【010】ダンジョンマート金沢店オープンその1
おはようございます。北陸石川も梅雨入りしましたね。
最近、朝、昼、晩とやっていた畑の水やりがやらなくて済みそうです。
でも、運動しない私にとって、その水やりは適度な運動なんですよね。
そして、雨が降った後の畑といったら、雑草が伸び放題ですね。
雨のため時間に余裕ができたので、朝、昼、晩と3投稿に挑戦します。
2話は、ダンジョン始めませんか? 1話はテンプレ勇者は大嫌いです。
読んでくれる方が増えてくると書いててよかったと思えます。
いつも読んでくれてありがとうございます。
「「「おはようございます」」」
オープン開始の2時間前に集まった。8時ですよ8時。通勤ラッシュが電車も車も終わったかなって頃の時間帯です。今日は土曜日ですけども。
「ウィーン。おまえ、今日はもう、外みはったんか?」
「ええ、さっきビルの屋上からチラッと見ました。問題ないな~いつもと変わらない日かなと思いました。それで、コンビニに菓子パン買いにいったら、ビル前の地下道への入り口がひどいことになってましたね。」
「おお、そうやちゃんと見とったんなら問題ないわ。ってそんなことあるかい!!あんな入口前にぎょうさん人間がたむろっとたら、近隣の皆様に迷惑やろが。ほら、あこの仕事にきたであろう、ねえちゃん。入ろうとしても、前に人がおって入れんやろが。さっさと行って、散らして、お客様に綺麗に並んでもらってこい。うちらは、打ち合わせ軽くしてから、予定より早いけど、準備始めるし。己はここの代表やねんから、ご迷惑かけてる近隣の皆様にもご挨拶してこんかい。」
「はいっ、ではみなさん。ちょっと離れますけど。オープン初日頑張りましょう。」
「おお~~~っ」
ダンジョンマート金沢支店の前のたむろしている若者集団の前にくる。やっば~い。ひ~ふ~み~よ~~~……ここだけでもうすでに100人近くいるじゃないか。ダンジョンマートのメジャー名とダンジョン探索の効果おそるべし。
「お集まりの皆さんおはようございます。私はダンジョンマート金沢店のスタッフです。皆さんはダンジョンマートのオープンに来られた方でしょうか?」
「「「はいっ、そうで~~~す」」」
数十人規模の若者の声が閑静だった駅前に大きく響き渡る。
「みなさん。ご来店くださりあえりがとうございます。ここに集まると近隣の皆様にご迷惑になってしまいますので、順番に並んでくださいね。お返事は小さめにお願いします。」
「「はいっ」」
小さめの返事で返してくれた。ここらの若者は教育が行き届いているようだ。理由を説明して、お願いしたらちゃんとこちらに合わせて動いてくれる。仕事に行くお姉さんに、軽く会釈をし、入口に入ってもらうように手で促した。相手も「ありがとうございます」と小さな声で会釈して、行ってくれた。
「整理番号を配布しますので、こちらをお持ちになっていたら、あとで優先的に入れます。ですので、このまま並ばなくて大丈夫ですよ」
「おっれいっちば~~ん」
「なにいってんだ。お前は俺より後に来ただろうが……」
若者同士が俺が先だ、だれが先だと、諍いを始めてしまった。若いっていいね~。「はいはい」
手を叩きながら、声をちょっと荒げて対応する。
「喧嘩している人は、一番最後に整理番号をお渡ししますね。他の並んでいる方から、整理番号をお渡ししますので、こちらにお並び下さい。」
諍いがぴたっと止まって、順番に並んでいく。どうやら、この人数での最後にはなりたくないようだ。それならそうと争わなきゃいいのにね。ほんっと若いな~。順番に整理番号を配布していった。もらった人から列を離れ、近くにあるファミレスかどこかで時間を潰してくるようだ。
次々と整理番号を配布しているが、次から次へと人が列に並び終わりが見えなくなってしまった。どこまでゆくのこんな地下通路の中って、金沢駅の方に向かってるね。ま~、地上でこんな真夏の日に朝から並びたくはないから丁度いいけど。
幸い地下のイベントホールでは、この2日間は、イベントされていないため。ぽっかりと空間が空いてるし。よかったわ。というか、本当に今日は何人来るんだろう?今日はビギナーだけのオープンになるので、新規登録者だけがくる形でベテランの探索者はさらに2週間後となる。
その分新規登録にかかる時間がオープン初日はものを言うのだが。ちなみに新規登録にかかる時間は、昨日のよしさんのシミュレーションでは、一人5分らしい。これを受付3人で行うので、1時間あたりにさばける量は、36人である。
なので、初日の最大動員数は、360人である。休憩やその他のイレギュラーも考慮して。300人までを整理番号の対象としている。他の人は、入れるかもしれないから来てもらっても大丈夫なのだが、一応は入れないかもしれないことを説明の上、了解した人には並んでもらうことになっている。
「ウィーンさん、お疲れ様ですわ。朝のミーティングが終わったから交代に来たわよ。もう250番まで配ったのね。後はわらわに任せてもいいわ。この分だと、誘惑の術を使う必要はまったくなさそうね」
「って、妲己姉さん、なんて恰好してるんですか。さっきまでは普通の私服だったのに。それにダンジョンマート支給の制服来ての対応だって言ったじゃないですか。」
若干目に涙をうかべながら、妲己さんに哀願してみる。だってだって、秋葉でもないのに、朝から、金沢駅の度真ん前で、バニーガールの衣装に身を包んだ蠱惑的な妲己姉さんが立ってるんだから……
バニースーツから出る可愛らしく、綺麗な狐耳(そう、ウサギの耳ではなく、自前の狐耳)。そして、尻尾も自前の尻尾。九本もだして、物の怪パワー全開である。
「それにその姿、半分物の怪化しちゃってるじゃないですか。困りますよ。僕ら物の怪は、人間の一般的な認識では存在しないことになってるんですから。」
「わらわのことなら大丈夫よ~~ん。中国でもオープンの時はこれ以上に煽情的な衣装で登場したわん。みんなトロトロで誰もそんなささいなこと気にしなかったわよん。
それに、これだけメイド喫茶やアニマル喫茶が溢れてて、巷でコスプレイヤーが獣人の仮装している現代だもの。わらわのことを誰も九尾の狐とは思わないんわよ。ちょっと、露出の高い服を着た、狐のコスプレをした美人な人で終わりよん」
「そっ、そうですか。う~~ん。そういわれるとそうかも知れませんね」
エリックさんもヨシさんも止めてくれればいいのに。僕だと、丸め込まれてしまうんだよね。ま~他にしなければならないこともあるし、ここは妲己さんの弁を信じよう。
「わかりました。ではこは交代で、人員の誘導と説明をお願いしますね。けっして、若い男の子に粉かけて、食べちゃだめですよ。もちろん触れてもダメです」
一応ここのオーナーは僕なので言うべきことはキチンと伝えておく。もっとも守ってくれる保証は何もないのだが……
「わかったわん。眺めるだけで、終わらせるわよん。」
「ではお願いします。」
妲己姉さんに後を任せて、僕は受付ホールに急いで戻るのだった。
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