ダンジョンドロップ〜マジックバッグを鑑定しよう
あれ?
今さらだけど、本当に今さらなんだけど!
2階層に冴木さんも行くんだよね?
また2階層初回入場特典とか贈られちゃうんじゃないの?
大丈夫なのかな?
階層進めるたびに、特典贈られることにならない?
「お待たせしました、緑川さん」
「毎回すみません」
そう、結局私はまだ1度もダンジョン課に買取のお願いに行ってないんだよね。
半月に1度、お米取りに来てくれるから、その時に魔石もお願いしちゃってるんだよね。
それに加えて野菜もとなると、冴木さんの仕事がものすごく増えるのでは?
「大丈夫ですよ!はい、お待ちかねのマジックバッグです」
「ありがとうございます!触っても?」
「もちろん、どうぞ」
私は冴木さんからマジックバッグを受け取り、まずは鑑定をした。
鑑定
マジックバッグ(魔導具)
体育館ひとつ分くらいの量が入るバッグ
都庁ダンジョンの魔物からドロップした魔導具
おーすごい!
体育館!?
かなり入るってことよね?
って、都庁ダンジョンでドロップしたんだ?
すごーい!
なんの魔物からドロップしたんだろう?
まぁ、うちのダンジョンは関係ないか。
まだスライムしか出てこないし。
よし次は解析を。
解析
マジックバッグ(魔導具)
空間魔法と重力魔法で作られているバッグ
あれ?時空魔法は?
このバッグ時間停止機能ないのかな?
重力魔法?
私まだ持ってないよね?
あとで取れるかやってみよう。
ついでに分析。
分析
マジックバッグ(魔導具)
作成者の魔力総量で大きさが決まる
重力魔法で重さをカバンの重さだけにしないと持つことも出来ない
重さをゼロにすることは、おすすめしない
時空魔法で時間停止を追加するためには
特定のアイテムが必要だが
蓮のレベルが足りないので表示不可
そもそもこのマジックバッグは時間停止機能がない
なるほどね。
時間停止機能がないものなら、作れるかもってことよね?
魔力総量で大きさが決まるって、私の魔力だとどのくらいの大きさになるのかな?
「ありがとうございました!」
冴木さんにマジックバッグを返す。
「どうでしたか?」
「ものすごくたくさん入るバッグなのはわかりました!」
体育館ひとつ分だもんね。
ってどの体育館サイズなのかな?
「私は、ダンジョン課フロアひとつ分と鑑定に出るのですが、緑川さんはいかがでしたか?」
ダンジョン課フロア?
そのサイズも私には分かりにくいかな。
「私は、体育館ひとつ分って出ましたけど」
冴木さんが首を傾げている。
どの体育館?ってなるよね。
「なんで鑑定結果違うんでしょうね?」
そっちか!
確かに!
「でも都庁のダンジョンで、こういう魔導具?よく出るんですか?」
「なぜ都庁でドロップしたと?」
あれ?なんか内緒とかだった?
「鑑定に出てましたけど?」
「そうなのですか?」
冴木さんには、都庁ダンジョンでドロップは表示されてないんだ?
人によって見えるものが違うのかな?
あっ!私のって鑑定眼だから鑑定とは違うとかじゃない?
まぁ自分から申告しないけど。
「マジックバッグって作れる人っていないんですか?」
「聞いたことないですね」
「そうなんですか。じゃあダンジョンのドロップでしか手に入らないんですか?」
「今の所、そうなりますね。ほとんど出ないですけど」
そっかー。
もし作れちゃっても、売るのも買取も微妙かな?
まっ、チャレンジはするけどね。
「じゃあ、1階層でお米も収納してもらって2階層に行きましょうか」
「そうしましよう。ってお米もあるんですか?」
「さっきありましたねぇ」
なんかあったんだよねぇ。
もしかして、半月よりもペース上がるわけじゃないよね?
冴木さんにお米をマジックバッグに入れてもらって、2階層へ降りる階段のある小屋へと向かう。
「小屋の中なんですか?階段」
「そうなんですよ、すっごい探しました」
めちゃくちゃ歩き回ったのよ。
まさか小屋の中とか思わないじゃない。
階段を降りきったところで、案の定頭に響いた。
『メグミハントダンジョン2階層初回入場特典が冴木蒼に贈られます』
『スキル【体力増加3倍】が冴木蒼に贈られました。』
「えっ!?またですか!?」
「やっぱり特典ありましたかぁ」
「知ってらしたんですか?」
知ってたって言うか、私ももらったと言うか…
「もしかしたら?くらいには思ってましたけど…」
私は討伐でもこの階層でも、もらってるしねぇ。
「まさか?この先も新しい階層にお邪魔するたびに…?」
可能性はありますよねぇ。
「秘密にしてくださいね。お願いします」
ホントにホントにお願いだから。
「はい、それはもちろんですが…」
うわー、困らせてるよねぇ。
ごめんだけど、これだけは譲れないのでよろしくです。
マップ見たら、新しい倉庫が出来てた。
もう作ってくれたんだ?
仕事が早いね。
あの中に野菜が集められてるみたいね。
だって、マップ点滅してるもん。
お米のほうはまだだったけど、たぶん同じような倉庫が上にも出来るはずだよね?
「冴木さん、あの中ですね。野菜」
倉庫のドアを開けて驚いた。
こんなにあったの!?
「これはすごいですね!」
冴木さんも目を見開いて驚いている。
「こんなに大丈夫ですか?」
「それは大丈夫ですが、緑川さんの分はよろしいのですか?」
「私の分は、あそこに別になってますので!」
ホントに小さな詰め合わせにしてくれたみたいだ。
ありがたいなー。
あれ?2つあるけど?
「冴木さん、片方は冴木さんの分みたいです」
「?私もいただいてよろしいのですか?」
「鑑定には冴木さんの分って、なってますよ?」
気がきくのね、ダンジョンさん。
そう、昨日から話しているのはたぶんダンジョンのコアかマスターかだと思うんだよね。
だからダンジョンさんでいいかな?って。
そんなことを考えていたら、
ちゃら〜ん
『マザーコアなので、マザーとお呼びいただければ』
ど、頭の中で響いた。
ダンジョンさんと言う呼び方はダメだったみたいね。
マザーね。
了解よ、マザー!
改めてよろしくね!
冴木さんがいるので、声に出せないけど…
冴木さんが大量の野菜の詰まった箱を収納して、預かり証を書いてくれた。
マジックバッグに入れると、何がいくつ入ってるかわかるんだって。
そんな仕様なんだ?
えっ?重さもわかるの?
すごいのね。
私のインベントリはどうなの?
あっ、リスト出るんだね。
知らなかったなー。
なら、魔石いちいち数える必要なかったんだねぇ。
今度からはインベントリに収納してリストで確認しよう。
氷と雷の魔石とミドルヒールポーションも渡しておいたよ。
あと、普通のヒールポーションもね。
自分の分は自作するから大丈夫だもん!
預かり証の内容をみて、若干目まい起こしそうな数値だった。
乾いた笑いが出ちゃったなぁ………




