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ダンジョン庁ダンジョン課が来た〜説明

本当に来た。

13時ピッタリに玄関のチャイムが鳴った。


さすがに、休日モードのスウェットの上下はいかがなものかと思ったから、フレアタイプの柔らかジーンズにTシャツに、うっすら化粧だ。

休日に化粧とかしたくないんだけどね?

しかたない。


昨日寝る前に飲んだヒールポーションはオススメされただけはあった。

起きたら信じられないくらいの肌のハリだった。

これは毎日飲むべきね。

決定事項よ。

だからスライム倒さないとね?


玄関を開けると、ビシッとスーツの黒縁セル眼鏡の男前が立っていた。


「はじめまして、冴木(さえき)(あおい)です」


お辞儀され名刺を渡された。

ダンジョン庁ダンジョン課ってホントに書いてあるわー。

昨日電話で話した声と同じでバリトンのいい声ね。

聞いてて落ち着く声?

キンキン声の男性とかは苦手かな。

イラッとしない?

私だけなのかな?


緑川(みどりかわ)です」


とりあえずこちらも頭を下げる。


「最初にダンジョンのご説明などから始めたいのですが、よろしいでしょうか?」


そう言ってたもんね。


「はい、ではこちらにどうぞ」


茶の間へと案内する。

ソファとかなくてすみませんね。

座布団に座卓なんです、うち。


「暖かいお茶と冷たいお茶、どちらがよろしいですか?」


冴木さんに確認してみる。


「では、冷たいお茶を」

「座ってお待ちください」


私はさっさと、台所へ移動する。

はぁ、なんか緊張する人ね。

グラスに氷とお茶を入れて戻る。


「どうぞ」


なぜか、ちょこんと座ってるように見える冴木さんの前にグラスを置いた。



「ダンジョンは昨日発生したのですよね?」


私は頷く。


「ダンジョンナビゲーションから、何か説明はありましたか?」

「ダンジョンネットワークで繋がってるとかなんとか?」


って、ナビィが言ってたよね?


「はい、実は都庁の地下にもダンジョンがあります」


はっ!?都庁!?

それで国もダンジョンネットワークに繋がってるってことなのかな?


「この国には、現在300ほどのダンジョンが確認されています」

「はっ!?そんなに!?」

「はい。ではなぜ公表されていないのかと思いますよね?」


そりゃ思うよね。

存在すら思ってもみなかったもん。

頷いた私に、


「都庁のダンジョン以外、小さいダンジョンなのです。緑川さんのところのダンジョンと同じように」


なんでうちのダンジョン、小さいってわかるのかな?


「でも小さいからって、安全なわけでもないですよね?」

「そうなのですが、ダンジョン攻略を終えてもらっては困る事情もあります」


ダメなの?


「えーと?」

「ダンジョンの最下層にあるコアと呼ばれる核を壊すと、ダンジョンの機能が失われ、ダンジョン自体が無くなります」


別にそれで良くない?


「そうなると、魔石などを手に入れることができなくなります」


買取してるんだっけ?


「魔石って何かに使えるんですか?」


鑑定しても使い道どころか、何もわからなかったんだけど?


「はい、エネルギー資源として魔石を利用する研究をしています。やっと火力や原子力などに代わるエネルギー源としての目処が立ったところなのです」


なるほど?

だから、永続的に魔石は採り続けたいよってことか。

エネルギー源の自給自足か。

この国、それが出来てないもんね。


「魔石は買取してくれるってことですよね?」

「はい、みなさん月に一度くらい、魔石をまとめて、お持ちいただいてますね」


持っていく?


「どこに?」

「都庁にあるダンジョン課、にですね」


ダンジョン課って都庁にあるんだ?

仕事帰りに寄れるからいいか。


冴木さんが鞄から一枚プリントを取り出して渡してくれた。

見てみたら買取価格表だった。


スライムの魔石、1個100円?


やっすいな。

あー最弱だから?

属性関係ないんだ?

