【038】初めての休暇と金沢観光3
水引体験のミクル工房を出発し、お次は22世紀なのになぜか21世紀の美術館へ。
中に入ると古今東西の様々な刀剣が飾られていた。日本刀の宗政、正宗、レイピアやハルバードなんて物もおいてあった。極め付けは、あるアニメの機神が武器としているナイフまで等身大でおいてあった。
かなりのでかさにびっくりしたものだ。他にも刀を使っている忍者や、袴をして戦うアニメの刀までもして作ってあるものが置いてあった。
僕は日本刀も好きであるがアニメも好きである。思わず連れの女性二人を完全に頭から忘れ去り、本能の赴くままに、様々な刀を見、注釈を見て、写真を撮り廻ってしまった。
気付いたら、辺りに二人の姿は消えてしまっていた。あれっ、僕22歳にもなって迷子になってしまった。おおう、しまった。あまりに夢中になりすぎて周りをまったく見ていなかったよ。
その時、ピコーンとスマホが鳴った。サクラちゃんから、MOINEで「出口で待ってるね」と書いてあった。僕は慌てて、出口へ向かって行った。
「ごめん。ちょっと夢中になりすぎてました。」
「ウィーンちゃん。満足出来た?よかったね。楽しめるものがあって」
許してもらえてほっとした。
刀剣見てると、自分でもデザインして、刀を使って戦ってみたいと思うようになっていた。ダンジョンでは、ほぼモンスターはワンパンでも、刀を使ってやってみるのも面白いかな。
時代劇やアニメのロケーションみたいに配置して、それっぽいモンスターを配置できれば、アニメの中で戦っているような雰囲気に成れるかも知れない。
さすがにアニメのように必殺技名を言って、それっぽい効果を出すのは難しいかもしれないが。少なくとも恰好や武器はこっちでデザイン出来る。僕はパラメーターは気にしてないし、デザイン重視で武器作りをしてみるのもいいかもしれない。
いやその前に、現在武器の中に日本刀があるのを確認した方がよいかもしれないな。あ~~ダンジョンって、アニメオタクや刀剣オタクにとっては夢の聖地になるかもしれない。コスプレなんかも、全部ダンジョン内でデザインして作ってしまえば、みんなで出来るし……。
どんどんどん思考の深味に嵌っていくウィーンであった。そんなウィーンを二人は眺めて、お互い頷きあって、両サイドから腕をがしっと二人の腕で挟まれて。
「さっ、ウィーンさん。次行こう。次、ラストのひがし茶屋街だよ。ここの刀剣展も着物着ながらだとすごく絵になるけど、和服といえばお茶とお団子・甘味だよ。さ~~いこ~~~」
タクシーに乗ってひがし茶屋街へ。道中タクシーで、窓の外から兼六園を眺め、金沢城を見て、ゆ~~ったりと通り過ぎていく。平日だからなのか、道で渋滞に会うこともなくスムーズに着いた。
道に降りると、結構歩いている人が多くいるな。しかも僕たち以外にも結構な割合で着物の和装で歩く人が多いようだ。やっぱり、金沢の城下町の文化にあわせて観光しようっていう人が多いのかな。
到着した頃には日が沈みかけ、オレンジ色に差しかかる日光が日本の茶屋街を照らして、綺麗だった。時間もないこともあり、散策はせずにそのまま、お抹茶と和菓子を出してくれる純和風のお店に入っていく。
出された、抹茶は渋くいい味を出していたが、僕の舌と合わないようだ。僕の舌がお子様なのかもしれないな。二人は美味しいお点前ですね。って飲んでるし……う……ん大人になろう。
その後に出された酒饅頭を爪楊枝で、一口サイズに切って食べると、しっとりとした餡子が舌の上に広がって、抹茶とよい味わいを演出していた。
「は~美味しかったですね。お抹茶と酒饅頭」
「中国のお茶も美味しいけど、日本の抹茶も中々なものねん」
「次着た時はお抹茶のパフェも食べてみたいよね。あの白いプルンとした白玉を抹茶と餡子につけて食べるとどんな味がするんだろうね。」
もう三人にひがし茶屋街の街並みは目に入っていなかった。あるのはただ美味しい生菓子の感想のみ。どうやら僕たち三人は花より団子の部類に入るようだ。
時間もないので、サクラちゃんをタクシーを捕まえて、金沢駅まで『ビューン』と送っていった。僕たちは急いで、レンタルショップで着替え、着物を返却しホームへと走った。
駅まで届けると、
「ウィーンちゃん。お店の方針と入れる子決まったら教えてね。また一緒に飲み会しようね。」
「ええ、また、相談したい事や報告することあったら連絡しますね。」
「あっ、妲己姉さんとサクラちゃんの二人にはあとで、写真整理して送りますね」
「うん、楽しみにしてる。じゃ~時間だからまたね~~~」
とサクラちゃんは新幹線に乗って行ってしまった。残す所、妲己姉さんとの夜の逃避行……。いや間違えた。それはとても恐ろしくて、僕が妲己姉さんから逃避行したいんだった。じゃなくて、夜の星空満点空中ツアーだけである。
「じゃ~妲己姉さん。夜のツアーへと洒落こみますか~。場所は一旦、他の人に見えない、ダンジョンマートの屋上へ行きますね」
「うむ、宜しく頼むわん」
こうして恐怖の夜の星空満点空中ツアーが開始されようとした。この後、あんなことが起きるなんてこの時の僕は知る由もなかった。
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