ダンジョンがあるので仕事辞めていいですか?
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課長が交代してから、
まともに仕事が?職場が?機能していて実に平和だわ。
課長代理も返上したし、元の仕事に戻ったからね。
平和だわ。
他のみんなもやっと新しい課長、社長の長男の腹心に慣れて信用出来そうだと判断し始めた。
それは色々と良い方に転がったと思う。
もしかして辞めるチャンスなのでは!?
ダンジョン収入で生きていけるし、
どっちかと言えば錬金とかやって暮らしたい。
魔導具作ってたいよね。
ポーションの比率実験してる時間は楽しいし至福だよね?
魔法陣の研究とかもしたいよね。
よし、年末のボーナスもらってから辞めよう。
そうしよう。
あっ、冴木さんに相談した方がいいのかな?
そんなことを思っていたら課長に呼ばれた。
イヤな予感しかしないんだけど?
ボイスレコーダーオンにしておくわ。
「課長、お呼びですか?」
「あー緑川さん、コレを」
手渡された紙切れ1枚には辞令の文字が。
「何ですか、これは?」
そもそも課長の後ろの人誰です?
そのガチムチマッチョな人。
「見ての通り辞令だが?」
「なんですか?このありえない内容は!?お断りします!」
統括本部長付き秘書として云々…
「私は事務です。秘書なら秘書課の人にお願いしてください」
「おかしいな。普通は喜んで俺の秘書になりたがるのだが」
課長の後ろにいたガチムチマッチョが言った。
ってことは、こいつが統括本部長?
ってことは、社長の長男じゃないの?
うわー、ありえないんですけど?
「では、そのなりたがる人にお願いしたらよろしいのでは?私はお断りします」
「次期社長の俺にそんな口を利いてもいいのかな?」
またかよ。
こいつらの一族みんな、頭おかしいんじゃないのかな?
「なんですか?またですか?
次男に続いて社長に長男も、
権力で物事を進めようとするんですか?
絶対にお断りです」
ちょうどいいじゃない?
辞めるにはもってこいなのでは!?
長男は豪快に笑って、
「合格だ!」
合格って何?
「はっ!?何がですか?」
「だから俺の秘書にだろ?」
人の話聞いてる?
「耳腐ってるんですか!?
何度も言ってますがお断りします!!!」
さっきから何度も断ってるのに、
なんで断られて驚いてんの?
こいつ全然キレ者じゃないんじゃないの!?
「俺の秘書だぞ!?」
「だからお断りしてますが!!」
「なぜだ!?秘書、いずれは嫁にと思っているのに」
はぁぁぁ!?
「頭も腐ってるんですか?
なんで迷惑しかかけられてない人たちと縁を結ばなくちゃいけないんですかっ!!
ふざけるのも大概にしてもらえませんか!?」
絶対、キレ者じゃないわ。
頭ん中花畑でしょ!
「俺は何もしてないだろっ」
「今、現在進行形で迷惑なんですが!?」
「だって俺の嫁だぞ!?」
何、その自信。
どこから湧いて来るの!?
「あなたの嫁にも!
あなたにも!
0.1ミリも!
0.1グラムも!
1億%全く!!!
興味はありませんので、
いい加減にして下さい!!!」
一言ずつ区切りなら、返答してみせる。
気持ち悪いから、
冗談はそのガチムチマッチョと、
ゴツい顔だけにしてくれる!?
「なんだと!?…俺は振られたのか阿倍野?」
「だから冴木と張り合おうとするな、と助言したではないですか」
なんでここで冴木さんの名前が?
次男に続いてコイツらも冴木さんに迷惑かけてるのかな?
ぶっ飛ばしてもいいかな?
いやいや、さすがにそれはマズイね。
「では、辞令は破棄と言うことにしておくからな」
いい加減すぎないかな?
「そもそもですが、私は年内で退職するつもりですから、お伝えしておきますね」
「なぜだ!?」
なぜ?
「もう、太刀川一族に迷惑かけられるのはうんざりなんですよ。
次男は逆恨みか何か知りませんが、
外で私のないことないことを吹聴したり、
悪口言って回ってるんですよ?
名誉毀損で訴えてもいいですよね?
長男は秘書だ嫁だと意味不明だし、
社長も次男を辞めさせたのは評価しますが、
あれを育てたのは社長ですからね。
あー、今すぐ辞めろとおっしゃるなら辞めますよ?もちろん会社都合で。
しっかり退職金もいただきますよ?
出来れば課長代理していた時の手当も欲しいですね?
事務員に秘書とか嫁とかセクハラパワハラも上乗せですかね?」
私は録音中のボイスレコーダーをポケットから出してみせた。
長男と課長の顔がみるみる青くなっていった。
ふざけるのもいい加減にしてほしいわっ!!
はぁーすっきりした。
さてと冴木さんにも事の成り行き説明して、話聞いてもらおう。
「改まって相談と言うのは?」
「私、年内で会社辞めようかと」
なんでそんなに驚いてるの?
「ご結婚されるのですか?」
はっ!?
「誰がですか?」
「えっ?緑川さんがご結婚されてお辞めになるのかと」
えー!?
それって1番あり得ない理由じゃないかな?
そもそも相手いないですけど?
「まさか、私って誰と結婚するんです!?」
「あれ?彼氏さんいるんですよね?」
はぁ!?
どこの何の情報?
誰からの情報なのかな?
