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二章③
今日は絶好調だった。
確実に狙い台に座った俺は、その後の挙動から見ても間違いなく高設定を確信した。
実際、昼前だと言うのに台は三千枚のコインを吐き出し、ひと箱カチ盛り、下皿はパンパンの状態だ。
勝利の一服を吸いつつ、ボーナスを消化していた。
勝っている時はいい。
唯一、この生き方の正しさが証明されていると確信し、前向きになれる瞬間。
後はひたすらゲーム数を消化するだけだ。
メシを食っている暇などない。
ふと頭がぐらついた。
最近、貧血気味なのだが、ここ数年、一切、病院にはいっていない。
目の前・・・生きることで精一杯なのだ。
その日、一日一日が今の俺のすべてなのだ。
目を閉じ、右手で目頭を押さえながら、左手一本でレバーとボタンを叩く。
大きく深く呼吸をする。
少しだけ楽になった。
やがて閉店間際となり、頭上には三箱カチ盛と、椅子の後ろに用意された千両箱には大量のコイン、七千枚はあるだろうか。
久々の快勝だった。
残り時間は20分となり、俺はヘルプボタンを押し店員を呼んだ。
戦いは続く、明日の為に下見をしようと立ち上がった瞬間・・・。
世界が暗転した。
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