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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』〜社長、恋してはいけませんか?〜  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
休養・復帰編『肩書きよりも、あなたの隣』-そして2年後も…
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第10話:ここから、また始まる



月曜の朝。

いつものように朝食を囲む七瀬家では、子どもたちが元気に声を上げていた。


「ママ、今日から会社行くの?」


「うん。でも帰ったらみんなの大好きなカレー、作るからね」


そう言って笑う美咲に、8人の子どもたちは「がんばってー!」と一斉に声をそろえた。


悠真もスーツの襟を直しながら、彼女に目を向ける。


「準備は?」


「ばっちり。あなたのネクタイみたいにね」


「……そりゃ、心強いな」


ふたりは軽く笑い合い、

そして玄関の前で、誰にも見られないように小さなキスを交わした。



社長室の扉を開けると――そこは、以前とまったく変わらぬ景色だった。

だが、美咲の心には確かな“再スタート”の気持ちがあった。


「……戻ってきたわ」


誰もいない室内でつぶやいた声は、静かに空気へ溶けていく。


やがて、エントランスホールには数百人の社員が集まり、

復帰のスピーチが始まろうとしていた。


壇上に立つ美咲の姿に、ざわめいていた空気が静まり返る。


「おはようございます。社長の七瀬です。

……このたび、長期間の休養をいただいておりましたが、本日より復職いたします」


静かな口調で、ゆっくりと語る。


「この2年間、代行として務めてくださった古賀結花さん、そして役員・社員の皆さんに、心から感謝いたします。

私の不在を支え、会社を守ってくださったこと――本当に、ありがとうございました」


そして、美咲は微笑んだ。


「……これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

私は、変わらず“ひとりの経営者”として、

そして“ひとりの母”として、全力で生きてまいります」


拍手が一斉に沸き起こった。


結花もそっと微笑みながら拍手を送り、

佐伯も泣きそうな顔でうなずいていた。


副社長の涼子は最前列から手を振り、

専務の誠一は静かに目を閉じて頷いた。


常務の古賀もまた、小さな拍手とともに「やっぱりあの人しかいない」と心の中でつぶやいていた。


そして――壇上の脇から、取締役として悠真が彼女を見つめていた。


誰も知らない。

この“社長”と“社員”の間にある、深く、強く、温かな絆を。


けれど、それでいい。


「……さあ、仕事始めましょう」


美咲が社長室に戻った時、

机の上には一輪の花と、1枚のメモが置かれていた。


「おかえり、社長。

あなたがここに立つ姿を、僕はずっと夢見ていた」

――悠真


美咲はそっと花に触れ、ふと笑みをこぼす。


そしてドアを開け、通常業務へと戻る。


社員たちの声が飛び交うオフィスに、彼女のヒールの音が響く――


ここからまた始まる。

愛と仕事と、家族と私。


物語は、止まることなく続いていく。




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