自筆原稿が所在不明?Finaleユーザーはどうすればよいのか。
誰だって気が付くことですが、今日はこれで一本でいいかななんて思ってるせみころーんさんですーどーもーととととととととて。
かつて人間が紙に楽譜を書いていたころは、自筆譜はとても価値のある存在でした。
ベートーヴェンは、熱情ソナタを「よし!お前それ弾いてみろ!」と乞われ「いやです」と返し・・・そのあと雨ざざーと降ってきて、なんと自筆譜にそれが残ってしまった。
ここらへんはなろうの読者でも知っている有名な事実です。問題は、そのあとです。
死後、第二楽章の8小節のテーマだけがハサミで切り取られてしまいました。その切り抜きは今も未発見です。
運の悪いことに、ベートーヴェンは両面を隈なく自筆譜として使っておりました。そのため、第一楽章のコーダの3小節ほどが切り取られてなくなってしまうこととなり、何のことだかさっぱりわからなくなってしまいました。
実際ベーレンライター社の2020年発売の新校訂版には「切り取られた箇所は、前後から推察し、初版譜を参考にして」復元されたことが書いてあるはずです。
なんとですねえ、この熱情ソナタの自筆譜のファクシミリをころーんさんが持っていたのです。それも「なんでそんなもんを」って話になったとき「自筆譜のファクシミリを図書館へ照会するのが学内で流行り、なんかの役に立つかと思ってベートーヴェンの熱情だけオーダーしたけどあんまりおもしろくなかった」んだそうです。
私にとっては面白いですけどねえ。結構ベートーヴェンは気まぐれで、調号を書いたけどやっぱやーめたとか平気でやらかしちゃってて、清書するなんてことは全く考えてないんですよね。
そうなった自筆譜は「ほらここが切り取られてしまってます!」とかオークションの時に言えるわけです。この切り取りも、自筆譜をオークションの道具にするのを避けるためだったのか、それとも悪い人が勝手に切り取っちゃったのかよくわかってません。
ベートーヴェンだけではなく、モーツァルトの楽譜もアメリカのパーマー神学校から発見されるなど、アメリカ人ってのはヨーロッパの遺産を持ち帰って金にしたかったのでしょうか?「アメリカ人はすっごい悪い子の集まりっ!めっ!」とゴウモエラーはちょっと怒ってました。
でーベートーヴェンレヴェルだと確実に金になるわけです。
ところがですね。
作曲家が出力ソフトで一斉に書き始めるようになりました。
この手のソフトの性能は最初はひどいものでしたが、2000年代になると使えるようになってきたので、私はさっさと乗り換えてしまいました。
そうするとですね、、ああ、またあの人だよ、、、
すらあっーしゅさんは「俺は絶対に手で書くのがええんや」でした。予想通りでしょ。そうこうしているうちに、コンクールの要綱へ「インクジェットで出力した楽譜は不可」「FinaleかSibeliusのどちらかにしろ」なる珍妙な規約が盛り込まれるようになりました。
今無料の楽譜出力ソフトが横行している現在、もうこんなことはだれも言いませんが、当時はちょっとした事件でした。当時の学生さんや教職員さんは「インクジェット不可ぁ??レーザーだって劣化するでしょう!」の大合唱でした。さすがにその輪の中に入って連呼はしませんでしたが、、
この手のつまらない規約は姿を消しましたが、それと同時に、、紙に書きつける人間がすらあっーしゅさんのような方を除き姿を消しました。
こうなると、何が起きるでしょう?
答えはですね、「みんなが知ってる記号しか出てこない現代音楽」なるものに変わってしまいました。よく考えれば、ゲシュトップフトの記号だってかつては手で書いていたのです。めんどくっさい特殊な奏法も、普通にテキストにして英語で書けばよい。
こうして、作曲家自らのシンボルというものは急速に失われて行きました。
シンボルばかりが失われたのではありません。自筆原稿なるものが、もう存在しないのです。
「いや!自筆データは残る!」って人もいるかもしれません。作家の生フロッピーディスクなるものを残した安部公房のような人も昭和にはいました。が、それは額に飾れるモノにはなりえませんからオークションの取引の道具にすらなりません。
どっちみちデータで残したって、出力する紙には同じものが出てくるわけですから。こうなってしまうと、もはや校訂者なる職種すら消えてしまいます。すさまじいほどの人員削除です。
すらあっーしゅさんは「ほうらみろ!やっぱ作家の生原稿は大事なんや!」って言ってますけど、あなたの楽譜の価値は、、いやなんでもないですよ。ひょっとすると生原稿を書いて渡し、プレゼントにするってのはありかもしれません。工芸としての作曲は残るのかもしれません。
自筆原稿の存在しない作曲家ってのも寂しいよねえ、って思うんですが、ころーんさんは「別にいいじゃん」と何とも思ってません。ちょっと世代の差ですかね。あんまり歳離れてませんけど。




