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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』〜社長、恋してはいけませんか?〜  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『その隣にいる意味 ― 41歳、社長と夫と、私たちの未来へ。』
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■第10話(最終話)「その隣にいる意味」



日曜日の昼下がり。

庭では、子どもたちが洗濯物を手伝いながら笑い合っていた。


リビングからは、さっきまで録画していた家族旅行の映像が流れている。

その声に混ざって、美咲の笑い声も聞こえた。


「……ほんと、ひどい顔してるわね、このときの私」


「いや、それはさすがに……可愛いでしょ、むしろ」


悠真は苦笑しながら、ティーカップを片手にソファへ戻った。


「ねぇ、悠真。最近、ちょっと思うの。私たち、どうして今もこんなに“仲良し”なんだろうって」


「……いい意味で、今さらだな」


美咲は膝を立てて、その上に顎を乗せながら言った。


「たぶんね、私……肩書きにこだわってきたのって、“隣に並んでいられる自分”でいたかったからなのよ」


「隣に、って……俺の?」


「そう。あなたの。あなたの妻でいるには、私がちゃんと“戦ってる私”でなきゃって、ずっと思ってた。子どもたちの前でも、社員たちの前でも、“七瀬美咲”でい続けないとって」


「……そっか」


「でも、違ったの。あなただけは、どんな私でも、隣にいてくれてた。会社で疲れて泣いて帰った日も、子育てで自信なくした日も、全部」


悠真はティーカップを置き、美咲の隣に座り直した。


「美咲」


「ん?」


悠真はポケットから、小さな箱を取り出した。

開けると――中にはシンプルな銀のリング。


「……え、これ……」


「結婚してもう10年以上だけど、指輪を渡したのって、あのとき一回だけだったよね。だから、もう一度。――美咲、俺とこれからもずっと一緒にいてくれますか?」


美咲は一瞬、目を見開き、そしてふっと笑って頷いた。


「……うん。何度でも、私は“はい”って言うわ」


悠真がそっと指輪をはめると、美咲は指先を見つめながら、まるで初恋のように照れた顔を見せた。


そのまま――二人の唇が、ゆっくりと、確かに、重なる。


「んっ……ふぁ……ぁ……悠真……」


深く、甘く、熱く。

過ごした日々をなぞるように、未来を誓うように。



夜。

ベッドの中で美咲がぽつりとつぶやく。


「あなたの隣にいられて、私は幸せだった」


「だった、って言い方は縁起悪いな。これからも、でしょ?」


「……そうね。これからも、ずっと。――ありがとう、悠真」


「ありがとう、じゃないよ。これからも、よろしく。……社長さん」


美咲はくすっと笑い、そしてまた、長いキスをひとつ交わした。


「……んっ……ふぅ……だめよ、また朝まで眠れなくなる」


「……それでもいいじゃん。今日は、夫婦記念日みたいなもんでしょ?」


そして――


静かな部屋に響いたのは、2人の笑い声と、やさしい吐息。


“隣にいる意味”

それは、愛し続けるという覚悟と、愛され続けるという奇跡。


2人の人生は、今日もまた、並んで歩いていく。




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