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大我は窓の外に見えた姿に動揺した。


イアンとその後ろを引き攣った顔をして歩く誠二。


「なんで、誠二さんがイアンと……」


二人がアルマの廃品置き場から出てそれほど、時間は経っていない。


その間に誠二はイアンに連れ去られた。


大我は勢いよく席を立つと店から出ていこうとする。


レオはそんな彼の腕を掴んだ。


「どこ行く気だ?」


「決まってるでしょ。イアンのとこ。誠二さんを助けに行くんだよ」


そう言って腕を振り払おうとする。


レオはその姿を見て大きくため息をついた。


「アルマの言ってたとおりだな。誠二が関わるとお前は冷静さを欠く」


「そんなことない……」


大我は拗ねたように俯く。


「そんなことあるだろ。とにかく今は状況を整理する方が先だ。イアンもいきなり誠二を撃つような真似はしない。あいつがいなくなればフロッピーの場所もわからなくなる。とりあえず今は落ち着け」


「わかった。ごめん。レオ……」


彼は椅子に座ると目を伏せた。


その頭をレオが優しく撫でる。


「謝るな。お前にとって誠二は大事な存在だ。取り乱すのも仕方ねぇ」


「……うん」


少しすると大我が立ち上がる。


「一度、アルマのとこに戻るぞ。何があったのか確かめねぇとな」


「わかった」


二人は会計を済ませて店を出ると、アルマと誠二がいるはずの廃品置き場に向かった。



その途中でタクシーを捕まえて乗り込む。


運転手に廃品置き場の住所を伝えると車が動き出す。


窓の外に映る景色を見つめながら、レオの頭にはイアンの顔が浮かんでいた。


(イアン。一体、何を考えているんだ……。うちと戦争でもする気か?)




二人が廃品置き場に着くと外に倒れている、男達が目に入る。


車から降りるとレオは倒れている男に駆け寄った。


「おい!何があった?」


男は顔を歪めると、息を切らしながら口を開いた。


「急に周囲を大勢の男に囲まれて。襲われました。その後、左右で目の色の違う男が中に入って……。ボス。すみません。俺……」


そう言いかけると激しく咳き込む。


「もう喋るな。後は俺に任せろ」


男は力なく頷くとまた目を閉じた。


「レオ」


大我は拳を強く握りしめながら微かに体を震わせている。


「うちの連中に手を出したんだ。イアン。あいつは絶対に許さねぇ」


レオは眉間に皺を寄せると立ち上がる。


「中に入るぞ。アルマのことが気がかりだ。気を抜くなよ」


「わかった」




建物に近づくと出入口のシャッターに大きな穴が開いていた。


二人は顔を見合わせると懐から拳銃を取り出して構える。


慎重にシャッターの奥に進むと武器庫にだけ明かりがついているのが目に入った。


レオはゆっくりと扉を開けると拳銃を向ける。


部屋の中には床にアルマが倒れていた。


「アルマ!」


大我が慌てて彼を抱き起こす。


その腕からは血が伝っていた。


「嘘。どうしよう……。また、俺のせいで……」


アルマに触れる手が震えている。


「……大我?」


それに反応するように瞼が動く。


「アルマ!大丈夫!?」


「ああ。肩を撃たれただけだ」


大我に支えられながらアルマは上体を起こす。


「何があったか知りたいが。まずは手当が先だな。病室に運ぶぞ」


「うん」


レオは彼の腕を肩に回すとゆっくりと病室に向かった。




部屋に入るとベットにアルマを座らせて、大我は慣れた手つきで止血をして包帯を巻く。


「よかった。撃たれたところ弾が貫通して中には残ってないみたい」


「おう。悪ぃな」


アルマはそう言うと膝の上で拳を強く握った。


「ボス。すまねぇ。俺がついていながら、誠二を奪われちまった……」


彼は頭を深く下げる。


「いや、ここを手薄にした俺の落ち度だ。まさかイアンがこんなに早く仕掛けてくるとは思わなかったが。何があったか話してくれるか?」


「ボス達が出ていって数分後ぐらいに外が騒がしかったから、カメラで確認したんだよ。そしたらイアンやコルボノワールの幹部が部下を引き連れてリオンのやつらを襲ってた」


レオはその言葉に目を見開く。


「イアンや幹部の連中までいたのか?じゃあ、俺達はまんまと罠に嵌められたってことか」


「ボートゥールから奪ったUSB。あれが罠だったの?」


大我は俯く。


「いや、あれだけじゃねぇ。イアンは俺達がコルボノワールの幹部を調べていることに気づいてた。だから、ここが手薄になる機会を狙ってたんだ」


彼は大きくため息をつくとアルマを見た。


「悪ぃな。遮った。続けてくれ」


アルマは頷くともう一度、口を開く。


「外の連中が襲われていることに気づいた俺は、奴らが中に入ってくるのは時間の問題だと思った。だから、誠二を地下の小部屋に隠したんだ」


「非常時に使う隠し部屋だな。けど、それならなんで誠二は連れていかれたんだ?」


レオの言葉にアルマは目を閉じた。


「俺のせいなんだ。誠二は俺を庇ってイアンに攫われた」


「庇ったって……」


そう聞かれると彼は顔を顰める。


「あいつ。イアンは誠二がいることに気づいていた。だから、脅したんだ。大人しく姿を見せないと俺を殺すってな。見せしめのように肩を撃って」


大我は目が吊り上がり、口には唇を強く噛みすぎて血が滲んでいた。


「状況はわかった。アルマ、後は俺に任せてお前はここで休んでろ」


「ボス。誠二を頼む。助けてやってくれ」


レオは微笑んだ。


「当たり前だ。安心して待ってな」


アルマは力なく笑うとベットに横になった。


「行くぞ。大我」


大我は頷くとこう呟いた。


「イアン。もう二度とお前に俺の家族は奪わせない。例えどんなに手を汚しても……」


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