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視線
ある放課後、教室の隅でクラスメイトの真央が紗月に声をかけていた。
「ねえ紗月、今日駅前寄ってく?オシャレなカフェ見つけたんだ〜」
「あ、ごめん、今日はその……ちょっと寄りたいとこあってさ」
紗月がそう言った瞬間にチラッと僕の方を見た気がした。
けれど気のせいかもしれない。
いや紗月が僕の方を見るなんてあり得ない。
遥斗は小さく息をついて、教室を後にした。
その日は、ひとり静かな校舎裏で缶ジュースを飲んだ。
去年の今頃、ここで偶然紗月と会って、一緒に話したっけ――。
そんなことを思い出していた。
またここで会えたらな…なんて淡い期待もきっと神様には届かないだろうな、
なんて一人で考えていた。
結局勇気の出ないまま
時間だけが過ぎていった