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ダンジョン庁ダンジョン課が来た〜メグミハントダンジョンへ

「ここですか?」

「はい、ここです」


今、元は収納庫だった場所の扉の前にいる。


「食料品の収納庫だったんですが、何もなくなりました」


そう言って私は扉を開けてみせた。

冴木(さえき)さんが一言、言った。


「間違いなくダンジョンの入り口ですね」


見ただけでわかるんだ?

冴木さんはどこから出したのかスニーカーを用意していた。

革靴でダンジョンもないか。


「確かに他人をゾロゾロと入れたくはないのは、わかりました」


それはよかった。


「私のダンジョン入りを許可していただけて、ありがたく思います」


しかたないじゃない?

冴木さん1人が妥協点だったのよ。


私は収納庫の電気をつけながら言った。


「では行きましょうか」


私に続いて、冴木さんが足を踏み入れた瞬間聞こえてきた。


『メグミハントダンジョン初回入場特典が冴木(さえき)(あおい)に贈られます』

『スキル【鑑定】が冴木蒼に贈られました』



「えっ!?」


冴木さんが呟いた。

今のって、もしかして?

冴木さんにも聞こえたってことよね?

あれ?なんで私にも聞こえたのかな?

ってか、誰にでも特典贈られるの!?


緑川(みどりかわ)さん、初回入場特典ってなんですか?」


知りませんよ。

そっちのが専門でしょ!?


「さぁ?私が教えて欲しいですけど。他のダンジョンでも、入ると何かもらえるんですよね?」


「いえ、そんな話は聞いたことがありませんし、

私も色々なダンジョンに視察で入っていますが、

こんなことは初めてです」


うそでしょー!?

このダンジョンだけなの!?

なんで!?

…って、考えたところで私にわかるわけないじゃない?


ってか、報告されたらダンジョン課とかの人とか視察チームとか押しかけてこない!?

絶対ムリなんだけどーーーー。


「あの!このことは秘密にしてもらえませんか!?色んな人が来たいと言いそうだし、困るし、絶対にイヤなので、お願いします」


ガバッと頭を下げてお願いする。

冴木さんは困るよね。

報告の義務もあるだろうし…

でも絶対イヤなんですけど。


「…承知しました。今の件は秘密としましょう。間違いなくここに来たい人が殺到するでしょうから。2人の秘密、ですね」


男前が人差し指でシーとかやらないでよ。

可愛いから。ズルいから。

ってか、2人の秘密って言い方!

自分が男前だってわかってやってるわよね?

若い子なら堕ちるわよ?

アラフォーのおばちゃんにサービスしてくれなくてもいーのよ?

でも、秘密にしてくれるのは感謝します。


「ありがとうございます!」


心からの感謝を!

いきなり出鼻くじかれた感、満載ですけどねぇ。


「とりあえず、降ります?」


聞いてみた。


「えーと、はい。そうしましょう」


階段を降りると、冴木さんの動きが止まった。


「これは…」


やっぱりこの光景も変ってこと?

って、えぇーー!?

昨日は田んぼには苗植えたばかりみたいだったのに、なんで今日はもう稲穂なの!?

もしかして、明日になったら精米されて食べられるのでは!?

意味わかんないけど、楽しみ増えたかも。


「冴木さん?」

「あーすみません。この階に、あの魔石のスライムがいたのですか?」

「はい、その辺にいましたよ?」


今日はどこにいるのかな?



索敵



んっ?昨日よりたくさんいない?


「スライムって増えますか?」

「はい、時間が経つと増えたり、たくさん食べたりすると分裂して増えると言われています。もしかしてたくさんいるのですか?」

「はい、昨日の4倍くらいいる気がします」

「そんなにですか?よくわかりますね?」


本当は索敵とマップだけど、鑑定でもわかるんじゃない?


「冴木さんも鑑定でわかるのでは?」

「あーそう言えば、先程いただきましたね。確認してみましょう」


冴木さんも無詠唱を持ってるのかな?

それとも実は詠唱する必要ないとかかな?


ナビィ、やっぱりポンコツなのでは?

ってか、ダンジョンに入ってるのに、ナビィいないってどういうことかな?


「あっ、いました、スライム。スライム自体が属性ありなんですね。なるほど」

「ってことは、他のところのスライムは属性ないんですか?」

「ないですね」


そうなんだ?

なんでここのスライムは属性持ってるのかな?


「あのスライム倒してみてもいいですか?」

「どうぞ」


冴木さんは何もないところで弓をひくような動作をしてから、矢を放った。


えっ!?矢!?

何?どうなってるの!?


冴木さんは、倒したスライムのところへ行って黄色の魔石と小瓶を持って戻ってきた。


「ヒールポーションでした?」

「はい、鑑定にはヒールポーションと出ました」


やっぱりそうだよね。


「こちらもお預かりしても?」


んっ?冴木さんが倒したんだから冴木さんのじゃないの?

首を傾げると、


「私は国の職員なので、ダンジョンでの収入はいただけないのです」


えー?そうなんだ?

別にこのくらい良さそうなのにね?


「なので、緑川さんのものになるので、お預かりしても?と」


なるほど…?

よくわかんないけど、頷いておいた。


「ありがとうございます」


ダンジョンの存在確認と、スライムの確認はしたとのことで、家に戻ってきた。



「あっ、聞いてもいいですか?さっきのスライム倒したのってなんですか?」

「ウインドアローです」

「アローはみんなあーやって弓を引くようにするんですか?」

「あ、いえ。人それぞれですね。私はあのやり方が1番しっくりくるのであの型でやってます」

「自分のやりたい、やり易いので大丈夫ってことですかね?」

「そうですね、剣から魔法飛ばす方もいらっしゃいましたよ」


それはすごいかも。


「私もやり易い方法探します」


なんか簡単なヤツが良いよね?


「それがよろしいですね」

「そういえば、さっきダンジョン収入って言ってましたけど、買取してもらったのがダンジョン収入になるんですよね?

税金とかどうなりますか?

確定申告とかしないとダメになりますか?」


面倒なことはしたくないんですけど?


「その辺の説明をしていませんでしたね。

あの買取価格表の金額は、税金がすでに引かれた金額となっています。

ですので確定申告する必要もありませんし、

あとから追加で徴税されることもありません」


それは面倒がなくていいね。


「なるほど、もし不明点が出てきた時は、冴木さんに問い合わせの連絡をして大丈夫でしょうか?」


「もちろんです。緑川さんの担当は私ですので」


「わかりました。よろしくお願いします」

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― 新着の感想 ―
楽しく読ませて頂いています。 必要経費とかはどうなるのだろう? 公務員が報告義務怠るのも、後々面倒に……なるほど、振りか。
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