一律なのか。


「魔石の属性は関係ないんですねー?」


ポロリとこぼれた疑問の言葉に、冴木さんが反応した。


「今なんと!?」

「えっ?」

「魔石の属性と言われましたか?」


言ったね。


「はい、魔石に属性ありますよね?」

「いえ、聞いたことないです」


はっ!?

だって昨日のスライムの魔石、属性あったけど?


「えっ?でもだって、えっ!?」

「もしかして、昨日倒したスライムの魔石に属性があったと言うことですか?」


その通りなので私は頷く。


「その魔石、見せてもらえませんか?」


元々そのつもりで用意はしてあるけど、なんか面倒ごとになりそうな予感しかしないんだけど?

ならないことを祈るしかないかな。


「これですけど」


テーブルに6個の魔石を乗せた。


「えっ!?これ本当にスライムからドロップした魔石ですか!?」

「そうですけど?」


なにかおかしいの?


「他のダンジョンでドロップするスライムの魔石はもっと小さくて、この4分の1くらいの大きさで色は透明です」


はっ!?


水属性のは薄い水色だし、

火属性は薄い赤色だし、

風属性は薄い緑色だし、

土属性は薄い黄色してるんだけど?


透明なの!?


そんなところでも違いが出るの!?

入り口が家の中にあるだけでも、異質っぽいのに?

どうするのよ。


「緑川さんのスライムの魔石は、この価格表では意味をなしませんね。これは絶対に100円ではないです」


あーそうなのね。

ならいくら?って聞いても、この場ではわからないか。


「緑川さん、この魔石を一旦預からせてもらえませんか?

この魔石に含まれる魔力量などを検査して価格を算出したいのですが…

もちろん属性分もプラスにはなると思います。

預かり証も書かせていただきますので」


まぁ、私が持っててもしかたないしね?

いくらで買取してくれるかはっきりすれば、

モチベーション上がるかもだしね?


「わかりました」


水属性と土属性の魔石を2つずつ。

風属性と火属性の魔石を1つずつ。

預ける旨を了承した。


「他に何かドロップしましたか?魔導具なども買取致しますよ?」

「魔導具?ってなんですか?」

「そうですね、簡単に言うと魔石や魔力で動く道具ですね」


家電みたいなもの?

全然ピンとこないんだけど。

それがわかったのか、冴木さんは続けてくれた。


「たとえば、結界を張る道具ですとか、魔法攻撃の威力を倍増する道具ですとか、即死攻撃を肩代わりしてくれる、なんてものもあります」


へぇー?

そんなのもドロップするってこと?

もっと強い魔物とかからってことかな。


「すごいものがあるんですねぇ」

「ドロップした際は是非」


出るとは思えないけど。


「うちは、魔石とヒールポーションしかドロップしてませんしね」

「ヒール?」

「はい、ヒールポーションです。ポーションはドロップするんですよね?」


ナビィがそう言ってた気がする。


「ポーションはドロップします」


そうよね、なら良かった。

価格表にもポーション1500円ってなってるもんね。

そのくらいなら寝る前に飲むかな。


「ですが、ヒールポーションは初めてだと思います」


はいっ!?なんですって!?


ポーションとヒールポーションは違うものなの!?

ポーションはポーションじゃないの!?


「ヒールポーションも一本お借りできないでしょうか?」


そう言われたら渡すしかないよね。

けど、インベントリに入ってるのよ!?

どうするのよ?

台所から取ってくるフリしよう。

そうしよう。


「今取ってきますね」


台所でインベントリから一本取り出した。

冴木さんに渡すと、


「私の知っているポーションの色とは違いますね」

「これも価格が変わると?」

「そうなると思いますよ?」


ホントに!?


うちのダンジョンどーなってるのよ!?

がっつり面倒ごとだらけじゃない。

しかもこれからダンジョン行くんでしょ?

何もない気がしないんだけど!?


あーもーいやだーーー。

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― 新着の感想 ―
「今取ってきますね」台所でインベントリから一本取り出した 他人の目の前でインベントリを使用する危険性をなんとなく理解してるんだね。
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