【008】応援者とは。
すみません。見直したら、整合性がとれない部分が都度あり訂正しております。
3日間の「応援期間を5日間に変更しました
いよいよオープンまで残すところ3日となった。
「ミリィおはよう。今日は本社と日本の支部から応援来るから頑張ろう!!」
「他の人に会うのミリィ初めてにゃ。どきどきするにゃ。」
そろそろみんなが金沢駅に到着するころだな。迎えに行こう。朝早くから外をでると夏の日差しが強く吸血鬼のぼくには堪えるな。別に日差しに触れたからといって、肌があれるわけでも、消滅するわけでもないのだが、体力がごっそり減っていくのだ。
外なんか歩いた日には、干からびて死んでしまう。ということで、地下通路を利用して、駅に向かった。ホントダンジョンが駅近くで助かったよ。雨の日も晴れの日も外にですに移動できるのがありがたいです。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
新幹線のホームから、人が大勢出てきた。ま~今の時点では、金沢が東京からの沿線の最終地点になるので、乗っている人は降りるだろう。と眺めていると、あっいたいた。
「エリックさん、応援の皆さんこちらですよ。僕は、金沢支店のウィーンです。皆さま今日から3日間オープン当日まで宜しくお願いします。」
昨日は寝る前にプラカードも作ってみました。お手製のプラカードで『Welcome in ishikawa』って書いて持ってるの僕だけで。結構恥ずかしかったし、他の人もこちらをめっちゃみてましたよ。
「おはようございます。ウィーン様。台風などの影響も少なく、今日は時間通りにこれてよかったです。先日の帰りは強風で電車がとまってましたから、帰るのが深夜になりましたよ」
と笑いながら答えてくれた。
「ウィーンさん。おはようございます。京都支店の玉藻前です。たまもさん。もしくは玉藻ねえさんと気軽に読んでくださいね。」
さすが伝承に残られている九尾の狐。完全に人気に紛れこむように変化している。それにしてもお美しい、とても僕の数十倍生きている方とは思えない……
おお~~っと余計なこと考えてたら、玉藻姉さんに睨まれてしまった。顔にでも出たのだろうか?それとも読心術でも出来るのだろうか?いや、女性の持つ第6感によるものか?
エリックさんが、僕のスーツの裾を軽く引っ張ってきた。
「ウィーン様。あまり女性に対して、失礼なことを考えない方が宜しいですよ。皆様大変に勘が鋭く、ちょっと考えただけでもにらまれてしまいます。怒らせたら、口には表せないほどに大変なことになるので、気をつけて下さい。」
「うっうん、」
エリックさんが他の人には聞こえないように耳元で教えてくれた忠告に僕はビビりながら、コクコクと頷いた。
「あら、お二人とも内緒話ですか?」
「失礼しました。なんでもありません」
「次々私ね。東京支店の桜だよ。ウィーンさん。宜しくね。石川に来るのって、久しぶりだよ。でもすっごい近くなったね。東京と金沢(石川)って、前は5時間程かかったのに、今日は新幹線使ったら、2時間30分だよ。2時間30分。もう考えられないよね。でも江戸時代に比べたら、全部が全部変わりすぎてて、色々凄い時代になってるね。応援終わったら、美味しいもの、食べて、観光して、ショッピングするんだ。ウィーンさん。夜はエスコートしてね。あっ、私のことはさん付けはダメだよ。さくらちゃんって可愛く言ってね。私もウィーンちゃんって呼ぶから。えへっ」
と可愛らしい、今風のミニスカートをはいた足の長い女性がウインクをしながら、話してきた。これが座敷童のさくらさんか。綺麗な着物姿想像してたんだけど。明るく活発で、だれとでもコミュニケーションとれるタイプの子だな。こんな子が彼女だったらいいんだけど。とほんのり頬を赤め乍ら見つめてしまった。
「ごほん。次はわしでござすな。わしは、九州支店の大輔でごわす。欧州の方が経営に来てくれたと聞いて、日本男児として、恥ずかしくないように挨拶に着たでごわず。わしは、1月前にオープンしたので、ほぼ同期でごわす。一緒に頑張るでごわす。」
だいだらボッチの大輔さんは、ザ体育会系みたいな人だった。人ゴミの中でもひときわ頭だけがとびでているほどだ。それに、身体がしっかりと筋肉がついていて、農業やってます感も半端なく感じる。
「大輔さん。宜しくお願いします。日本のことはまだまだ知らないことだらけです。一緒に頑張りましょう。」
よしっと、大輔さんと僕は握手した。
「本なら次はうちやな。大阪から来た儀昌言います。よっしーでも。よしさんでもあんたの好きなように読んでくれなはれ。うちは敬語とか、話し言葉とか苦手なんや。ま~勝手にすることするから。適当に仕事やりますわ。」
「あはは、よしさん。よろしく」
よしさんは、チンピラみたいな格好をしている。頭はシルバーヘアーでツンツンスタイルで、プカプカ煙草を吸っている。
