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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』〜社長、恋してはいけませんか?〜  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『とある大企業の秘密の家族生活:After 5 Years』
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第6話:封じられた結婚指輪


平日の午後――

TSグローバルの11階、企画部フロア。

その日、ひとつの“偶然”が静かに起こった。


「……あれ? 今のって……」


とある若手女性社員・**佐伯里帆さえき りほ**が見たもの――


それは、社長と取締役の手がふと触れ合い、

その瞬間、美咲の左手の薬指に“細いプラチナリング”が光ったことだった。


(まさか……あれって……結婚指輪?)


動揺を隠しきれないまま、その場を離れた佐伯は――

偶然を装って、後日、社長室へ“直接訪問”することになる。



「……すみません、少しお時間をいただいても?」


「いいけど、どうしたの?」


社長室で資料を見ていた美咲の前で、佐伯が深く一礼した。


「先日、偶然見てしまいました。……社長の左手を」


……沈黙。

美咲の手が、思わず書類の上で止まる。


「……それを誰かに?」


「いえ、まだ誰にも。でも、どうして隠しているのか、正直知りたくて」


そのまっすぐな目を前に、美咲はゆっくり息を吐いた。


「……理由はひとつ。私の夫――橘悠真が、社内で“そのこと”で傷つけられる姿を見たくないからよ」


佐伯は、目を見開いた。


「……そんなに?」


「ええ。彼が私と結婚していることで、“出世コースに乗った”とか、“特別扱いだ”とか……

そう思われるのは、彼の努力を否定することだから」


しばしの沈黙のあと――

佐伯が口を開いた。


「……じゃあ、ひとつ条件があります」


「条件?」


「今ここで――“本気で愛し合っている”って証明してください」


美咲が、驚いたように目を丸くする。


「証明って……?」


「熱いキスを、目の前で。

そうすれば、私は誰にも言いません。それと――今度、3人で食事に行ってください。

その時は、堂々と結婚指輪をしてください。

その姿を見れば、私はきっと何も疑わなくなると思うんです」


その言葉に、静かにドアが開き――悠真が入ってきた。


「……話は聞こえていました」

「悠真……」


ふたりは数秒見つめ合い、そして、何も言わずに――


ゆっくりと、そして長く、深く唇を重ねた。


佐伯は、最初目を見張っていたが、やがて目を伏せた。


(……本物だ)


“恋”ではない。

“秘めた熱”でもない。


“人生を重ねてきた者同士の、深い“愛”だった。


キスが終わり、ふたりが彼女を見つめた。


佐伯は、静かに頭を下げる。


「ありがとうございます。……信じます。誰にも言いません。

むしろ、応援したいです。ふたりのこと」



数日後。

社外の個室レストランで、佐伯・美咲・悠真の3人は食事を囲んでいた。


美咲の薬指には、プラチナの結婚指輪。

佐伯はそれを見て、ほほ笑んだ。


「似合ってます。すごく」


「ありがとう。……こうして堂々と話せるって、不思議ね」


「でも、たまにはこんな風に、秘密を知ってくれる“仲間”がいるのも悪くない」


佐伯は言った。


「社長、取締役。これからもずっと“ふつうに幸せ”でいてください。

誰にも知られなくても、その愛はちゃんと見えていますから」


ふたりは、黙ってうなずき、手をそっと重ねた。


“秘密”は続く。

けれど、その中に確かな“理解者”がまた一人、増えたのだった。



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