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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』〜社長、恋してはいけませんか?〜  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『とある大企業の秘密の家族生活:After 5 Years』
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第7話:海外からの風と、涼子の決意


副社長・相川涼子は、朝から落ち着かない様子だった。


「……何回、件名見直したら気が済むのよ、私……」


自室のタブレットには、海外赴任中の夫・クリス・タナカから届いた一通のメール。


――「日本帰任、決定。子どもたちと一緒に“家族としての時間”を優先したい」


それは、彼にとっても、彼女にとっても、人生の転機となる知らせだった。



昼前、美咲と社長室での打ち合わせを終えた涼子は、書類を閉じて静かに言った。


「……実は、夫が日本に戻ってくることになったの」


「えっ……それは嬉しい話よね?」


「うん。でも同時に、悩んでる。

今の私、完全に“副社長”って顔で日々走ってる。

でも子どもたちは、“母親の顔”をもっと求めてるのもわかってるの」


美咲は黙って耳を傾けた。


「夫と話し合ったの。

これからは、もっと一緒にいようって。

でもそのためには、私が“会社”と“家庭”のバランスを変えないといけない」


「つまり……?」


涼子は、美咲の目をしっかりと見て言った。


「私、副社長を“退かない”。でも“在宅勤務”をもっと取り入れる。

子どもたちとの時間を守りながら、会社も支える。

やっと“自分の形”が見えてきた気がするの」


美咲は、ふっと笑った。


「あなたらしい答えね。……強くて優しい、相川涼子そのものよ」


「ありがと。……ねえ、美咲」


「なに?」


「私たち、いつからこんなに“母親同士”みたいな話、普通にしてるのかしらね」


「そうね。たぶん、あの出産ラッシュの頃かしら。8人育てる私と、2人抱えたあなたで――」


「地獄のような夜泣きタイムに、“生きてる?”ってLINE送り合ってたあの日々……!」


ふたりは思い出し笑いをしながら、ソファに座る。


「でも、そんな日々があったから、今がある。

母でも、役員でも、妻でも、女性でも――

“どれか”じゃなくて、全部を自分らしく重ねられるようになった気がするの」


涼子の声には、5年の歩みがにじんでいた。



夕方――

帰宅後、子どもたちが夫と再会し、嬉しそうに抱きついてくるのを見て、涼子は静かに思った。


(やっぱり、私はこれを守りたい)


母としての時間も、会社での責任も――どちらも、自分の“居場所”だと。


その夜、家族団らんの食卓で、夫が言った。


「君は君のままでいてほしい。僕らは、それを支える家族になるから」


涙がこぼれそうになるのを堪えながら、涼子は答えた。


「ありがとう。……家族があるから、私は前に進めるのよ」


そして彼女は再び、

“副社長・相川涼子”としても、“母・涼子”としても――

両方を抱きしめながら、明日を迎えるのだった。



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