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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』〜社長、恋してはいけませんか?〜  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
休養・復帰編『肩書きよりも、あなたの隣』-そして2年後も…
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第9話:ただいまを言える場所



日曜の午後、七瀬家のリビングはどこかふわりと温かい空気に包まれていた。


手土産を抱えてやってきたのは――

社長代行を務めた古賀結花と広瀬誠一、そして若手女性社員の佐伯里帆。


「この匂い……おいしそう! 誰の手作りですか?」


「今日は、僕と長男の翔真の合作です」


悠真の笑顔に、佐伯は目を丸くする。


「うそ……社長って、こんなに家庭的だったんですか!?」


「“社長の夫”だからこそ、覚えたのよね」


横で微笑む美咲。その声に、部屋がぱっと明るくなる。


和やかな食卓の中で、美咲はゆっくり立ち上がった。

家族以外の人間に、こうして“社長”として語るのは久しぶりだった。


「……長くお休みをいただきました。支えてくださった皆さん、本当にありがとうございます。

来週から、私は正式に社長に復帰いたします。代行を務めてくださった結花さん……心から、感謝しています」


結花は静かに立ち上がり、深く一礼した。


「私も、この期間でたくさんのことを学ばせていただきました。

ですが、やはり“あの椅子”は七瀬社長でなければ務まりません。そう、実感しています」


佐伯もまた、小さな声で言った。


「……戻ってきてくれて嬉しいです、社長」


美咲は微笑みながら、全員に向き直った。


「これからも、母としても社長としても、精一杯生きます。

どうぞ、よろしくお願いします」



夕暮れ、子どもたちが眠る頃――

美咲はスマートフォンを手に取り、ある女性に電話をかけた。


「……有紗さん、ご無沙汰しています。やっと、戻ってこれました」


画面越しに現れたのは、悠真の元直属の上司、高梨有紗。

今は別の会社で働く一児の母――穏やかな笑顔に、どこか懐かしさがあった。


「うん、元気そうで安心した。……美咲さんが戻るのを待ってたよ。会社も、悠真くんも、そして社員たちもね」


一通りの報告を終えたあと、有紗はふっと笑ってから言った。


「で? 社長復帰祝いに、甘〜い夜でもプレゼントされたの?」


「ええ、それはもう……甘く、濃厚に、ね」


美咲は頬を染めながら笑った。



その夜――


七瀬家の寝室には、静かに灯りがともっていた。


白いシーツの上、ふたりはゆっくりと衣服を脱ぎ、

互いの肌を見つめ合う。


「ねぇ……また筋肉、増えた?」


美咲が指先で悠真の腹筋をなぞりながら、いたずらっぽく微笑む。


「社長のために鍛え直したからね。どう?」


「……ほんとに、罪な体してるわよ」


悠真の視線が、美咲の胸元に落ちる。

その視線を感じた美咲が、耳元にそっと囁く。


「……聞きたいの?」


「う、うん……もし良かったら、カップ数、また変わった?」


「……小声でしか言わないわよ。……Jカップよ」


「……マジか……すご……」


互いに照れながらも、目が合うたびに、空気が熱を帯びていく。


悠真の両腕が、美咲の腰をしっかりと支える。


「……大丈夫。今夜は、全部俺が受け止めるから」


「ふふ……頼もしいわね」


甘く、深く、そして熱く。


キスは静かに始まり――

徐々に、唇が重なり、吐息が絡まり、

ふたりの世界が静かに溶けていく。


シーツの音すら心地よく響き、

ふたりは一つになりながら、互いの存在を強く確かめていた。


「……おかえり、美咲」


「……ただいま、悠真」


その言葉とともに、

長い夜が、ゆっくりと優しく包み込んでいった。



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