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第一話 #1

さて、、、、今の状況をおさらいしようか。


zランクだった俺は、少しでもレベルを上げるために、草原に出ていた。

爽やかに吹き込む風とは対照的に、べたついた汗が頬を伝う。


Q.目の前の敵は何か。A.青色のぷにぷに、、、スライムである。

Q.では何故故負けている?A.知らねぇよ!、、、と

無意味に自問自答を繰り返すほどに焦っている。

「はぁ、、はぁ、、なんでついてくんだよ、、!!!」


今、気づいたことがある。

それは、Zランクの基準が俺であるという事だ。

スライムでこの身体能力だろ?これってつまり、分かりやすく言えば、

近所の小学生が某レスリングの人レベルに、目の前のスライムはだいたい俺と同じくらいの身体能力だという事だろ?

そりゃ逃げ切れないわ。


「くそ、、、なんでアイツ、、こんな時に限ってトイレなんだよ!」

数分前にミアが『お花を摘みにいった』瞬間にこいつが現れたのだ。タイミングというものを考えてほしいものだ。

しかもこいつ、、無駄に頭がいいようで、心理学を重んじている俺ですらちょくちょく先回りされている。

いや、スライムに心理学はいみねぇわ。


「はぁっ、、、くそっ、、」


ずっと一方向に走っていたせいか、目の前にはみしらぬ森が広がっている。

さて、、森の中に入るか否か。

もちろん選択肢はYES一択である。


誰にも話したことは無いが、実はパルクールを習っていた経験があり、

あきらかに有利なのだ。ただ一つ、自身が方向音痴という点を除いては。


目の前の木を使い空中で一回転、さらには幅跳びで倒れていた木を飛び越えていく。

距離をすこし離せたら後は身体能力で回避できる。



「ふう、、、逃げ切った、、、って、、ここ、、何処だよ。」


見渡す限りは木、木、木、、、違いや目印があるわけもなく、迷ってしまった。

、、、あれ?結構ヤバくないか、、、これ、、。

たしか外に出たのが午後4時くらい、、、そろそろ日の入りだ。

くそっ、、、どうすれば、、、どうすれば、、、

考えているうちに時間があっという間に過ぎていく。昔からの悪い癖だ。

てか、、、なんで森にいるんだったかな、、、


そう考えていると後ろからガサっという音が聞こえてくる。振り向いたらそこには

青い色をした、今この状況を作っている悪魔がいた

そして俺に襲い掛かろうと、、、襲い掛かろうと、、、あれ、、?


「もしかして、、、お前も迷子か、、、?」

「、、、!」

「、、、取り敢えずさ。ここは一時休戦にしないかい?」

「、!」


こうしてスライムが(一時的に)仲間になったのだ!

と、脳内でナレーションを入れる。まさか悪魔と仲良くなれるなんて、

意外とこの世界も捨てたもんじゃないな。


「んじゃあまずは、一応名前的なの決めていいか?スライム、だったら分かりづらいだろ?」

「!!」

「よし。じゃあお前は今日から『ライム』だ。いいか?」

「、、、!!」


安直かもしれないが、別に良いだろう。どうせ迷子が終わったら殺し合う運命なのだ。

勝てるだろうか。いや、ここで不意を突いて殴るのも一興か。


スライムの方を向くと、「じとーっ」という擬音が聞こえてくるくらい冷たい顔を

していた。顔はないが。


「べっ、、、別に、、殴ろうとなんか、、、してないぞ、、、?」

「、、、」

「いや、、その、、、」

「、、、」


「、、、スミマセン、、」


このスライムの威圧感、侮れないな、、、、まぁ、いい。

取り敢えず火を起こさなければ何も始まらない。モンスターに襲われてはたまらないからな。


「おいライム、何か燃えそうなもの持ってないか?」

俺が質問すると、ライムは近くの小枝を拾ってきて、、、

口から小さな火を噴いた。

、、おい、、おいおいおい、、、。こいつスライムだろ、、?

結構レベル高い系のスライムかとも思ったが、表示されるレベルは1。

おれなんか、、魔法の一つも使えないのに、、、


「、、、。」

ドヤァという効果音が似合っている表情でこちらを見てくる、相変わらず顔はないが。

妙に人間味のあるスライムを横目に、小枝をホ脳に投げ込む。

取り敢えずは火も確保できたことだし、、寝るか。


時刻は大体8時くらいだろう。明日も早起きなのだ。寝てもいいだろ、てか寝る。


「、、なぁ。お前って睡眠必要なのか?」

「!!」

「スライムもそりゃあ寝るよな、、、、じゃあ食料とかは大丈夫なのか?

今日は食べれそうにないけど、、、」


俺が言い終えたあたりからスライムが俺の方をじっと見つめてくる。

まるで俺が食料だと言わんばかりの目で。

野郎、、、さっきの報復か?


