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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』〜社長、恋してはいけませんか?〜  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『とある大企業の秘密の家族生活:After 5 Years』
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第3話:訪れた“過去”の影――宮園の行方


その日、社長室にひとつの封筒が届いた。

差出人は「財務監査部」。


中を見た瞬間、美咲の指が止まる。そこに記されていたのは――


「元財務役員・宮園による横領の疑いについて」


静かに、しかし確実に何かが“動き始めた”感覚があった。



宮園――

かつて、美咲の婚約者であり、社内でも実績ある財務部長だった男。


社長就任直後、関係を解消し、会社からも一線を退いたはずの彼が……

実は、裏で複数の子会社口座から資金を不正に移動させていたことが、ようやく表に出たのだ。


「これが、今朝入った正式な報告書です」

書類を差し出したのは、取締役となった悠真。


「検察とも連携が進んでいます。警察の動きも早い。

いずれ、社名を使っていたことも報道に出るでしょう」


美咲は一度目を閉じた。

記憶の中にある宮園の顔が、妙に鮮明に浮かんでくる。


愛していた時期が、確かにあった。

けれど――彼の「野心」が彼女の「信念」を上回った瞬間、すべてが壊れた。


「……私が、“見抜けなかった”結果ね」


「違います。あなたが“決断した”から、会社は救われたんです」

悠真の声が静かに重なる。


「過去を断ち切ったことで、今があります。

……あなたが、前に進んだから、僕も一緒に進めた」


美咲は目を細め、机に指を添えた。


「それでも……世間は“私の元婚約者”として報道するでしょうね」


「かもしれません。ですが――」


悠真は一歩近づき、机越しに彼女を見つめた。


「僕は、今のあなたを知っています。

社長で、母で、妻で、そして……誰よりも誠実な女性であるあなたを」


ふっと、美咲の肩がわずかに揺れた。


「……ありがとう。あなたが側にいてくれて、良かった」


「どんなことがあっても、僕は“社長”を守ります。

あなたの夫として、社員として――そして、人生の伴走者として」



その夜、美咲は帰宅し、8人の子どもたちをひとりずつ抱きしめた。


過去は消せない。

けれど、未来は変えられる。


そして、彼女にはすでに“守るべきもの”があった。


かつての婚約者は、罪を抱え、法に裁かれる。

そして彼女は、“真実の愛”と共に、日常へと戻っていく。


社長という立場でありながら、家ではただの“お母さん”。

その揺るがぬ場所が、今の美咲を支えている。



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