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魔女と出会った日から  作者: 大利畢者
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「一歩を踏み出した」


 もう五月になる。「初夢はつゆめ あや」は流れるまま小学五年生になって一月が経つ。


 昼下がりの授業中に、先生が問いを投げてこないのを良い事に妄想にふけっていた。

 ただ過ぎる日常を退屈と思い、現実から目を背けて妄想を膨らませる無駄な時間。

 そんな「無駄な事」をしたことがない人はいないのではないか。

 妄想に一区切りをつけた時、ふとそう思った。その思考をアウトプットして誰かと共有する事も、それが間違いであると指摘されることもない。

 話し相手がいないのだから。


 一人で下校していると、高校生の男子が、数人で一緒に下校している光景を見た。

 彼らの中にも一人、相槌を打ってるだけの人がいた。

 なんとなくシンパシーというものを感じてしばらく眺めていた。相槌を打っているだけの人は、妄想している時の自分そっくりだ。心此処に在らず。

 突然話題を振られて困惑している。愛想笑いでなんとなく誤魔化しているところも、自分そっくりに見える。


 クラスが変わってしまって、友達だと思っていたあの子と離れてしまった。会いたいけど、会おうと思えば会えるのだけど、あの子は新しいクラスでも当たり前のように上手くやれている姿を見た。私は、誰にも話しかけていない。話しかけられたこともない。

 私は内気だ。お母さんも先生もあの子も、内気だねと言う。だから内気なんだよ。


 でも……いつまでも教室で一人は嫌。みんな優しいから私に何かするわけじゃないけど、寂しい。

 一人だけ、気になる子がいる。話しかけられそうな感じの子。休み時間になると、短い十分間の休憩時間でも教室から真っ先に出て行って、校内をフラフラ徘徊しているちょっと変わった子。何もない廊下をじっと見たり、話しかけて、追いかけているのか走りだしたり。見えない何かが見えているようで、聞いてみたいけど、そもそも話しかける勇気なんてなかった。


 ……その子も、ある週末を境に変わってしまった。でもそれはチャンスなのかもしれない。

 話しかけてみよう。友達になってほしいな。



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