「いませんけど?この間、幸運の指輪の時に言いませんでしたか?」
「…幸運の指輪は宝箱から出たやつとしか」
えっ!?そうだった?
でも私に彼氏がいてもいなくても、
冴木さんには関係ないのでは?
「それならなぜ退職を?」
「あー、あれです。
新しい課長が来てみんな落ち着いたし、
それに何より私が、魔導具とか作るのが楽しくなっちゃって。
会社に行く時間も、もったいないなって」
「そういうことでしたか」
それに、今日みたいな事はノーサンキューだよ。
「それに太刀川一族に迷惑かけられるのは、うんざりなので」
「なにか、ありましたか?」
実は今日こんなことがあったと説明したら、
冴木さんから何か冷たい怖いと感じるものが出てる気がした。
「冴木さん?」
「すみません、威圧が出てしまいました」
今の冷たい怖いやつのこと?
威圧って言うんだ?
「太刀川は基本出来るヤツなんですが、
なぜか俺に、
あっ、私に張り合おうとするんですよね、
小学生のころから」
勝手にライバル視されてるのかな?
素の冴木さん一人称、実は「俺」なんだ?
「私」しか聞いたことなかったよね。
ちょっと新鮮。
「しかし未だに張り合ってくるとは…
少し前に次男の苦情を長男に入れたんですよ。
たぶんそれで緑川さんに興味持ってしまったのかと…申し訳ないです」
「それでですか。
だからって秘書とか嫁とかふざけてますよね」
「嫁!?」
あれ?さっき説明で言わなかったかな?
「秘書をやって、いずれ嫁に、とか言われたんですよ」
ホントふざけてるとしか言いようがない。
「なるんですか?あいつの嫁に?」
冴木さん?
私の話聞いてました?
「まさか!0.1グラムも興味ないですよ。
0.1ミリもタイプじゃないですし」
「でも次期社長ですよ?」
「なおさらありえないですよ。
そもそも太刀川一族と関わり合いになんてなりたくないですよ」
なぜか冴木さんは、あー良かったですと笑っていた。
「何かおかしかったですか?」
「すみません、自分の勘違いがおかしくて」
冴木さんはひとつ深呼吸してから言った。
「緑川さん、私と結婚を前提にお付き合いしていただけないでしょうか?」
今、なんと?
結婚?
誰と誰が?
えっ?付き合う?
誰と誰が?
あっ、ダンジョン?
ダンジョン持ちだから?
「そんなにダンジョン好きなんですか?」
冴木さんは、怪訝顔だ。
「何の話でしょうか?」
えっ?あれ?
「私がダンジョン所有者だからじゃないんですか?」
だって、ダンジョンが趣味でしょ?
「どうしてそうなるんですか!
私は緑川さんがとても大切で、
とても愛しいと思っているのですが」
えっ!?
えぇぇぇぇーーー!?
「冴木さん、大丈夫ですか!?
私、アラフォーの地味なおばさんですよ!?」
所帯染みてますよ?
「緑川さんは、おばさんなんかじゃありません!とても綺麗です」
うそでしょー!?
眼科とか行った方が良くない?
それか絶対頭とか打ってるでしょ!?
脳神経外科とかの方がいいかも!?
冴木さんの顔を見たら、目が真剣だった。
「本気で言ってますか?」
「こんなこと冗談で言える性格はしてません」
うーん、それはなんとなくわかるけど。
「本当に私でいいんですか!?
ホントに奥さんとか彼女さんとかいないんですか!?」
「だからそんなのいませんって言いましたよね?私は緑川さんがいいんです」
うー。
そりゃ私だって思ったことはあるよ?
もし冴木さんがっ…とかさ?
黒縁セル眼鏡のいい声でシュッとしてる、男前の冴木さんは、私の好みどストライクなんだよぉ。
でもまさかこんなこと言われるとは思いもしなかったって言うか。
現実に起こるはずのないことだと思うじゃない?
「私のことを騙してません?」
ドッキリとかじゃないの!?
「そんなことをする意味がありますか?」
ダンジョンとか?
お金とか?
たぶん私より、私の預金金額を把握してるんじゃない?
「本当に本当ですか?」
「はい、本当に本当です」
本当なのかなぁ?
だって、私おばさんだよ?
色々拗らせてるアラフォーだよ?
冴木さんには、もっと美人さんがお似合いなんじゃないのかな?
「なんで私なんですか?」
そこがわからない。
ダンジョンが出来てから、
半年は経ってるから、
冴木さんとも知り合ってからそのくらい経つけれど。
でも迷惑しかかけてなくない?
「緑川さんはとても優しいじゃないですか」
優しい…?
そんなことないと思うけど。
「それに緑川さんは、
ガツガツしてないと言うか、
ギラギラしてないと言うか…」
あー、もしかして冴木さんって、
女性関係で嫌な事多かったりするのかな?
男前だもんね。
私は考えないようにしていただけだから。
「あとは」
まだあるの!?
「一緒にいて違和感がないんです」
あー、それはなんとなく私もわかる気がする。
「本当に私でいいんですか?」
「はい、緑川さんじゃなきゃダメなんです」
なんでそこまで?
私じゃなきゃダメなことなんかひとつもないと思うんだけど…
私はもう一度冴木さんの顔を見て、決めた。
「よろしくお願いします」
頷いたら、自分の気持ちにも嘘はついてないって、気づいた。
「ありがとうございます!こちらこそよろしくお願いします!」
そんな良い笑顔とかっ!
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