番外編7.ダンジョン課とギルド課の人々の場合
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◇ ◇ ◇相川始の場合
川里さん…。
冴木の結婚式で、見た時からずっと気になっていた。
もうすぐ結婚するらしいと、聞いて絶望していた時に、チャンスが到来した。
別れたって。
誰か紹介して欲しいって。
すぐ立候補したさ。
他にもたくさんいたけど…。
でも、きっと大丈夫って、何の根拠もないのにそう思ってた。
まさか、松山を選ぶとは思わなかった。
合コンの時、松山のヤツは全然目立ってなかったのに。
ウェディングドレス姿の川里さんは、松山の隣で素敵な笑顔をしていた。
あんなに幸せそうにされたら、どうしようもないよな。
ぼんやりしながら歩いていたら、ドアの上枠にオデコを思いっきりぶつけた。
目から火花が出るかと思った。
「大丈夫ですか?」
しゃがみ込んだ俺に天使が舞い降りてきた。
◇ ◇ ◇木村開の場合
数年間、俺の時間は止まっていた。
駅の階段から落ち、脊髄を損傷した。
両手が動かなくなった。
自分では何も出来ない。
人の手を借りないと生きていけないのだ。
何度も死んだ方がいいのかもしれないと考えた。
でも、死ななくてよかった。
同期の冴木からもたらされた、エリクサー。
期待なんてしていなかったさ。
効果の実証実験だと言われ、飲んだ。
飲ませてもらったが、正しいか。
飲んだ瞬間、自分が光っていることがわかった。
ポーションは確かに飲むと光るけど、こんなにはっきりと光るわけじゃないよな?
「木村、良かったな」
何がだ?
「手」
そう言われて、自分の手が動いていることに気がついた。
えっ!?
動いてる!?
本当に?
周りの頷く同僚たちを見回して、俺は号泣した。
エリクサーを提供してくれたのは、冴木の嫁さんだった。
あの頃はまだ恋人ですらなかったようだがな。
冴木たちの結婚式で、可愛らしい人を見た。
新婦の友達らしい。
紹介を頼んだら、もうすぐ結婚するからむりだと告げられた。
世の中そんなにうまくはいかないんだな。
けど、後日別れたと聞き、合コンに参加することが出来た。
近くで見ても小山内さんは可愛らしかった。
俺の他にも小山内さんが気になっているヤツはいた。
その中で遠野が1番気にしているように見えた。
けど、ヤツはヲタクだから大丈夫だと思っていたんだ。
まさか小山内さんもヲタクで、意気投合するとは思ってもいなかった。
結婚式で並んだ2人を見て、全く違和感がなくて素直にお祝いしようと思えた。
◇ ◇ ◇須藤大吾の場合
やっぱりか。
やっぱりダメだったか。
合コンの後、1人ずつデートをするチャンスをもらえた。
2人とも俺のゴツい顔にも動じなかったし、笑顔さえ見せてくれた。
2人とも、飼い犬の話で盛り上がれたと思った。
珍しく会話がスムーズに出来た。
もしかしたらと少しは期待していたみたいだ。
ガッカリするのは、そういうことなんだろう。
もしかしたらどちらかとは…なんて思っていたからダメだったのかもな。
木村や渡辺あたりが選ばれるのかと思っていたら、遠野と松山だった。
たぶん、遠野も松山も彼女たちじゃなければダメだったんだろう。
その時点で初めから勝負にすら、なっていなかったんだな。
ちょっと頭を冷やした方がよさそうだな。
そう思ってたんだけどな…。
まさか二次会で、ものすごい犬好きの女性にアプローチされることになるとは、この時は思ってもいなかった。
◇ ◇ ◇藤崎亮介の場合
なんでこうなった?
せっかく新婦側のお友達も来ているのに、なんで奈良のお守りをしなくちゃダメなんだ?
今日くらいは、女性陣と話をさせてくれよ。
けど、奈良を放っておくと何を言うかわからんし。
あー、なんで綺麗に着飾ってるのに、その色は似合ってないとか言うわけ?
こっちの色の方が似合うって、おまえなぁ。
小山内さんのお友達だぞ?
出逢いのチャンスなのに、ぶち壊すなよ。
確かに、お前の言った色の方が似合いそうだけど。
はっ?
なんでお前連絡先交換してんの?
えっ?
今度一緒に洋服を買いに行く!?
