番外編8.冴木蒼の場合6
蓮がまたやらかした。
エリクサーとパナシーアを作ろうとして、別のものを作ってしまったらしい。
薬草を1種類間違えたらしいのだが、それで別の全然違う効果のポーションが出来上がるとか…。
今、蓮が手にしているのは、肉体的に10歳若返るポーションだと言う。
えっ!?
ってなるよな?
そしてまた世に出してはいけないものを作ってしまうとは…。
自分で飲むならいいでしょって。
飲むのか?
10歳若返ったら、ダンジョンでもっと動けるんじゃない?って言われて、悩んじゃったじゃないか。
よし、飲んでみるか!というと、蓮は2本のポーションを取り出した。
「蓮も飲むのか?」
思わず聞いた俺に、
「えっ?蒼は自分だけ若返るつもりなの?」
いや、どうなるかわからないじゃないかって意味なんだが?
「そういうことじゃなくてだな?」
蓮は、わかってるわよと言って、
「私が作ったんだから、私が飲まなくちゃダメでしょ?」
こうなったら、蓮は何を言っても聞かないだろう。
一緒に飲んだら、蓮が光った。
俺も光ってたみたいだ。
光りが落ち着いたら、目を見張った。
「蒼、若返ってる!カッコいい」
「蓮も若返ってるからな?可愛いぞ」
すっごく可愛いんだが。
体調確認されたが、全くなんともない。
むしろ、かなり調子が良い。
「って言うか、ヤバいな」
身体の年齢にいろんなものが引っ張られるのか?
精神とか感情とか?
「えっ?何が?」
体調じゃなくて何が!?って、焦ってる蓮も可愛いな。
正直に言おう。
「今、ものすごく蓮のことを抱きたい」
10年前には出会うことが出来なかった蓮が目の前にいるんだぞ?
ものすごく可愛いし綺麗なんだぞ?
10年前に会えなかったことへの残念な気持ちが膨らむ。
でも今は俺の奥さんなんだぞ?って、自慢したい気持ちもある。
そんな気持ちが入り混じったら、蓮のことを抱きたいって思ってもしかたなくねぇ?
「はっ?」
蓮には、何を言ってるのって顔されたけど、気にしない。
蓮のまだゆうがたーーーって叫びは、聞こえなかったことにする。
夜だったらよかったのかな?
姫抱っこで寝室に運んだよ。
若いってすごいな。
何度でも終わりが来ない。
蓮の可愛い声が、俺を刺激する。
翌朝、説教されたけど、後悔はない。
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
蓮を見た、姉貴や杏花義姉さん、未来さん、川里さんに小山内さんと桃香さんが、ポーションを欲しがったのは言うまでもない。
それはそれぞれのパートナーにも飛び火して、全員若返ったぞ。
たぶん、みんな俺の気持ちはわかってくれると思うぞ?
兄貴とか姉貴は、子供達に暴露されてたしな?
千変万化ダンジョンに潜るために集まった時にな。
近いうちに弟か妹が生まれるなとか言われてたぞ。
どんだけ頑張ったんだよ?
親のそんなのを聞かされちゃった子供たちもご愁傷様だな。
蓮はこの時、欲しい人に格安でマジックバッグを作成することにしてたな。
色々鑑みて、魔導具も作れることを身内にはバラすことにしたんだよな。
俺の身内を身内だと思ってくれるのはうれしいよな。
遠野と松山は、若返りポーションを飲んだその日に入籍したって聞いて笑った。
必死だな。
まぁ、気持ちはわかるけど。
取られたくないもんな。
みんな蓮の化粧品も使ってるみたいだしな。
それは、心配にもなるよな。
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
「お前らだけずりぃぞ」
相川たちから、ブーイングが来た。
ズルイって何がだ!?と思ったら、結婚相手がいるだけでもズルいのに、なんか若くなってねぇか?ってことらしい。
すまん。
間違いなく若くなってる。
でも、あれを世に出すわけにはいかないしなぁ。
どうしようもないよなぁ。
気晴らしに千変万化ダンジョンに潜ることにした。
今日はどんなダンジョンかな?
毎回違うってのは、面白いしワクワクする。
んっ?
このニオイって…?
あっ、やっぱり温泉だ!
温泉の魔物ってなんだ!?
おっとお出ましだな。
オーガかよ!
鬼ってこと!?
温泉は鬼なのか?
地獄谷的な感じで鬼なのか?
まぁ、いいや。
倒させてもらうぜ?
オーガって、硬いイメージあるけど、実際はどうなんだ?
刀で切れるか?
ダメなら魔法だな。
流星の神速と月光の神導は、すでに起動済み。
おっと、切れるな。
この刀だからなのか、それとも特にオーガは硬くないのか。
わからんけど、さっさと倒れてくれないかな。
やっとか。
魔石デカいな?
インベントリに放り込む。
ここの温泉はちゃんと入れる温泉なんだろうな?
回復の温泉?
隣は美肌の温泉?
あっちのは、癒しの温泉?
どれも良さげな名前の温泉だな。
俺はオーガを倒しながら2階層へと進んだ。
ふうーん?
夫婦円満の温泉?
金運上昇の温泉?
いいね。
って、2階層もオーガかよ。
なんか色違うけど。
上は赤だったけど、ここは青だな。
赤鬼と青鬼?
なんかそんな絵本とかなかったか?
違ったかな?
この階層もサクサクと切り刻んで進む。
魔石はオーガの色と同じなのか。
なんか属性とか付いてるのか?
さて、3階層は?
白オーガと黒オーガ?
こいつらを倒せばクリアかな?
あっ、奥に更にデカいオーガがいるな。
目立つなー。
黄色かよ。
とりあえず全部の倒せば問題ないな。
さてと、温泉はどうかな?
ほほぉー?
これはこれは。
なんとしてでも蓮を連れてこないとな。
攻略完了したことを確認してから、千変万化ダンジョンを後にした。




