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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』〜社長、恋してはいけませんか?〜  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
本編続編 『そして、家族は“ふつう”になる。』
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第7話 『翔真の“秘密”』



金曜の夕方、橘家のリビング。


子どもたちがテレビを囲んでワイワイと盛り上がるなか、

長男の**翔真しょうま**だけが、一人ソファの隅でゲーム機を握ったままうつむいていた。


それに気づいたのは、母である美咲だった。


「翔真……今日は元気ないね。学校、何かあった?」


「……ううん、別に」


口を尖らせて首を振るその表情に、“なにかある”と美咲はすぐに察した。


「パパに言いたいこと、ある?」


「……うん」


美咲は頷いて、キッチンにいた悠真を呼んだ。



夜、子どもたちがそれぞれ部屋で過ごす時間。


翔真と悠真はふたりでベランダに出て、缶ジュースを片手に並んで腰を下ろす。

父と息子、だけどまだ10歳。だけど、男として、何かを抱えていた。


「……パパ。僕、クラスで変って言われた」


「どうして?」


「兄弟が8人もいるの、変って。

“お前の家、おかしいよな”って。

なんか……笑われて……恥ずかしくなった」


悠真はゆっくりとジュースを置き、

翔真の頭を軽く撫でながら話し始めた。


「翔真。たしかに、8人兄弟って珍しいよな。

だけどな、それは“変”なんじゃなくて、“すごい”んだよ」


「……すごい?」


「そう。“誰よりも家族が多い”ってことは、

“誰よりも守るものが多い”ってことだ」


翔真は少し顔を上げる。


「守る……?」


「お前は、弟や妹たちの“最初の兄ちゃん”だ。

それってすごくカッコいいことだぞ。誰かが泣いてたら助けて、

誰かが困ってたら、声をかけて……」


「……でも、みんなに笑われると……嫌なんだ」


悠真は小さく笑って、ポケットからスマホを取り出した。

開いたのは、8人の子どもたち全員が写った家族写真。


「見ろよ、これ。

全員が笑ってて、幸せそうで。

この写真に写ってる“リーダー”が、お前だ」


翔真の目が、少し潤んだ。


「……僕、リーダー……なんだ」


「そう。パパもママも、お前のこと、誇りに思ってる。

だからな、堂々としてていいんだ。8人兄弟の“兄”って、なかなかいないぞ?」


翔真は小さく笑って、少しだけ胸を張った。


「……うん。じゃあ僕、もう逃げない。

僕の家族は、僕が守るんだもん」


悠真は頷き、力強く彼の背中を叩いた。


「それでこそ、俺たちの長男だ」



その夜――


翔真がリビングで小さな声で言った。


「……ママ、僕、家族が多いの、誇りだよ」


美咲は驚いて振り向いたが、すぐに微笑んで翔真を抱きしめた。


「ありがとう。……ママもね、それが一番の宝物だよ」


家族は多い。手も時間も足りない。

けれど――心は、あたたかさであふれている。


それが橘家の“ふつう”。



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