ここって、禁煙じゃなかったっけ?駅員さんが近くを通りかかるが、見えないみたいに通り過ぎている。気をそらしているのか、人間には見えないようにしているのか。
「ほんなら、わらわが最後ですね。中国の北京支店から来ましたの。妲己いいます。よろしゅう。うちの国ものが、ぎょうさんこちらに観光に来て、日本製はいいって、言うて肌荒れの塗り薬やら、スキンケア製品を持ってきてくれはりましたの。わらわも自分の肌にあったスキンケア製品を選びたい主て、日本まで応援きましたわ。きちんと、応援の仕事はじゅ~~ぶんにさせて頂きます。わらわに任せれば、初日から目標人数達成間違いなしですね。ほほほっ。」
最後に、殷王朝を破滅へと導き、数々の王朝で王の側室をされていたと数々の伝記に残る伝説の人だ。数人の王が篭絡されたのも頷ける。ものすごくスタイルがよいのだ。胸はほど良いサイズで、大きすぎもせず、お尻もでかいわけではなくきゅっと引き締まっている。
そして、腰の括れがキュッとしまっており、全体でみてこれが黄金比かと思うほどである、また、口紅はさわやかなローズで化粧も薄くほんのりしてある。香水も下品な感じではなく、うっすらと感じて、心地よくなるレベルである。
また、来ている衣装もものものすごく身体のラインを際立てている。胸のあたりが、ぱっくりと空いて、ほっそりと綺麗な方が見える、チャイナドレス。ドレスの丈自体は膝下まであるものの、横に入っているスリットから歩くたびに白い太ももがちらちら除いて、目が離せなくなってしまう。
上部も胸のとこに丸い穴があいていて、そこから、ブラジャーが見えない程度に胸が見える。それも谷間がはっきりとわかるほどだ。この女性は危険だ。危険信号がビンビンくるよ。ちょっとでも気を抜くと、心が誘惑されてもっていかれて、骨抜きになってしまいそうです。
さすが、中国の伝説の九尾の狐である。存在感が半端ない。周りからの視線が、ほぼ男性で、僕たちを見ているのではなく、妲己さん。いや妲己姉さんの所に視線が集中している。ちらほらと声をかけようとしている人もいるが、連れの女性の人達に頬をつねられて去っていく。妲己姉さんが日本にいる間に何人の男性が、虜にされてしまうのだろうか?
ふと、ダンジョンマート金沢店の開始よりもそちらの方が心配になってしまった。
「はい、妲己姉さん。今日は宜しくお願いします。姉さんは大変綺麗で魅力的な方なので、僕には触れないでくださいね。仕事にならなくなりそうですから。」
「ふふふっ、いい心構えね。わらわのこともきちんと評価して、即座に対応策をとるのね。それに免じて、言う事を聞いてあげるわね。でも、わらわにも、金沢の観光案内してくだはれ。」
「ええ、そんなことですむのでしたら、お安い御用ですよ。」
「では各自自己紹介も終わりましたので、金沢支店までご案内します」
そういって、目を引く人たちを連れて、ずらずらと駅からダンジョンまで歩いていく。
隣を歩いているエリックさんが
「ウィーン様、よく正気を保っておいででしたね。妲己様の誘惑の術は、本人が意識しなくても常時周囲に影響を及ぼしますので。一応私どもとしては、特に男性の方が比較的かかりやすく、そうなった際に応援にならなくなるので、術を制御して頂くようにお願いはしてたのです。でもやはり、漏れておりましたので……」
「ははははっ、ただ魅力的な外見だけではなかったのですね。欧州でも妲己姉さんのように蠱惑的な女性はいましたので。一度あって、触ってしまったら、5日間ほど、記憶がなかった出来事がありましたので、誘惑の術には抵抗できるよう耐性は多少つけてあったのが幸いしました。」
(ちなみに、サキュバスの方でした)
「でも、エリックさんも大輔さんもよしさんも、誘惑の術にはかからないんですね。」
「私共の場合は種族的特性があるので、もともと効きにくいのです。大輔さんは、だいだらぼっちですから。そもそも土地への愛情等はありますが、異性への興味はまったくと言っていいほどありません。私はユニコーンですから。対象者は清らかな少女のみですの。成熟して、経験のある大人の女性には魅力を感じないのです。そして、儀昌さんは、天邪鬼です。人の意識に働きかける術を熟知しておりますので、その対応策に関してもエキスパートのため。誘惑の術にかかる人は今日の応援の中にはいないのです。」
「なるほど、日本の物の怪にも色々な術や特性を持っている方が多いのですね。とはいえ、妲己姉さんを相手にするときは、一瞬でも気を抜くと、一気に心がもっていかれそうです。」
「ウィーン様。5日間だけ、気合いを入れて乗り切りましょう」
応援スタッフの皆さんはそれぞれが優秀なダンジョン経営者ではあるが癖のある人物ばかりであった。この5日間ぼくはやっていけるのだろうか?
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