【067】営業4日目と温泉その7
その後は何事もなく順調に進んだ。終礼時には女性の冒険者の新規登録者数が延びていること、昨日までは不満げな冒険者が多かったが今日の午後からは満足して帰る人が多かったことが報告された。
「ご主人。やっぱりモンスター数上げてよかったにゃ~」
「そうだね。こんなにも目に見えて、お客さんの満足度が上がるとは思わなかったよ。」
「えっ、オーナーが何か対処されていたんですか?」
「ええ、お昼頃にダンジョン1階の調子をモニターでチェックしてまして、冒険者同士でのモンスターの取り合いが多かったので、出現数を2倍に変更しました。あと、ボスのスフィンクスがもう突破されてました。」
「そんなことされてたんですか。」
天魔さんがびっくりした表情で訪ねてくる。
「ええ、雑務が少し片付いたので、これまで出来てなかったダンジョン内部のチェックをしてました。あっ、そうだ。ベルトパーテーションが明日の午前中に入ってくるみたいですので、さっそく外と中に設置しましょう。」
「あっ、そこまでやっていただけたんですね。ありがとうございます」
このオーナー本当に底が読めませんね。通常の業務の手配や管理が出来ないと思いきや、シフト表の作成やマーケティング、そしてダンジョンの調整は言われなくても水準以上に出来ている。と天魔は思った。
「オーナーこれからシフト表の作り方見せてもらってもよいでしょうか?」
「いえ、この後はダンジョン2階のテストプレイがありますので、難しいですね」
ミリィと雪那さんが「「しーーーーっ」」と声を揃えて言ってくる。
あっ、秘密でしたね。そういえば。
「そうなんですね。私もどんな風にオーナーが作ったのか興味ありますので入ってもよいですか?」
そう言われても…。と、視線をミリィと雪那さんに視線を移すと、二人ともブンブンと首を横に大きく振っている。
「みなさん私を除けものにしてます?はぁ~、すみません。では、僕は帰りますね。明日の朝でしたら大丈夫でしょうか?」
気落ちした声で天魔さんが言ってくる。いや、虐めてるわけではないのだが…………。
なんか、天魔さんが可哀想になってきたよ。何も悪い事してないのにね。口を滑らせた僕も悪いんだけど。ここは正直に話してしまおう。これから一緒に仕事していく人に誤解したまま帰って欲しくはないな。
「天魔さんすみません。実は今朝ダンジョン2階の設定をしてまして。その時に温泉を設置したので、今日テストで入ることになったんですよ。その時、雪那さんも同席してまして。一緒に行くことになったんです。」
「そうなんですね。それならそうと早く言ってくれればよかったのに。温泉となると、知らない人が入るのは抵抗ありますからね。きっと私に秘密にするくらいですから、混浴なんでしょう?」
「ええ、水着を着ては入りますが混浴になってます。」
「それは女性なら気にすることですから。納得できましたし、私のことは大丈夫ですよ。シフトの方は明日の朝で大丈夫でしょうか?」
ミリィと雪那さんが目を合わせる。二人揃って「はぁ~~~っ」と息をつく。
「天魔さんも一緒に入っていいですよ。私たちは水着にタオルを巻いて入りますから。ここで除け者扱いにすると後後の関係が悪くなりますから。一緒に入りましょう」
「えっ、いいんですか。実は私温泉が好きなんですけど、ここら辺ってあまりないじゃないですか。ホテルのお風呂だと入った気がしなくて。」
「天魔さんもですか。実は僕も温泉が好きで、ダンジョンをスパリゾ計画しようと思ってたんですよ。」
「なんです。その面白そうな企画は私もぜひ参加させて下さい。」
天魔さんと僕は両手で熱い握手を交わした。仕事を越えた趣味の同士が見つかったんだ。
「温泉バカが二人出来たみゃ~」
「本当ですわね~。せっかく、阻止出来てたと思ってましたのに。」
また揃って、「はぁ~~~っ」とため息をついていた。
「なら、制服から着替えて、これからダンジョン2階のテストプレイに臨みましょう!!」
「「「おおお~~~~」」」




