のんびりと暮らしたかったのに……
はい。四条貴仁です。最近異世界系の作品が非常に多いので取られる前に作りました。
俺は死んだ。思ったよりも早い死だった。だが、死ぬことはだいたい分かっていた。そら、ある大国の元核実験場の除染作業をしていたのだから。なぜそんな仕事をしていたのか、私にもよく分からない。ただ、祖国が不況で職にありつけず、仕方なくこの仕事を受けたのは覚えている。仕事を始めたあたりから体に異変が置き始めていた。この仕事は危険だと思ったのはその時だった。あぁ、こんなことになるのなら、こんな腐った仕事など受けずに祖国でニートしていたほうが楽だっただろう。
死んでから分かったのだが、どうやら天国は存在するらしい。
…天国か。ゴミのような人生だったのに、天国に行けたことは、不幸中の幸いかもしれない。とにかく、今はしばらく天国でゆっくりしていたい。そう思っていたのだか……。
「次!中川翔太!」
突然大きな声で呼ばれたのでびっくりした。そしてその声のした方へ振り向くと、そこには一人の髭面の男が立っていた。中年くらいだろうか。顔に老人性斑点が出始めている。するとその男は
「わしは死神である。死者であるお前を転生させるためにここに来た。」
っていきなり言ったもんだから
「は、はぁ」
としか言えなかった。すると死神は
「まぁそんなに戸惑うな。飲茶でもしながら話そうか。」
あっ、この人結構温厚な人だ。そう思いながら私はその死神に付いていくことにした。
「それで、お前、25で死んだが未練はあるのか?」
死神は茶を啜って言った。
「…あります」
実際そうである。25歳での死というのは、未練を残していて当然な気がする。
「そうか、お前、人を愛したことはあるのか?」
「…ありません、いじめられていたもので…」
「そうか、両親はどうしてるんだ。」
「いません。幼いときに両方亡くしましたから。」
「…………」
死神は黙り込んでしまった。沈黙が続く。それから最初に口を開けたのは死神だった。
「あんた前世では苦労してたんだな。わしをこれまで5人くらい転生させてきたがこれほど苦しい人生を見たのは初めてだよ。」
…全然転生させてねぇーじゃねーか!なんだこの死神、大ベテランかと思ったがバリバリの素人だったなんて…。死神にも恵まれないとは。そうおもっていたら死神は、
「…よし、そんなお前を素晴らしい世界に転生させてやろう。」
と言ってきたので
「いや、別にいいです。」
と返した
「まぁまぁ、そんなこと言わずにさーあ?ね?」
この死神、顔の割に結構グイグイ来る。正直面倒くさいことになりそうなのでここは手っ取り早く聞くことにした。
「ちなみにどんな世界なんです?」
「フフ、その世界は誰もが幸せに暮らしていてとても平和な国じゃ!わしが転生させることができる世界で1番の楽園じゃ!」
なんかの宗教観ゆうかと思ったので
「いや、いいです」
と答えようとしたとき、死神は突然両手を上げて何かを唱え始めた。何してんだと思って見ていたのだが、死神が目をかっ開いた瞬間に、俺の周りが光り始めた。
「え?……え?」
俺が戸惑っているその間にも、光は段々と強くなっていく。すると死神は、
「今からお前を転生させる!」
度言い出しので。
「は、はあ!?ふざけんな!俺はまだ転生するとは言ってない!やめろ!やめるんだ!」
と怒鳴ったのだが、死神はまるで聞いていない。むしろ、
「安心せい!お前の前世よりも素晴らしい世界を提供してやる!」
と言ってきた。。
「お、おい!やめ________」
なんとかしてやめさせようとしたのだが、もう遅かった。俺は光に呑まれてその場から消えてしまった。
中川翔太…25歳。177センチ。65kg。