密かな視線
そしてその後もなかなか紗月に声をかけることが出来ないまま
あっという間に夏休み前になり期末テストが終わった日、
教室では真央と、遥斗の友達の涼太が盛り上がっていた。
「なぁなぁ、みんなで海行こうよー!」
「いいねぇ〜!紗月も来なよ〜!」
「え、でも私バイト忙しくて…その日もバイトあるかも」
「え〜たまには息抜きもしなよ~!休みは大事だよ?それにみんなと思い出つくったらきっと楽しいよ!」
その輪の中に入れず遥斗は少し離れてた場所でその会話を聞いていた。
そんな遥斗を涼太がふと見た。
「なあ遥斗、お前も来いよ!みんなで行こうぜ!」
「……いや、俺はいいかな。」
遥斗は紗月がバイトで来ないのならいく意味がないと思った。
そう思い、紗月を見ると紗月も遥斗の方を見ていた。
自然と目があった瞬間、なんとなく
――来てほしい、ってことかな...なんて一瞬思った。
そんなふうに錯覚したけれど、それは結局僕が紗月を好きだから感じた勘違いだろうと思って何も言えなかった。
ただ誘われてる僕を見ただけ
きっとそうだと言い聞かせた。
結局夏休み中、紗月は塾とバイトで忙しく、会える日はほとんどなかった。




