『彼らが守る秘密 ―五人のその後―』
――あの夜から、数か月後。
季節は春、桜が咲きはじめた頃。
場所は同じ中華料理店「芙蓉楼」の個室。
再び集まったのは、あの“秘密を知る五人”。
「懐かしいわね、ここ」
涼子がグラスを手にして微笑む。
「ちょうどあの時、創業記念イベントの準備してたんだっけ」
常務の古賀結花が応える。
今日は“会議”ではない。
あくまで“近況報告と気楽な食事会”。
けれど、集まる理由が“ただの親睦”でないことは、全員分かっている。
◆副社長・相川涼子
「うちの子たち、最近日本語と英語の区別がつかなくてさ。
パパが海外出身だから家の中が常にハーフ会話よ。
でも、夫とはすごくいい関係よ。会社も家庭も、両方手放さないって決めたから」
彼女はワインを口に含み、満足そうに微笑んだ。
“副社長であり、母であり、妻”という人生のバランスを取る彼女の姿に、皆が自然と敬意を向ける。
◆常務・古賀結花
「父が引退して、私が常務を継いで……正直、まだ未熟だと思う時あるけどね。
でも社長がさ、こないだ私のこと“結花”って呼んでくれて。
あの時、本当に支えられてるんだなって感じたの」
彼女はスマートフォンに保存された、美咲と悠真の記念写真を見せながら、ほのかに微笑む。
その目は、尊敬と安心と――少しだけ羨望。
◆専務・広瀬誠一
「親父、こないだ孫が生まれたってめちゃくちゃはしゃいでさ。
“お前もそろそろ結婚しろ”ってしつこく言ってくるんだ。
でも俺は――“こういう夫婦になれるなら”って思える相手を見つけたいよな」
彼は照れ臭そうに笑いながらも、確かに美咲と悠真の姿を目標にしていた。
◆元直属の上司・高梨有紗
「私はもう現場を離れてるけど、ふたりを見てた時期が私の誇りよ。
悠真が成長していく姿、美咲社長が人として変わっていく姿――全部見てきたもの。
2人の子どもたちの話を聞くたびに、私まで親戚になった気分になるの」
穏やかな口調で話す高梨の言葉に、テーブルの雰囲気が和らいだ。
◆若手女性社員・佐伯里帆
「私、転職はしないって決めました。
あのふたりがいる会社で、もっと近くで“信じた人たち”の支えになりたくて。
こないだ3人で食事した時、美咲社長が“ありがとう、同志ね”って言ってくれて……泣きそうになったんです」
彼女はまだ20代半ばの若さ。
だが、その心には確かな“信念”が根付いていた。
*
会の終わり、涼子がゆっくり立ち上がった。
「この会のことも、ふたりのことも、これからも“私たちだけの秘密”よ」
誰もが無言でうなずく。
5人の中には、言葉より強い“絆”が確かに存在していた。
外に出ると、春の風がふわりと頬をなでた。
桜が揺れ、夜空には月。
ふたりの恋が始まったあの頃よりも、
この“秘密の味方たち”の思いは、より強く、やさしく育っていた。
――そして今も、変わらず。
彼らだけが知る“愛の物語”を、静かに、守り続けている。
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