「さっきの事は悪かったって、許してくれよ。」

「、、、っ」


まだ不機嫌そうだな、ヤバい。寝首を掻かれかねんな。

悪かったよ。


「殺すなよ? 、じゃぁ、おやすみ、ライム」

「、、、!」

_2日目_

「おはよう、、、ライム、、」

「、、、」


殺されなかった、、、案外いい奴なのかもな、、

このあとに殺し合うのは少し気が引けるがこれは、そういう契約だ。

迷子が終われば殺すさ、優柔不断にはなりたくないんでな、。


「じゃあ、、取り敢えず適当に歩いていくか、、」

「!!」

歩き出そうとした瞬間、後ろからガサっという音が聞こえる、

あれれ、、なんかデジャブだな、、、。

昨日と同じの展開なら悪魔がでた。何が出るか、、、、


音のした方を見てみると、そこには悪魔の姿はなかった。

そこにあったのは、『悪魔以上の存在である悪』、、、死神とでもいおうか、

ドラゴンがたたずんでいた。

逃げろぉ!!


「はぁ、、はあっ、、、なんで、、異世界で、、こんな目に、、、」

「、、!!!!」

「おいライム!!俺の腕につかまれ!!」

「!!」


腕につかまったライムを前方に投げ飛ばす、少しだけライムの方がスピードが

遅いから、少しでも飛距離を稼いでやる。


「、、、、!!!」

「あぁ、分かってる!!ライム!炎を吐け!!」


ライムの口から吐かれた炎はドラゴンの体に直撃するも、全くダメージが入ってない。

だが、、これがいい。

実は、いくつか地球から持ってきたものがある。

今回使うのは、硫化鉄、だ。


『硫酸鉄( FeSO4 ・7H2O) の熱分解反応は他の諸鉄塩(塩化鉄FeCl2・2H2O , 硝酸鉄Fe(NO3)3・9H2O,シュウ酸鉄FeC2O4・2H2O)の場合と様相が異なり,低温でおこる6分子の結晶水の離脱過程と560℃付近に始まる1水塩の脱水-熱酸化反応との間に長い熱的安定期間がある。

分解を次の三つの過程に分離して考え,

6分子の結晶水の脱水速度式:dα/dt=k1(1-α)

1分子の結晶水の脱水速度式:α=k3t無水塩の熱酸化速度式:dα/dt=k2α(1-α)

を算出すると、おのおのの活性化エネルギーは33.4,40.0,32.4kcal/molでになる。』

(上記、読み飛ばし推奨)


まぁ、今の解説は関係ないが、硫化鉄の熱分解時に燃焼反応が起こるのだ。

勉強になるね!!


ライムの吐いた炎の色は、青。約10000度~の炎の色である。

そりゃあ簡単に反応しますよ、粉末ですもん。


燃焼が起こった粉末が降りかかっているドラゴンは一時的にひるんだようだ。

「よし!ライム逃げるぞ!!」

「、、!!」


目の前にあった大木をライムが飛び越えた瞬間、、ライムの体が視界から消えた。

急いで大木の上に乗り、見下ろして見ると、そこには木の枝につかまっている、真下が崖の所にいるライムが。

意外と高い崖であり、落ちたら死ぬだろうな。

見ると、木の枝は折れそうだ。


「、、、、!!!!!」


見ると助けを呼んでいるような表情だ。

でもな、、、


「俺はさ。優柔不断が嫌いなんだよな。俺がお前を助けるメリットってなんだよ?」

「、、、」


怯えたような表情でこちらを見てくる。

「あぁ、今お前を殺して経験値を稼ぐのもいいかもなぁ!」

「、、!!!!」


最初に見せた、敵意のこもった目。まるで、失望しきったような、心に刺さる視線。

そうだ。それでいい。

木の枝がミシッという音を立てたかと思うと、瞬間に折れた。

ライムは死を恐れるように鳴き声を上げる。

どこまでも人間味のあるやつだったな、、、まぁ、それでも。さよならだ。


刹那。俺は大木を思いっきりけって飛ぶ。

そして落下していくライムを抱えて、崖の上に投げ飛ばす。


優柔不断ではなかったよな、、俺、、。

いつの間にかライムにそうとうな愛着がわいていたらしい。


「お前は野生に生きろ!こっから東にいったら最初の場所につく!!生きろよ!!」

「、、、!!」


落下していく途中、困惑したような顔のライムが見える。

はは、、は、、スライム助けて人生終了も悪くないな、、、


落下していく意識の中、こんなことを考えた。

もしこの世界で死んだら、生き返れるのだろうか、と。

まぁ、どちたにせよ。俺に待ち受ける運命は決まっている。


こうして、俺は人生で1度目の死を味わったのだ。


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