エピローグ
今日の俺は絶好調だった。
朝一から狙っていた台が、ドンピシャで高設定の挙動を示し、昼の時点で五千枚オーバー、さらに勢いは衰えるどころか閉店までATが終わらず、一万枚を突破した。
思えば、万枚なんて四号機の「北斗の〇」以来だ。
俺は呼び出しボタンを押し、店員にヤメるのを告げた。
そして、後ろで腕組みをして見ている(待っていた)ゲンさんにガッツポーズを見せた。
やっと月の収支が、人並みに生活できるほどの数字を叩きだし、安定して勝てるようになってきた。
いちいち勝敗に一喜一憂しなくなったし、勝てる理由や術をみにつけてきた。
まだ半信半疑なところもあるが、こうすれば、きっとやれる俺はそう信じている。
「崇!絶好調だな」
ゲンさんが俺の肩に手を回す。
「まだまだっすよ」
俺は目を伏せ、照れを隠す。
そして、心の中で、
(そう、まだまだ)
呟いた。
球場にその名が呼ばれると、地鳴りのような大歓声が響き渡った。
菜緒は今、万感の思いでマウンドに立っている。
一軍のマウンドに立つのは三年六か月ぶり、丹念にストレッチをして、プレートを踏んだ。
今、ここにいる喜び。
投げる喜び。
必ず戻る誓いを叶えた喜び。
目を閉じ、瞑想する。
目を見開く。
キャッチャー目掛け投じる一球。
渾身と決意を込めたストレートが唸りをあげて突き進む。
完
これにて完結です。
この作品は過去に書いたものです。
ちょっぴり古臭さも感じるところもありますが、前の作品を見直して書く(打つ)のは、懐かしくもあり楽しいものです。
プロ野球とパチプロ、全く異質な取り合わせを何故、書こうと思ったのか、今は謎です(笑)。
が、ふと思い立ったんでしょうね。
また、機会がありましたら、拙作読んでくださいね。
ありがとうございました。




