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楽園


 お風呂とは、人が裸になり、無防備な姿を晒す場所……。

 そこにある光景は、肌色成分ましましの、とても美しく、優雅で神聖な物であり、女の子にとって女の子だけの楽園なのです。そこにある風景は、全てが美しい。湯が滴る肌や髪。火照った身体や頬。何故これほどまでに、女の子とは美しいのでしょう。


「ミコトさん。えと……背中、洗い終わりました」

「あ、ああ。ありがとう」


 スレンダーな身体のミコトさんは、サクラに背中を洗ってもらっていました。泡立った背中をサクラがお湯をかけ、泡が落ちるとミコトさんのキレイな肌が現れます。

 しかし身体の前面はなかなか見せてくれなくて、ずっと白いタオルで隠したままです。とはいえそのタオルはミコトさんの肌に張り付き、オマケに透け気味で裸よりも扇情的で、私を興奮させてきます。


「はぁ……はぁ……」


 もしかしたら、わざとやっているんでしょうか。先に身体を洗い終わった私は、お湯に浸かりながらそんな姿を凝視していて、興奮してしまいます。

 一方ミコトさんの身体を洗ってあげていたサクラの身体は、ぷにぷにとしていて気持ちが良さそうです。太っている訳ではないんですよ。胸は身体に合わせて程よく大きく、お尻も弾力がありそうで、色気があります。

 こちらも時折恥ずかしそうに身をよじる仕草を見せたりしているものの、タオルで隠したりはしていないので丸見えです。興奮してしまいます。


「わ、私までこんな所にいて、良いんでしょうか。それに、身体まで洗っていただいて……ほ、本来なら私は、皆さんの湯浴みを手伝わせていただくだけの立場なのに……」


 隣に目を向ければ、タニャが恥ずかし気に縮こまりながらお湯に浸かっていて、私を興奮させます。

 タニャの身長はサクラよりも少し小さく、こちらはやや痩せ気味でミコトさんの体形とは少し違う意味で、スレンダーです。でも胸の大きさはミコトさんと同じくらいですね。

 タニャには身体を洗ってもらったうえで、私も身体を洗ってあげた仲です。とても良い肌触りでした。思い出すだけで興奮してしまいます。


「勿論、いいんですよ。タニャは私の大切な子ですし、私自身が傍にいて欲しいなと思います。それに、身体の洗いっこはとても楽しかったです。またしましょうね」

「は……はい。私なんかでよければ……その……また……」

「……くっ」


 湯面に顔を沈めながら、タニャは約束してくれました。

 その仕草や、恥ずかしがる声が可愛くて抱き着きたくなってしまいますが、歯を食いしばって我慢です。お湯に沈んだ状態でそんな事をしたら、興奮しすぎて鼻血を出し、のぼせる自信がありますからね。ただでさえ興奮させられる材料が揃っているので、ここは欲望を押さえて我慢ですよ。


「二人とも、洗い終わったのならこちらへ来てください。一緒にお湯に浸かりましょう」

「は、はい……」

「うぅ。わ、分かった……」


 私に呼ばれた2人は、前かがみになって身体を少しでも隠そうとしながら、やってきました。

 まずはサクラが片足をお湯につけ、ゆっくりと沈んで肩までつかります。


「はぁー……」


 気持ちよさそうに声を漏らすと、私の方へと近づいて来てそこに留まりました。


「……」


 そんなサクラをよそに、ミコトさんはお湯の前で躊躇しています。

 お湯に沈むには、タオルを取るのがマナーですからね。それを取り払うのを嫌っているようです。だけど、沈まずに逃げるのは私が許しません。ニコやかにミコトさんに対して視線を送りながら、目力で早く来いと訴えかけます。


「み、ミコトさん。女の子同士ですし、そんなに恥ずかしがらなくても大丈夫ですよ」

「う、うぅ。分かってはいるんだが、こういうのにはあまり慣れていないんだ。それに……エイミさんの目が怖い……」

「わ、私が隠しておきます。これで大丈夫です」

「うぅ……」


 ミコトさんを説得してくれたサクラが、私の前にやって来て視界を塞いでしまいました。塞いだと言っても、その頭の上からミコトさんの裸はばっちり見えています。それどころかサクラの濡れた頭越しに、タオルを取り払ったミコトさんの姿を見る事ができて、素敵な光景です。

 タオルを取り払って一糸纏わぬ姿となったミコトさんは、すぐにお湯に沈んでその身体を隠してしまいました。私達とは少し離れた所に留まると、そこで顔の半分まで湯面に浸からせてその顔まで隠してしまいます。

 このお風呂は、とても広いですからね。いっぺんに数十人はゆったりとお湯に浸かれそうなこの浴槽は特に広くて、思いきり離れられるとせっかくのその裸体をじっくりと堪能する事ができません。

 でも、恥ずかしがっている女の子を無理に近くに連れて来る訳にもいきません。恥ずかしいながらも、脱いで一緒のお湯に浸かってくれただけでもよく頑張ってくれました。今はこの距離で勘弁してあげましょう。


「エイミ様!」


 のんびりとこの光景を楽しもうと思っていた時、大浴場の扉を勢いよく開け放ちながら私の名前を呼ぶ人物が入って来ました。

 その人物は素っ裸で、しかもタオルもなにも身体に巻かずに清々しいくらい堂々としています。


「リシルさん」


 その人物はリシルさんで、この国のお姫様でした。やはりお姫様なだけあって、メイドさん達に裸を見られ慣れているんでしょうか。せっかくなので、その身体を観察させていただきます。

