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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』〜社長、恋してはいけませんか?〜  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『その隣にいる意味 ― 41歳、社長と夫と、私たちの未来へ。』
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■第4話「妻と社長のはざまで」



六月の終わり、東京は雨続き。

社内では今、美咲が指揮する新しい大型案件が動き出していた。海外企業との提携が目前に迫るなか、美咲にはひとつの懸念があった。


――それは「子どもたちの夏休み」。


今年の家族旅行を子どもたちは心待ちにしていた。だが、ちょうど提携先との重要な打ち合わせと日程が重なる。海外から来日する代表との会談日が動かせず、スケジュールは詰まる一方。


社長として断れない。

でも、母として裏切りたくない。


社長室にて、美咲はモニターを見つめながら、無意識に指先を組んでいた。


「……私、どちらもは無理なのかもしれない」


ポツリと漏れた言葉に、応える声があった。


「無理って誰が決めたの?」


後ろを振り向くと、そこには悠真の姿。彼もまた別件でプレゼン帰りだった。


「……予定がどうしても重なってるの。私が行けなかったら、子どもたちはがっかりする。でも、この商談を逃すわけには――」


「俺が行くよ、旅行」


「え?」


「俺が全部段取りして、子どもたち連れて行く。美咲は仕事に集中していい。……ただし、条件が一つ」


「……なに?」


悠真は美咲に歩み寄ると、そっとその手を取った。


「全部が終わったら、俺と二人で3日間だけ、完全オフの旅に出よう。どこでもいい、美咲が“社長”じゃなくて、“妻”に戻れる場所を俺が用意するから」


「悠真……」


「それにね、子どもたちにちゃんと話せば、納得すると思う。だって、ママが会社で頑張ってるの、知ってるもん」


少しだけ、涙が浮かびそうになった。



その夜、家族会議。


「……今年の旅行、パパが連れてってくれるの。ママはお仕事がちょうど大事なタイミングで」


すると長男が、静かに口を開いた。


「わかった。……ママ、行けるときに来て。パパが先に連れてってくれて、後から合流ってのもアリだと思う」


「そうだよ! むしろママ来たら旅行感2倍になるし!」


「ママが頑張ってるの、かっこいいもん!」


次々に飛び出す子どもたちの言葉に、美咲は一瞬だけ視界が滲んだ。


「……ありがとう。じゃあ、後から絶対合流するから、待っててね」


「約束だよ!」



数日後、商談の当日。

海外企業との会談が成功裏に終わり、社内で祝杯の拍手が起きる中、美咲の頭に浮かんでいたのは――


子どもたちの笑顔と、悠真の“完全オフの旅”の約束だった。


そして夜、帰宅すると、玄関には一枚のメモ。


「今夜は君にご褒美をあげたい。バスルームで待ってる。

シャンパンと、秘密のキスも用意して。」


そこには、子どもたちの絵と“パパとママ、ラブラブ大作戦”の文字も添えられていた。


美咲は笑いながらネクタイを外し、シャンパンのグラスを手に――


その夜、“妻”としての自分を、ゆっくり取り戻していくのだった。


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