表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/98

どこかの世界で、終わる人生


 なんて、くだらない人生だったのかしら。虐げられるだけの毎日を過ごし、ついにその時が来たと思ったら、それで終わりだなんて、本当にくだらない。

 ただ、不思議と後悔はない。むしろ、恍惚としていて、気持ちが良い。だからこそタチが悪い。もう一度……もう一度、この感覚を味わいたい。でも、世界はそれを許さない。コレができるのは、この世界ではたったの一度だけ。

 元々そのつもりであり、分かってはいたけど、いざその時が来ると本当にくだらなくて、反吐が出る。


「……ふ。ふふふ。げほっ、げほっ」


 炎天下の太陽の下で、笑いながら血を吐く。お腹に、穴が開いている。それは銃で撃たれた後で、弾は貫通している。普通、女の子のお腹に向かって銃なんか撃ちますかね。

 まぁ手足に向かって撃って来た弾は、かわしましたから。それをされては、胴体を撃つしかないのは分かりますし、道理にかなっています。さすがに、的の大きな胴体に向けて放たれた弾は、避けようがありませんからね。


「もう一度言う!ナイフを捨てろ!さもないと、もう一発撃つぞ!」


 数名の警察官が、私に向かって銃を構えている。先ほどまでは、警棒で応戦しようとしていた警察官たちも、今では私と距離をとり、銃で遠距離から狙うばかりです。

 というのも、私を制圧しようとしてきた警察官を、何名か刺したせいですかね。腕や足の腱を斬り、首筋にナイフを斬りつけて、血が噴き出したりしていました。

 怪我を負った人達は、他の警察官が私に銃を向けて庇われながら、必死の治療が行われています。大丈夫ですよ。彼らは、死にません。しっかりと止血をしておけば、死なないはずです。

 私、学習したんです。私のクラスメイト達で、どれだけ深く傷つければ死ぬかを、観察ましたからね。

 もっとも、私のクラスメイト達……私を虐めていた13名は、全員死にましたけどね。私が、この手で殺しました。様々な手を使い、あらゆる苦痛を与えられて死んだ者や、どうせならと思い、どれくらいで死ぬのかと言う実験に付き合ってもらった者もいました。

 自分より、弱いと思っていた存在に殺される、その時の彼らの目は、私の気分を最高に昂らせてくれました。あの目を、もう一度……いいえ、何度だって見たい。

 でも、それはこの人たちに捕まったら、二度と見る事のできない物となってしまう。だから、捕まる訳にはいかないんです。捕まるくらいなら、私は死を選ぶ。だから、抵抗する。


「ナイフを捨てろ!……本当に、撃つぞ!」

「ふふ」


 この警察官たちは、とても良い人。最後まで、私に向かって武器を捨てるように促して、降伏を待ってくれている。私を、殺したくはない。その意思は、とてもよく伝わってきます。

 愛おしいけど、言う事は聞いてあげられない。もし捕まったら、私の人生はそこで終わる。死以上に、辛い毎日が始まってしまう。だから、捕まってはあげられないの。ごめんなさい。

 かといって、私を見逃してだなんていう我儘も言わないわ。この人たちの立場上、そんな事は絶対にできない事だもの。

 だからね。この人たちが私を殺さざるを得ない状況を、作ってあげるの。


「よせ……!動くな!」

「ふふ」


 私は微笑みかけながら、警察官へと歩み寄る。その歩みを、段々と早くする。

 警察官たちの表情が、更に強張った。


「ふはは……あははははは!」

「っ……!」


 笑いながら駆け寄ると、ついには銃弾が放たれた。撃ったのは、目の前にいた警察官だけではない。一斉に、四方から数発の銃弾が放たれて、私の身体を貫いた。

 それでも私は、倒れるに至らない。頭の中には、死に行くクラスメイト達の顔が浮かんでいて、それが離れない。私を興奮状態から、戻してくれないの。だから、感じる痛みは少ない。


「ごほっ……。ふ、ふふふ」

「な、何で……!」


 私を撃った警察官が、何名か腰を抜かして、地面に倒れてしまった。私はこんなに血まみれで、それでも倒れていないと言うのに……熱中症かしら。暑いから、気を付けないといけないわ。

 私は、ゆったりとした足取りで、腰を抜かした警察官に歩み寄る。私を見て震える警察官達は、私を制圧する事も忘れて、誰も止めに入ってこない。仕方がないから、自分で終わらせるわね。


「──これ、借りるわ」


 腰を抜かしている女性警察官の、傍に落ちている銃。私はそれを拾い上げました。銃は、彼女の腰につけたポシェットに繋げられて、彼女から離す事は出来ないけど、それでいい。

 持ってみると、ズッシリと重い。やはり玩具とは全然違う。ちょっとだけ、感動しました。

 感動しながら、私はその銃口を、彼女の頭に押し当てました。


「ひっ……!」

「よ、よせ!」


 短く悲鳴を漏らし、銃を押し当てられた本人のお姉さんが、我に返って恐怖心を露にします。

 可愛い反応に、思わず舌なめずりをしながらお姉さんの頬を撫で、その可愛らしい唇を指で触れます。柔らかくて、美味しそうな唇。

 一方、私の行動を見て、ようやく我に返った周囲の警察官たちが、再び私に銃を向けて来ました。でもコレは、軽い冗談です。私は、それを見てニコリと笑いかけてから、自分の頭に銃口を押し当てます。

 そして躊躇なく、その引き金を引きました。最後に乾いた銃声を聞き、私は死にました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