 程よい肉付きに、白く透き通るようなお肌。成長途中の胸は私よりも大きく、これからまだまだ成長していきそうです。将来が楽しみですね。


「……失礼します」

「レイチェル」


 レイチェルは、私が起きた事をリシルさんに知らせに行くと言って、途中でいなくなってしまいました。体よく逃げられたと思っていましたが、リシルさんに手を引かれて彼女も素っ裸にタオルを身体に巻いた状態で入って来ます。

 レイチェルは小柄ながらも、出るところは出ていて大人の色香を感じさせますね。出ているといっても、大きい訳じゃないんですよ。でも、色っぽいんです。


「そんなに勢いよくやってきて、どうかしたんですか?」

「どうしたもこうしたもないです。ようやく目が覚めたと思ったら、私に挨拶もなしにこんなに楽しそうなイベントを……なんで誘ってくれないんですか!?」

「と言って報告しにいった私の手を引き、この浴場に直行。自ら服を脱ぎ捨て、有無を言わさず私の服まで脱がして、今に至ります。んっ……」


 無表情ながら、レイチェルがわずかに身をよじりました。そのリアクションは、恥ずかしがっていたミコトさんの物と似ていて、彼女もまた恥ずかしがっている事が分かります。でも、リシルさんに手を握られているので逃げる事はできません。


「とにかく私たちも混ぜていただきます!いくわよ、レイチェル!」

「いく、とは?」

「こういうことよ!」


 そういうと、リシルさんはレイチェルの手を引っ張ったままこちらに向かって駆けだしてきました。突然の行動に驚く私たちですが、どうする事もできません。走り出したリシルさんは止まる事もなく、浴槽の手前でジャンプすると重力に引っ張られ、勢いよくお湯に着地。お風呂とは無縁であるはずの、大きな水しぶきをあげました。


「……する事が、大胆すぎです」


 頭からお湯をかぶった私は、呆れてそう呟きました。タニャとサクラも同じ目にあって、2人とも首をふって水を飛ばし、まるで犬のような仕草を見せてくれました。可愛くて、撫でたくなってしまいます。一方で私達と離れていたミコトさんは無事で、リシルさんの大胆な行動に驚きの表情を見せています。こちらも、特に理由はありませんが抱きしめて頭を撫でたいです。


「世界を救った英雄に送る、花火代わりだとでも思ってください。ちょっとしょぼいですけど」

「ええ。そう思って受け取っておきます」


 私としてはむしろ、目の前に素っ裸のまま堂々と立ち上がった、リシルさんがご褒美です。目の前で改めてみると、本当にキレイですべすべしていそうなお肌ですね。さすがはお姫様で、こんな物を目の前にしたら抱き着いてむしゃぶりつきたくなってしまうじゃないですか。

 物語でよくお姫様が攫われてしまう理由が、コレを見ると理解できてしまいます。こんなのを見てしまったら、多少強引にでも物にしたくなってしまいますよね。


「じゅる……」

「ふふん」


 お姫様のキレイな裸を目の前に、思わず涎を垂らして慌ててそれを手で拭った私を、リシルさんは勝ち誇ったようにして見下ろして来ます。なんでしょう、このシチュエーション。凄く、良いです。

 でもそれで満足したのか、リシルさんは座ってお湯に浸かってしまい、ご褒美タイムは終了です。


「リシル様。エイミ様に対し、そのような行動をとるのは危険かと。彼女は女好きの変態ですので」


 同じくリシルさんの隣に座り、肩までお湯に浸かっているレイチェルが、失礼な事を言いました。

 確かに私は女好きかもしれませんが、危険ではありませんよ。私は女の子が好きなだけですからね。そしてむしろ、虐めて欲しいと思っている変態です。あ、変態でした。失礼な事ではなく、本当の事でしたね。


「大丈夫よ。エイミ様は私にとって、世界一安全な方ですから」

「そう言われると、照れてしまいます。……ちょっと触るくらいなら、いいですか?」

「ダメです」


 安全だと言い切る割に、笑顔で断られてしまいました。いえ、安全だと分かっているからこそ、ハッキリと断って許可を出さないんですね。信頼されているのはいいですけど、複雑な気持ちです。


「改めまして、おはようございます、エイミ様」

「おはようございます」


 私とリシルさんは挨拶をし合い、それからニコリと笑い合いました。

 コレで、この世界で出来た私にとっての大切な人が、全員揃った事になります。タニャと、サクラ。リシルさんとレイチェルに、ミコトさん。現在その大切な皆が、裸で私の傍にいるんです。頑張って良かったなと思える、最高のご褒美ですね。


「さて、起きたばかりで申し訳ないのですが、貴女にはこの国の現状を聞いておいてもらいたいのです」

「私の今後にも関わる、重要な事です。聞かないつもりも、気にしないつもりもありません。是非、教えてください」


 グリムダストを攻略した直後から、4日も経っているんです。その後の処理がどうなったのか気になる事は、いくらでもあります。眠っていた間の時間を取り戻すため、私はリシルさんの言葉に耳を傾けました。


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