」
ローラー魔法を起動して、マップの畦道の場所を指定する。
すると、出来上がったローラーがゴロゴロと指定したところを行ったり来たりし始めた。
どうやったら止まるのかな?
スライムがいなくなったら止まる?
それとも道が平らになったら?
あっ、止まった。
えっ?ローラーも消えるの!?
魔力1,000くらい減ってる。
「終わったのか?」
「そうみたい?」
「スライムどのくらい倒した?」
インベントリの魔石の数は…
えっ!?
361個!?
あっ、さっきの38個も含まれてるね。
なら、322個だね?
ちょっと多くないかな?
あれ?1個だけ別になってるのがあるね。
「さっきのニードル分抜いて322個と別で1個入ってる」
「マジかよ」
マジのようですよ?
経験値 前
1,098,806,865/12,454,041,600
魔石322個×レベル13×7階層×経験値1万倍
魔石1個×レベル14×7階層×経験値1万倍
経験値 後
1,392,806,865/12,454,041,600
やっぱり経験値1万倍じゃダメかも?
10倍のダブルクリップもうひとつ追加した方がいいかも?
この魔石の買取価格が100円とかだったら、追加しなくてもいいけど。
地道にローラーでゴロゴロするのもありだけどね。
「それだけ倒したなら、レベルアップしたんじゃないか?」
あー、とうとう聞かれちゃったな。
聞かれるまでは黙ってようと思ってたんだよね。
でも、ちゃんと聞かれたら答えるつもりだったんだよ。
「あー、なんか私のレベルアップに必要な経験値って、どうもおかしいんだよね」
「少なくていいとか?」
残念…
「逆、ものすごい必要なの」
「ものすごくって…?」
レベル14になるためには、12,454,041,600必要だと言ったら、蒼が絶句した。
だよねぇ。
そうなるよねぇ。
「どういうことだよ!?」
そんなの私が聞きたいよね。
「全然わからない」
「最初から経験値すごい必要だったのか?」
「最初は、レベル2になるには必要経験値は2で、
レベル3になるには必要経験値は4。
レベル4になるのに必要な経験値は12だったし、
レベル5には必要経験値が48で、
レベル6には必要経験値が240とかだったの」
「確かにそこまで多くないけど、急に上がったな」
そうなのよね。
で、そこからどんどん桁が増えていったのよねぇ。
「なるほど?それならレベル7には1,440じゃないか?」
「えっ!?なんでわかったの!?」
「法則あるだろ?」
えっ!?
法則なんかあった!?
単純に10倍とかでもないし、法則なんてある?
私が首を傾げると、
「レベル3になるには、必要経験値4なんだろ?」
「そうだったよ?」
「ってことは、レベル2×レベル2の必要経験値じゃないか?」
レベル2の必要経験値は2。
つまり2×2ってこと?
レベル3×4で、レベル4の必要経験値が12!?
ホントに!?
レベル8に必要な経験値は、レベル7×1,440ってこと!?
うわー、ホントだ!
10,080だわ。
待って?
だから、レベル10超えたあたりから、レベルアップするたびに桁が増えてるの!?
嘘でしょ!?
次は1000億超えるの…
ものすごくゲンナリしても仕方ないわよね…
よし、経験値の倍率をもっと上げよう…
うん、そうしよう。