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弐
花火
それは、火薬と薬品のただのかたまり
この場所からはもう、見ることは叶わないだろう
花火
それは人間が作り出した、ただ一瞬の為だけにつくられた、かたまり
それは、まるでこの世界の様に
不完全な、心を揺らぐ、一瞬の輝き
遠くに見えるあの花は、今はもう見えない
輝きはあったのだろうか、見えたのだろうか、見られるのだろうか
なんて、言ってみたけれど
人の中には一瞬なんて無かった
…でも開く時は一瞬だった
花火を作る事と同じだった
…それはもう生きることと変わらない