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5.確認しましょう2(少女視点)


「で、どんなアピール出来たの?その様子じゃ告白もまだだろうし、大したことじゃないだろうけど、期待しないで聞いてあげる」

「むぅ……わ、私だって成長してるんだからね!驚かせちゃうんだから……」


 珂月ちゃんは変わらず乗り気じゃない……紙パックの野菜ジュースをストローで吸い上げながらなんて、私泣いちゃうよ……?

 でもこれは、相談に乗ってくれた彼女への成果報告でもあるんだから、きっと喜んで褒めてくれる。私も頑張ってるってことを教えてあげるんだから!


「えと……まずはスカートをちょっとめくってアピールを」

「ぶふっ!!」

「きゃっ、珂月ちゃん汚いよお!」

「汚いのはあんたの言動と心よ!!」


 何を言ってるの珂月ちゃん!口に含んでいたものを吐き出して、しかもまだ中身のある紙パックを握りつぶすなんて、女の子がやっちゃダメだよ!

 もう、机が……ティッシュで拭かないと……。


「え、あんた風紀委員の副委員長よね?いやそれ以前にこの学校一の美少女って言われてるわよね?というか女の子よね?何やってんの!?」

「でもクラスの男子から、好きな男性には『パンちら』するのが普通だって……それにわたしが読んでる少女漫画でもやってたし……」

「よし分かった。取り合えず話が終わったらその男の名前と、その少女漫画を私に貸して。然るべき処置を取るから」


 わ、すごい真剣な顔……もしかして、珂月ちゃんにも好きな人がいるのかな。だからその男子と少女漫画にアドバイスを求めて……!?

 う、うん。親友として、陰ながらでも応援するよ!


「……それで他には?何をやらかしたか全て話しなさい」

「うん。やっぱり直接は恥ずかしいから、遠くから眺めたり……こ、恋する少女らしく彼の背中を追ったり?それっぽい視線を送ったり……紫瞳くんの近くにいられるよう頑張ったよ!」

「……恋する少女らしさって何だっけ」


 珂月ちゃんが顔を伏せて、急に哲学っぽいことを言い出した。

 どうしたんだろう……私自身、けっこう頑張ったつもりだったんだけど……まだ足りなかったのかなぁ……。


「その、さ……連絡先交換したり、話しかけたりしたの?」

「そ、そんな恥ずかしいこと出来ないよぉ……!」

「……」


 この気持ちを自覚する前の私ならいざ知らず、今の私じゃ直接話しかけるなんて絶対に無理……!

 だから遠くからそれとなくしか……情けない話だし、ズルいとも思うけど、彼から話かけてくれるのを期待している私がいる……。

 うぅ……でもやっぱり、直接なんて無理ぃ……!


「……あぁ分かった。あなたの道徳観念を放置していた私が悪かったわ。さて、どこから治せばいいものやら……」


 珂月ちゃんがひどく疲れた顔をして、頭を抱えてしまった。机に転がるつぶれた紙パックが悲しく映る。

 彼女的には、私のアプローチは間違っていたのかな……もしかしたら、まだ足りないと言いたいのかも。紫瞳くんに話しかけることも出来てないし……。


 珂月ちゃんはうんうんと唸っている。

 場違いだけど、こんなにも自分のことで真剣に悩んでくれる人がいて、本当に恵まれていると思う。だからこそ、私も頑張って紫瞳くんへのアプローチを考えないと……!

 

 そんなとき、コンコンと教室の扉が叩かれた。


「失礼しまーす!夢有はいる……おお良かった、まだ残ってたな」

「大辺くん?どうしたの?サッカー部の活動はもう終わってる時間じゃ……」


 クラスメイトの大辺くんだった。ちなみに、紫瞳くんへのアピール方法は彼の受け売りだったりする。ほら、大辺くんって声が大きいから友達との会話も聞こえちゃうし……べ、別に紫瞳くんとの話を盗み聞きしている訳じゃないよ!?


 でも、今日のサッカー部は三十分くらい前に部室の鍵を返しに来ていたし、もう帰ってると思ったけど……。


「ちょっと夢有に伝えたいことがあって戻ったんだ。あ、ちなみに告白じゃないぜ?魔王の前でそんなこと出来る勇者じゃないからな」

「魔王って誰のことか簡潔に答えろ、歩く性欲野郎」

「いま喋った人」


 珂月ちゃんが大辺くんに飛び掛かった。

 やっぱり仲良しだなぁ……私もいつかは、こうやって紫瞳くんに、大胆に……ダメダメ!何考えてるの私は……!


 「……で、突然で悪いんだけどさ。明日の朝、風紀委員の活動が始まる前にうちらのクラスの前に来てくれないか?会わせたい奴がいるんだ」

「うん、いいけど……合わせたい人って?」

「楠」

「……ふぇ!!?」



 くくくくすの……紫瞳くん!!?

 


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