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暗黒

微かな明かりを感じて誠二は目を覚ました。


ベットから起きると、カーテンを開けて窓の外を

見る。


外は日が昇り辺りは明るくなっていた。


彼は服を着替えると部屋を出る。


少し歩きリビングに着くと朝食を用意しているアルマの姿が目に入った。


「おはようございます。アルマさん」


「おう。誠二、起きたか」


誠二は周囲を見回すと目を瞬かせる。


「俺、もしかして寝過ごしました?他に誰もいないみたいですけど……」


「ん?寝過ごしてねぇよ。まだ、六時だぞ。他の

やつが早く起きすぎなんだ。まぁ、リオンの三人は昨日の夜出てったから人は減ったがな」


彼は大きくため息をつくと目玉焼きとパンが載った皿を

テーブルに置いた。


「大我さんはもう起きてるんですか?」


アルマは頭を搔く。


「あいつなら銃の整備をしてる。朝からずっと武器庫に

籠りきりなんだよ。飯もできたし。誠二、大我のこと

呼んできてくれるか?」


「わかりました」


誠二はそう言うと部屋を出ていった。


扉が閉まった後にアルマはぽつりと呟く。


「あんまり気負いすぎてねぇといいんだがな……」




しばらく歩いて武器庫と書かれた前まで来ると扉を数回

叩く。


「大我さん。入りますね」


誠二はそう言うと扉を開けて中に足を踏み入れた。


部屋の中は暗く、一箇所だけ明かりがついている。


その明かりの下に大我の後ろ姿が見えた。


「大我さん」


誠二がそう呼びかけると大我は振り向いた。


「誠二さん。おはよう」


「アルマさんが朝食ができたから声をかけてきて

ほしいって……。でも、こんな暗い部屋で何してたんですか?」


彼がそう聞くと大我は微笑む。


「ありがとう。銃の整備をしてたんだよ。暗いのは

この方が落ち着くから。なんか安心できるからね」


その言葉に誠二が浮かない顔をすると彼は優しく笑った。


「そんな顔しないで。夜が落ち着くってだけだよ」


大我は手に持っていた拳銃をテーブルの上に置くと立ち上がる。


そして、扉の前まで来ると言った。


「アルマの朝食が冷めちゃう。行こう。誠二さん」


「はい……」




二人がリビングに着くとテーブルの上には料理の載った皿が並んでいて、レオとアルマがすでに椅子に座っていた。


「遅い。朝食が冷めるじゃねぇか」


アルマが少しむっとした顔をして大我を見る。


「ごめん。俺が話し込んじゃって。さぁ、食べよ」


彼はそう言いながらレオの隣の椅子に座った。


誠二も空いている椅子に座ると四人は料理を食べ始める。


「レオ。パンちょうだい」


「おい!俺の返事を聞く前に取るな!」


二人はそんな応酬を繰り返しながら朝食を食べ進めて

いる。


「レオさんと大我さんって本当に仲がいいんですね」


誠二が隣にいるアルマに話しかけると彼は笑う。


「まぁ、親子みたいなもんだからな」


「みたいな?二人は親子じゃないんですか」


そう聞くとアルマがはっとして目を逸らした。


「何でもねぇ。もし、気になるなら大我に聞け」


誠二が口を開く間も与えずに彼は慌てて料理を平らげると皿を持って席を立つ。


そんな様子を見て彼は心の中で呟いた。


(あんまり詮索しない方がよかったかな……)




朝食を食べ終えると大我は誠二に顔を向ける。


「誠二さん。今日から俺が銃の使い方教えるよ」


「はい。お願いします」


大我は頷くとアルマの方を見た。


「アルマ。地下、借りるね」


「おう」


彼は椅子から立ち上がると部屋を出ていく。


誠二もその後を追った。


薄暗い階段を下に降りて通路を抜けると訓練場と書かれてる扉の前に着く。


「訓練場?」


「うん。この中は防音になっているから外に音が漏れないんだよ。だから、ここで銃の試し撃ちとかしてるんだ」


誠二は海外の映画を思い浮かべる。


(銃を試し撃ちするところなんて映画かドラマの世界みたいだ。普通に会社員として過ごしてたら絶対に足を踏み

入れることがない世界なんだろうな)


そんなことを考えて首を左右に振った。


「誠二さん?大丈夫?」


「あ、すみません。少し考え事をしてました」


大我は誠二を心配するような顔をして見る。


「本当に大丈夫?無理してない?俺が誠二さんを巻き込んだから、ごめん……」


辛そうに目を伏せる彼に誠二は慌てて言った。


「大我さんのせいじゃないですよ。俺の方がいつも助けてもらってばかりで……。今回のことも俺の問題ですから」


「ありがとう。でも、もし不安があるなら言ってね。その時は強硬手段も考えるから」


その言葉に少し恐怖を感じたが、あえて触れないように

した。


「わかりました」




部屋に入って明かりがつくと誠二は目を見開いた。


中には金属で作られた人型のプレート、透明の板で仕切られた台。


その上にはヘッドホンのような形をした物が置かれている。


「初めから実際に撃つのは大変だろうから、最初は拳銃の構造と撃ち方について簡単に説明するね」


「お願いします」


誠二がそう言うと大我は部屋の奥にある棚に向かう。


その棚には様々な種類の銃や弾丸と書かれている箱がたくさん置かれていた。


彼はその棚から弾薬の箱と銃をひとつ手に取るとこちらに戻ってくる。


「お待たせ。今回は一番わかりやすい銃で説明するね」


大我は銃を台の上に置くと話し始めた。


「まず、この銃はハンドガンやピストルって呼ばれてて軽いから初心者におすすめなんだ。今は安全装置が作動してるから弾はでないから。誠二さん持ってみる?」


様子を窺うように誠二の目を見る。


「はい」


ハンドガンを受け取るとその軽さに誠二は驚いた。


「本当に軽いんですね」


「うん。ハンドガンは軽いから隠しておけるし急に襲われた時とかに役に立つよ」


「なるほど……」


まじまじとハンドガンを見ている誠二に大我はほっとした顔をする。


「よかった。怖がらせてないみたいで。じゃあ、撃ち方について説明するね」




彼はハンドガンを左手で持つとしっかりと握る。


「まず、グリップって呼ばれてる握る部分があってその上に丸く人差し指で押し込めるところがあるのはわかる?」


「はい」


「これはトリガーって言って銃は基本的にここを押せば

弾が発射される。ちょっと撃ってみるから見てて」


大我は台の前でハンドガンを構えると人型のプレートに狙いを定める。


乾いた音とともに人型の頭に小さな穴が開いた。


「すごい……」


感嘆している誠二に大我はふっと笑う。


「俺は小さい頃から銃に触れてるから、これくらいできて当然だよ」


「そんなに前から銃を?」


その言葉に大我は懐から銀色の銃を取り出した。


「うん。自分の身は自分で守らないといけなかったし。絶対に許せない相手がいるからね」


銃をぎゅっと握り憎々しげにそう言い捨てる。


そんな顔を見て誠二はイアンの姿を思い浮かべた。

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