もう勝手にしてくれ。
俺は疲れたよ。
「大変ですね」
クスクスと笑われてるじゃないか。
「いつものことなんですけどね、さすがに疲れます」
「あの子、ちょっと意見を言われると泣いちゃうんですけど、泣かなかったので驚いてたんですよ」
確かにふんわりのんびりした雰囲気の子だもんな。
「あいつは、言葉をオブラートに包むことを知らないんですけどね」
「そんな感じでしたね」
会ったばかりの人に愚痴ってもしかたないんだけどな。
「あっ、もしかして面白飲み会に参加した人ですか?」
「面白飲み会?」
なんだそのネーミング。
「人数が違いすぎる合コン?」
「あー、そうですね。参加しました」
確かに2対8だったもんな。
「じゃあ、あなたが面倒見の良い人ですよね?」
「んっ?なんですかそれは?」
別にやりたくてやってるわけじゃないんだが?
「舞がそう言ってました」
小山内さんの俺の印象って、そんな感じか。
「そうですか」
なんか疲れたな。
「連絡先、交換しませんか?」
「俺とですか?」
「はい、今度ランチとか行きませんか?」
すごく嬉しいけど。
「俺、疲れたおっさんですよ?」
「そんなことないですよ?」
あー、冴木のダンジョンの温泉に入ったな、そう言えば。
「では、ランチ行きましょう」
「はい」
って、その時ちゃんと顔を見た。
声の感じよりも可愛らしい人だった。
◇ ◇ ◇奈良翔太の場合
「その色似合ってないよ。可愛いのにもったいないよ」
あっ、また藤崎に怒られる。
思ったことをすぐに口にするなっていつも言われてるのに、気づいたらもう口からこぼれている。
今もそうだ。
とても可愛いのに、ドレスの色が似合ってない。
違う色の方が、絶対もっと可愛いのに。
もったいないなって、思ったら似合ってないって言った後だった。
どうしていつもこうなんだろうな、俺。
いつも嫌がられるんだよな。
「連絡先を交換してもらえませんか?」
「えっ!?連絡先の交換?俺と?」
「はい」
「なんで?」
服、似合ってないって言ったのに?
「可愛いって言ってもらえて嬉しかったので」
えっ!?俺、可愛いって言った?
…言ったな。
また無意識かよ、俺。
「言われ慣れてるだろ?」
だってこんなに可愛いんだぞ?
小動物みたいだぞ?
リスっぽい。
なのに、横に首を振る。
「言われたことないです。さっきみたいに似合うとか似合わないとか、そう言うことをはっきり言ってくれる人もいなかったです。大きな声とかは怖いですし…」
あー、確かに。
ガツンと言ったら、泣きそうだもんな。
えっ!?いつもは泣いちゃうのか?
「あの、よかったら洋服を買いに行くのに、付き合ってもらえませんか?
私に似合う色を教えてください」
それはいいけど、俺で良いのか?
「俺、さっきみたいに思ったことそのまま言っちゃうと思うけど」
「はい、お願いします」
これはデートと思っても良いのだろうか?
◇ ◇ ◇渡辺聡一郎の場合
川里さん、綺麗だったな。
やっぱり選んだのは、松山だったなぁ。
飲み会の時からわかってはいたんだけどな。
川里さん、ちらちら松山のこと見てたしな。
まぁ、松山も見てたけどな。
目が合うと、逸らしてたからヘタレかよって、ワンチャンあるかも?なんて、内心では思ってたんだけどな。
って言うか、相川と須藤と藤崎と奈良は、なんか上手いこといきそうじゃないか?
須藤なんて、二次会でものすごいアプローチされてるぞ?
羨ましい限りだね。
木村はなんだかんだ言って、人当たりが良いからな。
ほら、今も式には参加してなかったけど、二次会から参加の女性陣に話しかけられている。
あれ?
川里さん、あんなドレスだったかな?
違う色じゃなかったか?
ジッと見てたら、川里さんが近づいてきた。
「ダンジョン課の方ですか?」
えっ?
川里さんじゃない?
「えっと…?」
「あぁ、ごめんなさい。川里咲の姉の川里幸です」
川里さんのお姉さん?
えっ!?お姉さん!?
あっ?俺、間違えてた?
「自分は、渡辺聡一郎といいます」
俺の胸は、高鳴り続けている。
俺が出逢うのはこの人だったんだ!
これからゆっくりしっかり口説かせてもらいます。
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トーヤのテンションがあがります(笑)
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