表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、異世界に来てまで虐められています  作者: あめふる
1章 転生先の世界と、きっかけ
9/98

他の勇者


 剣を受け取った私は、続いてペンダントを受け取りました。銀色のペンダントには、天空に浮かぶ島が描かれていて、勇者の神殿を表現しています。

 コレを持つ者は、勇者の証らしいです。私が要求した権力は、コレによって与えられます。勇者である私に、国民は協力し、崇めなければいけない決まりのようで、宿代や食事代が、このペンダントを見せれば無料になるとか。

 もらっておいて損はなさそうなので、私はそれを、首から下げて、装着します。

 それから、壇上から降りて、再びヴァンフットさんの隣に戻ってきました。


「また、防具の方も、専用の物を用意させる。一流のデザイナーによって、オーダーメイドで作らせるが故に、後程サイズを測らせてもらうぞ」

「ええ、お願いします」


 さすがに、セーラー服のままこの世界で過ごすのは、無理があります。私、けっこう世界観とか、そういうの大切にする方なんです。こんなファンタジーの世界で、自分だけセーラー服姿でいるなんて、そんな世界観を壊す行為はしたくありません。

 なので、快く協力させてもらいます。なんだったら、今すぐサイズを測って作りにかかってもらいたいくらいです。


「他に、何か質問はあるか」

「……質問、ですか。それとは少し違うかもしれませんが、あちらの方のお名前は?」


 私が指さして尋ねたのは、隅っこの方で、国王に向かって軽く頭を下げ続けている、女の子です。ヴァンフットさんと同じく、美しい金髪のロングヘアーの女の子は、地味目の青いドレスを着ていて、ガラティアさんを除けば、この場にいる唯一の女性になります。顔は小さく、顔の各パーツも小さくて、とても可愛らしい。特に、唇が好みですね。汚れを知らない乙女のような、ピンク色の唇をしています。また、目もぱっちりとしていて、青色の瞳は、どこまでも続く海のように、深く美しい物です。身体のラインを浮かばせるデザインのドレスによって、ほっそりとした身体のラインが浮き出ていて、貪りたくなるような魅力を秘めています。

 年齢は、12歳から、15歳くらいの間ですね。恐らくは17歳である私よりも、年下です。

 この場に訪れた時から、ずっと気になっていたんですよね。あまりにキレイで、場違いで……我慢できずに、ついに聞いてしまいました。


「……リシル・ナール・エリュシアル。この私の、末っ子の娘である」

「まぁ」


 という事は、お姫様と言う事ですね。それは、素晴らしいです。是非ともお近づきになりたい所ですが、我慢です。いきなり話しかけて、嫌われりしたら嫌ですからね。

 今は、リシルという美しいお名前が聞けただけで、満足しておきましょう。リシル。リシルさん。ふふ……。


「国王様!」


 そこへ、勢いよくこの謁見の間に入って来た兵士の声が、響き渡りました。


「何事か!」


 国王の代わりに、国王の傍に立っている、槍を持った兵士が叫んで尋ねました。先ほど、私に槍先を向けて来た人ですね。


「勇者様が、見事にダッカ村に出現したグリムダストを、攻略!タナトスの宝珠を持ち帰り、帰還致しました!」

「おお……!やってくれたか!」


 跪き、報告をした兵士の言葉に、場は盛り上がりを見せます。歓声が沸き、喜び合い、それがとても良い事なのだと、分かります。


「して、勇者様はどちらにいるのだ!」


 尋ねたのは、ヴァンフットさんです。ヴァンフットさんも、その報告を聞き、ガラティアさんと手を繋ぎ合って、喜んだ様子を見せていました。なんて、羨ましい事を。

 勇ましく尋ねた後も、相変わらずガラティアさんと手を繋ぎ、軽く抱き合った状態のままです。なんて、羨ましい事を。


「はっ。すぐそこまで、来ております」

「丁度いい。こちらに、新たな勇者様として召喚された、エイミさんがいる。父上、顔合わせをしてもらいましょう!」

「うむ。勇者殿を、こちらへ通せ」


 国王の許しを得て、報告しに来た兵士は、すぐに部屋を出て行きました。息を吐く間もありませんね。大変そうなお仕事です。

 それから本当に少しだけ経ってから、噂の勇者様が姿を現わしました。

 先頭を歩くのは、青色の鎧に身をつつみ、赤色のマントを纏った、派手な格好の男です。ヴァンフットさんと同じで、顔立ちは良いと思います。少しだけ茶色がかった髪色と、その顔立ちを見る限り、恐らくは私と同じ世界。同じ国から召喚された人なのでしょうね。腰には、鞘に納められた剣を携えていて、その風貌からは若いながらも、自信と威厳すらも感じます。見た目から判断する歳は、恐らくは私と同じくらいなのに、とてでもでもはありませんが、同年代とは思えないような、そんな雰囲気をまとっているという印象です。

 その後ろには、美少女が控えています。こちらも、私と同じ国出身ですね。

 彼女は黒髪を、ポニーテールにまとめ上げた少女です。強気そうな目が、彼女の特徴ですね。こちらも、私と同じくらいの年齢に見えますが、どうでしょう。中々に落ち着いた、クール美少女といった感じです。軽装の鎧で身を包んだその身体は、出るところは出ていて、ひっこむところは引っ込んでいます。手には、石膏でできたような、乳白色の弓を持っていて、それが彼女の武器だと推測されます。

 最後に、もう一人。こちらも同じく、私と同じ国出身と思われる顔立ちで、黒髪の少女です。髪には何輪もの花が連なった髪飾りをつけていて、それには宝石も散りばめられていて、彼女の魅力を引き立てていますね。ニコやかに笑うと、慈愛に満ちたその表情に、誰もが目を奪われます。また、その身体を包み込む、白色の修道服が、彼女の聖職者としての存在意義を高め、聖女のように映ります。身体は、胸が大きく、お尻も大きいという印象です。思わず、お尻を触りながら胸を触りたくなるような、そんな魅力的な身体の持ち主です。あと、背が大きいですね。こちらは、先端に大きな青色の宝石があしらわれた、杖を手にしています。

 最初の男以外は、私好みの美少女で、この世界に来てから美少女にしか会っていない気がします。


「よくぞ、戻った。勇者、ツカサ。勇者、ミコト。勇者、イズミ。貴殿らの活躍は、既に聞いている。ダッカ村の件、誠に大儀であった」


 国王はそう言って、歩み寄って来た3人を迎え入れます。周囲からは、大きな拍手が送られて、3人は誇らしげです。

 あと、どうでもいいですけど、この3人は跪かなくていいのに、私にだけ跪くように促して来たのは、どういう事ですか。ちょっと、納得がいきませんね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